今回のネタはけっこうギリギリ!? 初代Xboxをドリームマシンに魔改造! 初代Xboxとエミュレーターの関係を振りかえる【極めよ、Xbox道!第5回】

2020年04月14日 12:590

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

(※本記事の内容は筆者の意見であり、エミュレーターの利用やXboxの改造をおすすめするものではありません。ご了承ください)

今回は、初代Xbox本体とエミュレーター起動の関係性を今回は取り扱います。ほかの媒体ではタブー視されることの多いエミュレーターですが、それは「ゲーム機を違法に改造して非合法なことをする」イメージが強いためと思います。ただワタクシとしては、特定のゲーム機でしか遊べないタイトルを、別の実機で、どこまで高い再現度で動かすことが可能なのか……ここにロマンやら魅力を感じているんですね。

自分は’80年代以降に発売されたほぼ全てのゲーム機を所有してますし、倉庫へ行けばお店が開けるほどのゲームソフトを所有していますから、別にわざわざエミュレーターをゲーム機に導入して、非合法に遊ぶことには何もエモーションを抱きません。そのゲーム機が持つポテンシャルをどこまで引き出すことができるのか、という限界を知りたいだけなんですよ。

 

三才ブックスから大昔に発行されていた「バックアップ活用テクニック」なるムック本シリーズでゲーム機を改造したり、ゲームソフトのROMイメージを自力で吸い出したりなど、ゲーム産業に対するカウンターカルチャーな位置に属しているアウトローたちの存在を知って、その世界に魅了されていったワタクシですが、とりわけ漫画家のすがやみつる先生(「ゲームセンターあらし」で有名な巨匠)が執筆した「こんにちわマイコン」シリーズ(ebookにて電子書籍版が発売中!)をバイブルに、中学生時代からホビーパソコン・MSXでBASICを使ったプログラミングを始めた影響が大きかったと言えます。プログラムを組むようになると、いろいろと解析したくなる病が発生する人はワタクシだけではないと思いますが(ゲーム開発者には「あるある」なはず!)、その延長でプログラムを書き換えたり、ハッキングを行なったりと、若い頃は今ほど娯楽が多様化されていたわけではないこともあり、ゲームをシャブリ尽くすように夢中になっていました。

「こんにちはマイコン 1巻」は、ebook japanにて好評発売中!

 

そんな貪欲さだけで生きているダメな少年時代だったからこそ、オトナになり働いて得たおカネでゲーム機をドンドン買うようになっていったのです……。

 

エミューレーション技術は悪なのか!?

やがて「お前の実力はこんなもんじゃないだろ!」と、ゲーム機に対し思うようになったのは、Windowsマシンやドリームキャストでプレイステーションのタイトルを起動させることを可能にしたエミュレーションソフト「bleem!」と出会ってから。ドリームキャスト上でプレイステーションの「グランツーリスモ2」と「鉄拳3」を起動させ、そのきれいなグラフィックスに感動した記憶は、50歳のオッサンになっても記憶から消えないほど強烈でした。そんなこんなで、エミュレーション技術の素晴らしさを知ってしまって以降、その魅力の虜になってしまったわけなんです。

 

 

エミューレーターはROMイメージを吸い出して起動させることから、コピーソフト販売の蔓延にひと役買っている、と思っている人は、頭の中が化石なんじゃないかとワタクシは感じるんでございます。エミューレーション技術の発展は、各メーカーが切磋琢磨して今日まで生き延びてきたゲーム産業の文化遺産を、未来へ継承していくために必要な技術でもあるし(ゲーム機は古くなると当然コンデンサーからの液漏れなど含め、故障が増えていき使えなくなりますからね)、そして今こそコンテンツを残していくうえでもレガシーコストが軽減される意味で、エミュレーターの存在意義を見直す時期でもあると思うのです。

先述の「bleem!」を販売していたbleem社が、プレイステーションを販売するSCEから米国連邦地裁に訴えられた際、米国の司法はエミューレーターの存在を合法と判断したことで、エミューレーターは堂々と陽の目を見ることになったといういきさつもあります。こうした事実からも、エミュレーターが決して脱法行為に当たらないことを理解してもらえればと思います。

また、エミューレーションという技術が進化を止めていたら「ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ」「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」「メガドライブ ミニ」「PCエンジン mini」「NEOGEO mini」「プレイステーション クラシック」など、近年流行の、小型化してリバイバルしたレトロハードや、「レトロフリーク」「POLYMEGA」のようなマルチエミュレータ機も発売されることはなかったでしょう。本当に悪いのは、エミューレーターそのものではなく、ゲームソフトのROMイメージを吸い出して、それをインターネットで不特定多数へ配布したり販売したりする連中なのです。

 

ワタシはこうしてXboxを改造した!

前置きが長くなりましたが、これぐらい書かないと”エミュレーター”と単語を目にしただけで脊髄反射的に“いかがわしい”と認定する方もいるでしょうし、エミュレーション技術が日進月歩で進化している現実を理解してもらえないと思ったからです。

 


で、いよいよ本題の「Xbox本体とエミュレーター起動の関係」なのですが、まず時代は初代Xboxの時代へ遡ります。ワタクシも初代Xboxは何台も所有していましたが(Xbox 360もXbox Oneも同じくだけどね)、まず購入したのは、発売されたばかりの初期生産ロットの本体。この初期バージョンは、なぜかゲームのディスク面に傷が付くことが多々あり、自分の取り扱いに問題があると最初は思って我慢してました。が、ほかのユーザーからもディスクに傷が付くことがあるという声が上がり始め、これはゲーム機本体あるあるなんですが「初期ロット本体にありがちな欠陥」と判明。そのうちに遊んでいると「ガリガリガリーッ!」ってディスクが研磨されているような音まで出るようになってしまったうえに、ACアダプターからの発熱問題もマイクロソフトから公式でアナウンスされたこともあり、新たにもう1台新品のXboxを購入することに。

 

そしてしばらく二代目のXboxを使っていると、今度は放置されたままの巨大な初代Xbox本体がじゃまになってきます。

数年間、使用することもなくホコリを被ったままだったので、処分しようかと迷っていたところ、HDDを換装したりBIOSを書き換えることが可能、という海外のXbox系Webサイトと遭遇します。ディスク面に傷が付くだけで(米国産ということでタフなのか知らんが、傷だらけになってもゲームやDVDソフトは起動してくれる!)Xbox本体は故障していなかった……というわけで、本体をバラして改造に踏み切ります。

当然本体を分解したら、今後はサポートセンターでの修理を受け付けてもらえない、という自己責任問題が発生しますが、すでに二代目Xboxで遊んでいたから、もしぶっ壊れても後悔することはなかったので決行!

 

Xboxの魔改造に挑戦!

Xboxの中身は、PentiumシリーズのCPUが搭載されたパソコンとほぼ一緒。ならばなんとかなるだろうと果敢に改造へ取り組みますが、改造を紹介しているWebサイトは英語で書かれているうえに、よくわからん専門用語的なスラングが使われていたりして、何をどうすればいいのか理解するまでに1週間ぐらいかかってしまいました。

しかし、ワタクシはあきらめません。巨大な置物になっていた放置状態のXboxをよみがえらせてあげたいという親心が芽生えてしまい覚醒したのです!

まずIDE接続のHDDを、120GBの大容量のものに換装成功。結構面倒でしたが、ていねいに順序通りに行なうことでうまくいきました。今では考えられませんが、Xboxに搭載されていたHDDはたった8GBしかなかったんですよっ!

そもそもゲーム機にHDDを積んだ最初のマシンもXboxだったし、やはりベースがパソコンということでハッキングもされやすかったんでしょうね。IDEの3.5インチHDD搭載に加え、オフラインで4人対戦できるようコントローラー端子を4つ備えたことが初代Xboxが巨大化せざるを得なかった要因でもあると聞きましたが、本体を分解するとそれはあながちウソではないんだなって理解できます。

今の若い子たちにとってはIDEのHDDなんて骨董品扱いでしょうし、8GBという、二層式DVD1枚よりも容量の少ないHDDの存在なんてまったく信じられないでしょうねぇ。

 

 

閑話休題。今度はXbox本体そのものを改造。BIOSを書き換えた後に「EVOLUTION-X」(以下、EvoX)というアプリケーションを導入するという、さらなる魔改造化が必要になります。EvoXをインストールすると、ダッシュボードのインターフェイス自体が変更され、Windows上で動いていた各種エミュレーターを起動できるようになるのです。それだけではなく、DVDはリージョンフリー化。さらにXboxソフトのバックアップをHDDに取って、そこから起動することもできるようになる、というドリームマシンへ生まれ変わりました。

当然、BIOSを書き換えるのも自己責任。失敗したらXbox本体は起動すらできなくなる恐れもあります。しかし、愛すべき初代Xbox本体が生き返るのならばやるしかないだろう。失敗したってもう1台使っているXboxもあるしな!って考えから、EvoXの導入を決意。

相当手こずりながらも、辛うじてBIOS書き換えとEvoXの導入に成功したのです(当時は日本人で導入してるユーザーはひと握りだったので、やり方を教えてくれる人は皆無だったし)。

さすがに詳しいやり方までは記載しませんが、その昔、ハードオフでは1,000円程度で投げ売りされていたジャンク品の初代Xboxが改造に適しているということでハードジャンカーたちに買い漁られ(レトロゲーム再評価の機運が高まり、今では相当高騰していますが)、EvoX導入の踏み台にされていたこともありました。

 

ここで’90年代に、さんざんゲームソフトのROMイメージ吸い出しを趣味にしていたことが功を奏しました。EvoX導入済の初代XboxのHDDへFTP経由でエミュレーター本体やROMイメージを転送し(LANポートがデフォルトで搭載されていた初代Xboxらしい荒業)、XboxをEvoXのダッシュボードから起動させると……あら不思議。テレビ画面でXboxを通し、ファミコンやらメガドライブ、PCエンジンなどの家庭用ゲーム機が遊べるではないですか。さらにMSXやX68000などのパソコンのエミュレーターも起動可能。アーケードゲーム基板の吸い出しデータも、全て起動できました。自宅でホコリを被っていたジャンク品扱いの初代Xboxが、夢のマシンへと生まれ変わった瞬間の感動は、15年以上経った今でも忘れられない思い出です。

ただ残念だったのが、ワタクシの魔改造Xboxはディスクドライブの欠陥のため、Xboxソフトをトレイに載せてマウントした後に、HDDのバックアップから起動させることはありませんでした。ディスクが傷だらけになるのは嫌だったしね。

 

こんな風にジャンク品を魔改造することで、初代Xboxを復活させることに成功したワタクシですが、今さらIDEのHDDを購入したり、EvoXを導入するまでのハードルが高いため、わざわざ今でも現役の初代Xboxを魔改造することは推奨したくありません。

あくまでも不具合が発生しジャンク品になっている本体で、という前提で魔改造するならばトライしてみるのもいいのではないでしょうか。もし壊れたとしても自己責任で!

(文/ジャンクハンター吉田)

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