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フィギュアを乗せられる「ベストな大きさ」を追求したロボノイド
── 2014年にファルコとバラクーダ号が出てから、今年、第4弾のフライングマシンI & IIが発売されるまで、5年もかかりましたよね。それは、何故なのでしょう? 飯塚 艦船とキャラクターを融合する商品がブームになって、それらのキットの開発に追われるようになってしまったんです。それで、「未来少年コナン」シリーズを再開するまで、ブランクができてしまいました。また、第4弾がフライングマシンになったのにも理由がありまして、ロボノイドの開発に時間がかかりすぎたんです。ロボノイドのモックアップをホビーショーで展示したところ、「形が違う」との指摘を受けて、ギガントのときのように設計をやり直しました。そうこうするうち、後から設計に入ったフライングマシンのほうが、先にできてしまったんです。
── すると、フライングマシンの開発には、それほど手間どらなかったんですね? 飯塚 そうですね、独特の丸みを帯びているので、多少はプロポーションを手直ししています。あとはハッチを可動にしたり、着陸脚と展望台を格納時と展開時の選択式にしたり、コクピットも作画用の資料やアニメ本編を見ながらレイアウトを考えたりしました。心残りなのは、曲面状の窓ガラスを2パーツに分けたことです。一体成形にしようとするとアンダーカットになってしまい、金型から抜けません。ペットボトルのような製法の金型なら抜けるのですが、ひとつの型につき100万個といった単位でないと生産できません。また、ポリタンクの金型だと、材質の性質上、透明な素材では成形できないんです。
── フライングマシンは、1/32スケールのコナン、ラナ、ラオ博士が付属しますね。 飯塚 「コナン」のファンなら当然、「プラモデルでこのシーンを作りたい」という希望があるはずです。それを考えると、フィギュアありきの企画になります。
── キットに触れてみると、フィギュアはやわらかい材質で成形されていますが? 飯塚 その理由は簡単でして、硬い樹脂だと髪や指などのアンダーカットになった細かい箇所が、金型から抜けないんです。それで、エラストマーという伸縮性のある樹脂を使っています。エラストマーの中でも硬い樹脂はあるのですが、それでは成形時にヒケが出てしまうので注意が必要です。ロボノイドに付属するフィギュアは、塗装しやすいようにパーツ分割しています。ですから、ちゃんと塗装のできる樹脂を使っています。
── ロボノイドですが、なぜ1/24ではなくて1/20スケールなのでしょう? 飯塚 1/24では少しフィギュアが小さくなってしまうし見映えがよくない、という理由もあるのですが、僕が個人的に横山宏さんの「マシーネンクリーガー」を大好きだからです。「マシーネンクリーガー」は1/20が標準ですし、マックスファクトリーさんから1/20で美少女のプラモデルが出ていたり、バンダイさんから発売された「装甲騎兵ボトムズ」も1/20でしたよね。それらのキットをイメージしながらスケールを1/20と決めたのですが、ロボノイド本体とフィギュアのバランスに、とても苦労しました。アニメの設定画は一応あるのですが、劇中ではシーンごとに形も大きさもバラバラなんです。しかも、プロポーションを劇中に近くすると、今度はサイズ的にフィギュアが入らない。「それなら、フィギュアは上半身だけでいいではないか」との意見ももらったのですが、それは開発者としては避けたかったんです。「ボトムズ」のキットだって、ちゃんとロボットの中にフィギュアが納まるから説得力が出たんだと思います。ですから、ロボノイドもちゃんとフィギュアが座れるようにしたかった。フィギュアは原型ができていたので、ロボノイドの図面をフィギュアに合わせて1パーセントずつ縮小していき、フィギュアが座れて劇中のイメージに近いサイズに決めました。