プラモデルなのか、ゲームグッズなのか? 「1/12テーブル筺体」を発売した株式会社ヘルメッツって何者だ?【ホビー業界インサイド第51回】

2019年09月22日 12:000

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マニアだけでなく、一般人にも“懐かしグッズ”としてアピール


── 昔のパソコンをミニチュアにして動かして楽しむ文化は、以前からあったのでしょうか?

兒玉 そうですね。プラモデル化したX68000というパソコンに限って言うと、メーカーのシャープさんが、当時のソフトフェアの無償利用を可能な状態にしてくれています。こうしたミニチュア製品も成立しやすい環境にあります。

── このプラモデルを買うお客さんは、濃いパソコンマニアなんですか?

兒玉 いえ、そういうわけでもありません。「ミニコンピュータはよく知らないけど、X68000のグッズだから欲しい」という方もいれば、「ああ、ラズパイのケースだよね。じゃあ、早速使ってみよう」という方、「これを機会に調べて勉強してみます」という方まで、本当にさまざまです。
今年の3月に出展した「埼玉ゲームシティ」というイベントの話ですが、家族連れで来るお客さんのうち、お父さんが食いつくんです。「これ、X68000じゃん! 昔こういうパソコンがあったんだよ~」と、なぜか自慢げに言う(笑)。マニアではない一般の方にも“懐かしグッズ”的に刺さるとは、意外でした。プラモデルの反響があったおかげで、今度はX68000型のバッグも発売予定です。


── バッグですか? 往年のコンピュータをキャラクターグッズ化している感じでしょうか?

兒玉 そう、一種のキャラクターです。実機ではフロッピーを入れるところが、バッグではファスナーになっていたりして、わかる人にもわかる仕様です。

── さて、この夏発売された「1/12 テーブル筺体」はX68000ラズパイケースに続いて、しっかり金型で成形されたプラモデルですね。

兒玉 (製造担当の)金型屋さんを知ったのは、実はワンフェス(ワンダーフェスティバル)です。ブースを1つひとつ回って、どれぐらいの値段で成形できるか聞いて歩いて、名刺交換して……と、そういうレベルから始めました。
最近、新規にプラモデル商品を開発する会社が、とても増えたように私は感じています。中には、金型製造業者発の商品もたくさんあります。3D設計からダイレクトに金型をつくれる技術が一般化したおかげか、他社から金型製作の仕事を請け負うだけではなく、自分たちで商品を立ち上げてメーカーになるパターンも多いのではないでしょうか。今月28~29日に開催される全日本模型ホビーショーに、弊社もプラモデルメーカーとして出展するのですが、隣のブースのアスカモデルさん、池上金型工業さんなど、自社キャラクターのプラモデル商品を展開していて、とても注目しています。


── そういうメーカーさんにシンパシーは感じますか?

兒玉 はい、もちろんです。活況なメーカーさんがいっぱい出てきて、勇気づけられもしますし、「負けないぞ」という気持ちになります。

── 社内に3Dプリンターが沢山ありますが、技術的な進歩については、どう思いますか?

兒玉 いい時代です。自分が学生のころには、ハンドメイド規模で量産品を作れる日が来るなんて、夢にも思っていませんでした。1/12テーブル筐体の透明パーツは、レーザーカッターでアクリル板を切り出したりしたものですし、3Dプリンターは試作品作成だけでなく、製品にも部分的に使用しています。
室内で手軽に利用できる加工装置が増え、パソコンによる設計がポピュラーになったおかげで、私たちにも手が届くようになりました。これは、技術的な地ならしをしてくれた先駆者の功績で、その方たちの恩恵にあずかっている……といったところです。私たちが企業をスタートアップさせ、実績を積むことができたのは、間違いなく道具の進化のおかげです。

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