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時代遅れな異世界転移モノでもパロディやギャグがあれば大丈夫?
最近の日本の新作アニメでは、ネット小説出身作品の盛り上がりなどから、いわゆる異世界トリップ、転生を扱った作品が増え、ある種の定番となっている感もあります。
中国でもネット小説などを中心に「穿越」とも言われるトリップ系ジャンルは定番中の定番となっていますし、中国のアニメ視聴者にとっても異世界転移モノはイメージしやすいジャンルとなっている模様です。
もっとも日本の新作アニメの異世界転移転生系作品の評価は
「扱うネタやテンプレが古すぎる」
「時代遅れなネタのネット小説を今さらアニメ化されても」
等々、あまりかんばしくない評価も目に付きます。
このようなネガティブな反応が出ることに関しては、中国のネット小説と比較されがちなことも大きな原因となっているそうです。
異世界転移転生系の作品は中国でも定番ジャンルであることに加えて、アニメ化されるような作品の内容は、ネット小説の世界ではひと回り以上前の流行りの内容であることが珍しくありません。
また中国において比較対象となる中国のネット小説では文字数課金や月額読み放題ベースの商業モデルが確立されており、ネット小説で稼ぐために日々新たなネタ、テンプレ設定と展開などを拾ってきては消費する熾烈な生存競争が行われています。
このような背景もあることから、日本のネット小説の転移・転生系作品は、先行して原作が有名になっているか、よほど尖ったところでもなければ「古いネタの作品」と見なされてしまい、厳しい評価につながることも多いという話です。
ですが、10月新作の「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」と「私、能力は平均値でって言ったよね!」はそういった「古いネタ」という評価があるうえで、さらに人気となっているそうです。
この2作品は中国にすでに広まっていた原作関連の情報やPVなどからの注目度はそれほどでもなく、中国のオタク界隈では
「日本のアニメによくある時代遅れの異世界ネタの作品」
程度の認識だったそうです。
しかし始まってみると、アニメ独自のよさを発揮する攻めた演出に加えて、お約束をベースにしたギャグやパロディネタが中国のオタク界隈にも刺さり、事前の予想をいい意味で裏切っている作品という扱いになっていったとのことです。
この人気や盛り上がりについて、中国のオタクな方の話や現地の反応などによると、異世界転移・転生系の定番要素をベースにしたパロディやギャグ要素のある作品は、ツッコミを入れて楽しむところや笑うところがわかりやすいといった強みがあるそうです。
また作中のパロディに関しても、動画サイトのコメントなどで説明されればすぐに把握して理解できるレベルということもあり、非常に気分よく見られる、笑える作品となっているそうです。
以上のような10月新作アニメにおける話題性や人気の傾向を見ていくと、イロイロなジャンルで日中のオタク層が評価する部分の違いだけでなく、その共通認識をベースに楽しめる、盛り上がれる部分といったものがハッキリとしてきたようにも感じられますね。
(文/百元籠羊)