【インタビュー】デーモン閣下×宝野アリカ(ALI PROJECT)。この世のものとは思えない美声が響く「時空の迷い人」!

2020年05月10日 12:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

それぞれの土俵で作った2曲という、バランスのいいシングルになった


── カップリング曲「薔薇異形」(そうびいぎょう)は、片倉さんの作曲ですね。

デーモン閣下 そうなのだ。片倉氏の曲を歌うという吾輩の願望は、このカップリング曲でかなうことになった。片倉氏の作るALI PROJECTの曲は、華やかでファンタスティックであり、よく聴いていくと細部まで緻密に構築されているのがわかる。華やかさと複雑さが並び立っているのがすばらしい、吾輩の好きな世界だ。

宝野アリカ せっかく閣下に歌っていただくのだから、ALI PROJECTの王道を行く曲を作ったということです。

デーモン閣下 「薔薇異形」は複雑さがありつつ、全体としてはわかりやすいメロディだった。歌詞は、「時空の迷い人」とは逆に、まずアリカ女史が全体のコンセプトを決めて、最初の歌詞を書き、次に吾輩が書くという形となった。

宝野アリカ 「八男って、それはないでしょう!」は、異世界に行って魔法使いとなり、人とは違う人生を歩んでいく主人公の物語じゃないですか。そこから、「異なるものたれ」というワードが頭に浮かんで、それをテーマに歌詞を作っていきましょうと、閣下に提案しました。

デーモン閣下 「薔薇異形」は2度目の共作ということで、お互いの言葉がより相乗効果を生んだように思う。面白い表現が多い歌詞になった。

── 「嫉妬心」を「そねみ」、「博愛」を「ひろい」と読ませるところに、文学性を感じました。

宝野アリカ どちらも閣下が書いてくださった部分です。

デーモン閣下 意外であろう?(笑) 「異なるものたれ」をテーマにした歌詞に、少し視点を変えた言葉を入れて、イメージを広げようと思ったのだ。男と女の恋の要素というのは、アリカ女史の最初の構想にはなかったものだと思う。

宝野アリカ そうですね。しかし、閣下とやり取りをする中で、イメージが広がっていきました。

デーモン閣下 苦労したのが最後の部分だ。ここに至って、今までにないメロディが初めて出てくるというトリッキーなことを、片倉氏がやっていた。

宝野アリカ そうそう、アリプロの曲では多々あることで、いつも最後でどうやって締めようと。「結」の部分なわけです。

デーモン閣下 吾輩が最後の一節の歌詞を先に書いて、「そしてあなたを想う」にしてしまったので、アリカ女史がそこに至る道筋を探して、見事に言葉をつなげてくれた。

宝野アリカ 閣下がゴールを決めてくださって、歌詞に起承転結が付きました。

── ヴォーカルも見事に融合していると思いました。

デーモン閣下 相手が主旋律を歌っているとき、もう片方は後ろで字ハモを付けているのだが、吾輩のハモは主旋律の下についていて、アリカ女史のハモは主旋律の上についているのが、この曲の特徴だ。かなり複雑なことをしていて、ドラマティックさを増す効果を発していると思う。また、イントロのシャウトは、片倉氏が作ったデモの段階からすでに入っていて、ここは吾輩に叫んでほしいということなのだろうと解釈し、自分の思いのままにシャウトした。

── 最後に、今回のコラボレーションを総括していただけますか?

デーモン閣下 繰り返しになるが、すべての行程が刺激的で、特にEメールをやり取りして、積み上げていく作詞の作業は愉しかった。アリカ女史の感性に触れたことで頭が活性化され、今まで開けたことのない扉を、いくつも開けることができたように思う。それぞれの土俵で作った2曲というバランスのいいシングルになったが、この1枚で終わらせてしまうのがもったいないコラボレーションであった。

宝野アリカ 私も同感です。歌集が編めるようになるまで、コラボレーションを続けたいですね(笑)。この世のものではない楽曲が、いくつも生み出せそうです。



プロフィール


●デーモン閣下/HIS EXCELLENCY DEMON KAKKA

悪魔。アーティスト。魔暦紀元前16年(1983)年に、ロックバンドの姿を借りた悪魔教布教団体「聖飢魔II」の歌唱・説法方として活動を開始。並行して、日本の伝統芸能との共作活動を30年以上続け、魔暦元年、地球征服を終えた「聖飢魔II」が解散して以降は、単独での活動を繰り広げる。純邦楽器との新機軸アート娯楽を探求する「デーモン閣下の邦楽維新Collaboration」シリーズは20周年。
ソプラニスタ岡本知高氏との“異能声共演”「劇的コンサート『悪魔の森の音楽会」も定期的に全国展開中。
今年秋からは、「聖飢魔II 地球デビュー35周年期間限定再集結」大黒ミサツアーを開催予定。

●宝野アリカ(ALI PROJECT)

宝野アリカ(ボーカル・作詞)、片倉三起也(キーボード・作曲・編曲)、蟻プロジェクトとしてアルバム「幻想庭園」をインディーズレーベルよりリリース、1992年、ALI PROJECTと改名し、シングル「恋せよ乙女~Love story of ZIPANG~」でメジャーデビューを果たす。
1996年、CLAMP原作のラジオドラマ「Wish」の主題歌「Wish」を、ビクターエンタテインメントからリリース。1997年にはTVアニメ「CLAMP学園探偵団」オープニングテーマ「ピアニィ・ピンク」をリリース。アニメソングを手がけるようになっていく。そのいっぽうで、オリジナルアルバムも勢力的にリリース。今年、結成35周年を迎える。


CDデータ

■TVアニメ「八男って、それはないでしょう!」OP「時空の迷い人」

魔暦22(2020)年5月13日発売/1,200円(税別)

レーベル:FlyingDog


〈収録曲〉
01. 時空の迷い人
02. 薔薇異形
03. 時空の迷い人 (Instrumental)
04. 薔薇異形 (Instrumental)


(取材・文/鈴木隆詩)

画像一覧

関連作品

八男って、それはないでしょう!

八男って、それはないでしょう!

放送日: 2020年4月2日~2020年6月18日   制作会社: シンエイ動画/Synergy SP
キャスト: 榎木淳弥、西明日香、三村ゆうな、小松未可子、M・A・O、下野紘、高塚智人、石上静香、杉田智和、ゆかな、浪川大輔、屋良有作、山根雅史
(C) Y.A/MFブックス/「八男って、それはないでしょう! 」製作委員会

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。