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複雑なギミックから、単純な解説策を導き出す
── 現時点で最新キットのダイビングビートルを組んでみたのですが、下半身のランナータグに「ベルゼルガ」と刻印してありました。 朝比奈 ベルゼルガWPは、下半身がダイビングビートルと共通という設定ですので、そこは生かしてあります。ただ、先に発売されていた「ベルゼルガDT」とベルゼルガWPは、盾、頭部バイザー、銃、脚部などが違いますので、「DT」の設計時点で「WP」との共通する部分は別にしてあります。ですから、ダイビングビートルとベルゼルガDTおよびWPの3アイテムは、それぞれ共通の金型をまたいだ関係になっています。
また、共通部分も2色に分かれていますので、金型を発注する際に、「この部品をひとつのランナーで囲む」と細かく指示を出します。それがうまくいく場合といかない場合がありまして、ダイビングビートルとベルゼルガDTではヒザ裏のジャバラ部分の配色が違います。ダイビングビートルは、ジャバラ部分が大腿と同じ薄いグレーが正しいのですが、素組みするとヒザから下と同じ濃いブルーになります。ベルゼルガWPは、ちゃんと設定どおりの色分け(ジャバラ部分がヒザから下と同色)になっています。3アイテムを一群のランナーとして扱う中で、ヒザ裏の配色だけはちょっと犠牲になってしまいました。そのほか、銃も設定では2色に分かれていたりするのですが、1色で成型しています。できる範囲で、なるべく色分けする……という方針です。塗装や改造で楽しんでほしいですし、パーツ数をむやみに増やして価格を上げることはしたくないと思っています。
── クメン篇のATは水陸両用なので、足の手前につく「スワンピークラッグ」という板を足裏に履かせなくてはなりませんね。支柱の部分にボールジョイントが使われているのは、なぜですか? 朝比奈 スワンピークラッグを足底に履かせることができても、「気をつけ」の姿勢になってしまうからです。足を開いたポーズのとき、足首のひねりにスワンピークラッグが追従して、きちっと接地してほしいわけです。スネ側とスワンピークラッグ側の両方にボールジョイントを仕込まないと、フレキシブルに動いてくれないんです。
ダイビングビートルとベルゼルガWPのスワンピークラッグは、関節のあるアームでスネ側と繋がっているおかげで、問題なく可動させることができました。いま設計しているスタンディングタートルのスワンピークラッグが厄介でして、アームがただの棒なんです。棒のつく土台の部分を新しく考案しないと、動かせない。ですから、絵のまま立体化して動かなくなってしまう部分は、動かすためのアレンジを加えます。サンライズさんにも、「スタンディングタートルのスワンピークラッグは、このままの形では可動が厳しいです」と相談をしました。ですから、こちらからサンライズさんに「こうしたい」と提案するのは形状ではなく、ギミック上の工夫だとか、強度的に脆くなってしまう部分に関してです。
── 旧タカラ製の1/35スケールのATでは、スワンピークラッグは選択式でしたね。 朝比奈 今回は、ポーズ付けに支障が出ないようにしたかったんです。ただし、なるべく部品点数は少なく、簡単な構造にする。何度動かしてもヘタらないようにする――それは結局、構造を単純にするということなんです。複雑な解決方法は、わりと初期に思いつくんですよ。その発想をベースにしつつも、何度動かしても大丈夫なように、もっとも単純な解決策を導き出すんです。