21年の時を経てよみがえる名作サバイバルホラーのフルリメイク作品「バイオハザード RE:3」をレビュー!

2020年04月13日 14:500

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2020年4月3日より発売開始された「バイオハザード RE:3」(以下、RE:3)は、1999年にプレイステーションでリリースされた「バイオハザード3」のフルリメイク版だ。本稿では、21年ぶりに現行機でよみがえった名作サバイバルホラーのレビューをお届けしよう。


バイオハザード RE:3をレビュー



起動するとまず目に入ってくるのは、ラクーンシティから届けられた映像。乱れたカメラアングルや、緊迫した様子で状況を語るリポーター、「暴動」が発生し、出動するラクーン警察。場面は切り替わり、製薬企業アンブレラが新たな試作体“ネメシス”を生み出し、ラクーンシティへと投下する。オリジナル版「バイオハザード3」のオープニングを思わせるこの演出が、実写なのか、ゲームエンジン「RE ENGINE」によるCGなのか、正直筆者はいまだにわからない。




弾をやりくりして進むか、せん滅するか



第1作「バイオハザード」~「バイオハザード3」の頃は、たった1体の敵が大きな脅威ともなる作風だった「バイオハザード」シリーズだが「バイオハザード4」~「バイオハザード6」はアクション重視のゲームデザインへと移り変わっていった。しかし、その後は再びシリーズ初期に立ち返ったようなサバイバル要素を重視するデザインへとシフト。「バイオハザード7」、「バイオハザード RE:2」(以下、RE:2)がそうだったように、「RE:3」もまた、「バイオハザード3」の特徴をしっかり継承し、生き延びる緊張感を味わうことができる。



体験版のレビューでも述べたが、本作の敵は非常に体力が多い。ほどよい難易度とされる「STANDARD」でも、ハンドガンでゾンビを倒すには頭に4~5発ほど撃ち込む必要がある。「ガンパウダー」同士を調合することでさまざまな弾薬を作れるものの、「外れるかもしれない」と敵の胴体ばかり狙っていては、やがてじり貧になるだけだ。本作のナイフは無限に使えるが威力は低いので主力にはなりにくく、ゾンビの対処は銃撃が中心。「RE:2」以上に、弾の管理が重要になってくる。とはいえ、本作の舞台であるラクーンシティには、ドラム缶や小型の発電機など、撃てば広範囲の敵を攻撃可能なオブジェクトが多数配置されている。立ち回り次第では、シューティングが苦手な人でも対処しやすいようになっているのだ。(難易度設定で、ある程度自動で敵に照準を合わせてくれるアシスト機能も付けられる)



本作の新要素である「ステップ」と「緊急回避」も、弾の節約にひと役買ってくれる。「RE:2」も、「RE:3」と同様に残弾数と相談しながら進めていくタイプだった。しかし、レオンやクレアの移動速度は遅く、加えてゾンビが素早いため、原作のように敵の背後をすり抜け、集団の隙間を縫って移動するようなことは非常に難しく、結果的に別のルートを経由するか、敵をせん滅するかの2択になりがちだった。「RE:3」では、ゾンビの機動力こそ高いものの、つかまれそうになってもステップを連打すれば逃げ切れることが多い。また、タイミングはややシビアなものの、緊急回避を成功させれば敵を確実に振り切れるうえ、銃を構えれば自分以外がスローモーションになるため、反撃のチャンスとなる。弾を節約するため逃げるか、同じ場所に戻ってきたことを考えて倒すか、プレイステーション時代の「バイオハザード」のスタイルか、「バイオハザード4」以降か、プレイスタイルを、プレイヤーが選ぶことができる。



本作は「RE:2」と同様、全体的な難易度はやや高めだが、標準難易度の「STANDARD」のほか、アサルトライフルの所持、エイムの補助、低下した体力が一定まで自動回復するといった恩恵を受けられる「ASSISTED」も存在するなど、難易度の幅も広く、プレイヤー自身の技量に合わせて遊ぶことができる。とくに緊急回避はハイリスクハイリターンなため、まずは敵から受けるダメージも少ないASSISTEDで慣れておくのもいいだろう。



ジルを抹殺すべく投入された“追跡者”



「RE:3」を象徴する敵が、原作では「追跡者」と呼ばれていたネメシス。タイラントとは違い、高い知能を有する生体兵器であり、先回りしたり壁を破壊したり、さまざまな銃火器まで使って、主人公のジルを追い回す。余談だが、筆者は「ネメシス」より「追跡者」の呼称が気に入っている。ネメシスは本作の特定の敵を指す固有名詞だが、追跡者は「跡を追いかけてくる者」であって、具体的に何を指しているかわからない。その漠然とした、得体のしれない感じがたまらない。


火炎放射器を手に、ジルへ迫るネメシス



「バイオハザード3」の時のカメラアングルは固定だったが、「RE:3」では三人称視点になっており、ジルを追従する形でカメラが設定されている。要するに、背後が見えないのである。視点を動かせば一応見ることはできるが、そうすると今度はジルの正面が見えなくなるため、障害物や壁にぶつかる可能性もあり、おいそれとできないのだ。ネメシスに追いかけられていても肝心の姿は見えず、足音か、「S.T.A.R.S.……」という唸り声しか聞こえないので恐怖が増幅される。タイラントと違いネメシスは走ってくるため、片時も気は抜けない。攻撃して膝をつかせても所詮はその場しのぎであり、少しすれば完全に回復されてしまうのでネメシスと出会ったら、まず逃げたほうがいい。しかし、特定のタイミングでネメシスに大ダメージを与えて追い込めば、銃のカスタムパーツを手に入れることができる。防弾性のコートを着てはいるが、肉体からはみ出ている心臓が弱点なので、戦うならショットガンなどの威力の高い武器で集中攻撃したいところ。ネメシスの攻撃に対し緊急回避できれば、ハーブや救急スプレーを使うこともない。残弾数や武器の所持状況、自分のプレイスキルを踏まえて戦うかどうかを考えよう。


2m以上はある巨体が全力で迫る様は、まさに恐怖


ラクーン市警特殊部隊「S.T.A.R.S.」隊員の抹殺が任務であるネメシスにとって、ジルは最優先目標。どれだけ傷を負っても、死ぬまで追跡を止めない。このスリルは、実際に遊んだ人にしか味わえない。



ジル編とはひと味違うカルロス編



物語をある程度進めていくと、操作キャラクターがジルからカルロスに代わる。カルロス編ではネメシスに追われることはないが、代わりに出現するゾンビが非常に多い。また、ジルの緊急回避にあたるアクションがパンチになっており、成功すると相手を吹き飛ばすことも可能。パンチのほか、専用武器としてアサルトライフルも持っており、ジル編とはひと味違ったプレイが楽しめる。銃火器や体術で大量の敵を相手にするというスタイルは「バイオハザード4」や「バイオハザード5」などにも通ずるものがあり、同作のアクションシューティング性が好きなプレイヤーにはうってつけ。


カルロスの同僚であるタイレル・パトリック。頭の切れる男で、アメリカ政府と交渉しラクーンシティに対する大規模作戦の予定を遅らせるという一幕も


カルロス編では病院も登場。即死攻撃を持つ強敵、ハンターβが巣くっている


メインパートであるジル編と比べればコンパクトな仕上がりだが、内容はその分濃くなっている。警察署と病院という閉じられたマップの中で、陰鬱(いんうつ)とした恐怖感と、派手な戦闘を堪能できる。ちなみに、カルロスが警察署に向かうタイミングは、時系列的には「RE:2」以前、すなわちレオンやクレアが来る前なので、「RE:2」と「RE:3」のつながりを確かめつつ警察署を探索するのも面白い。



一方、原作と異なる点として「時計塔」内部や「公園」といった一部のステージが存在しない、電車を発進させるための作業がシンプルになっている(原作ではパーツを複数集める必要があった)、「ライブセレクション」による物語の分岐がないといった点があげられる。
「警察署」や「地下駐車場」、「下水道」などのマップを行き来しながら謎を解き、じっくり進めるというタイプだった原作重視の「RE:2」に対し、「RE:3」はゲーム全体のテンポを優先し、よりアクション性を重視する方向に大幅なアレンジが加えられている。ここが「謎」の謎解き要素が強かった原作の「バイオハザード3」との一番の違いだろう。


その影響なのか、ネメシスが登場するのはイベントのみで、通常の探索ではプレイヤーを襲ってこないものの、工事現場や時計塔前広場で行われるボス戦は、その分ド派手になっている。マップ上でプレイヤーを頻繁に追い回す「バイオハザード3」のネメシスもよかったが、「RE:3」のボスとして強烈なインパクトを放つネメシスも悪くない。それぞれ異なった魅力的な敵キャラクターとしての存在感を放っている。



本編をクリアするとショップが解放され、実績によって手に入れたポイントで特典を得ることができる。コスチュームや、作中で登場したアイテム、弾が無限の武器などさまざま。また、「HARDCORE」をクリアするとアイテムや敵の配置が変化した高難易度モード「NIGHTMARE」が遊べるようになるなど、短時間でクリアできる分、周回プレイを想定した作りになっている。タイムアタックに挑戦したり、縛りプレイに挑むのも、「バイオハザード」シリーズおなじみの醍醐味だ。


ネメシス第2形態。二足から四足歩行に変化し、体も巨大化している



ステップと緊急回避を取り入れたアクション性の高さ、「RE:2」から引き継がれたシビアな難易度のサバイバルホラー、映画的ともいえる演出などの質の高さは折り紙つき。濃いプレイ体験ながら、現代の基準では本編が短い代わりに、ショップで購入可能な本編用の特典、敵の強さやアイテムの配置なども変わる難易度といったリプレイ性の高い要素が詰め込まれており、さらにあわせて収録されている非対称対戦「バイオハザード レジスタンス」もあって、長く遊ぶことができる。「バイオハザード」シリーズのファンはもちろん、アーケードゲームのようなくり返し遊びやすい作風が好きな人は、本作を特に気に入るだろう。

次のページには、「バイオハザード レジスタンス」のレビュー記事を抜粋している。オープンベータテスト時に書いた内容なので詳細は製品版と異なるが、全体像はつかめるはずだ。なお、前回の記事の全容はこちらで確認できる。

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