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「生きる」は、毎日をがんばる人に向かって贈る曲になりました
── では、肝心のアルバム収録曲について、お伺いします。1曲目の「ミナミカゼ それはきっと」は、安野さんの楽曲の王道をいく、爽やかなポップスでした。 安野 かの香織さんの作詞・作曲で、とても心地よい曲になりました。コーラスを厚く重ねて、メインのボーカルだけでなくたくさんの声が響き合う、ふわふわした音色になっているので、お部屋で環境音楽のように聴いていただいてもリラックスできますし、カーステレオから流しながらドライブしたら最高だと思います。実はレコーディング当日はあまり体調がよくなかったんですが、むしろそれによって、歌にアンニュイな表情がつけられたんじゃないかと思っていて(笑)。あの日にしか録れなかったであろう、雰囲気のある歌声になりました。
── 2曲目の「生きる」は、TVアニメ「ソウナンですか?」のエンディングテーマです。 安野 「ソウナンですか?」のストーリーに沿った、力強い曲になりました。「この世界は残酷だけど 生きる 生きるんだ 夢中で」というエッジの効いた歌詞もあって、アニメの本編を見た流れでこの曲を聴くと、よりメッセージが伝わるんじゃないかと思います。
── 「ソウナンですか?」は女子高生たちがメインキャラクターですが、内容はガチなサバイバルですよね。 安野 そうですね。話数を重なるごとに、木の実の採取から魚獲り、獣をワナで捕まえてさばいて食べるといった、ワイルドな展開になっていってます。原作者の岡本健太郎先生は、猟師免許を持っていらっしゃるということで、実体験に基づくリアルな内容になっているんです。実際に遭難したら役立つ知恵がたくさん描かれています。
── 安野さんは、メインキャラクターのひとり、天谷睦(あまたにむつ)を演じています。 安野 睦ちゃんは、元来インドアな子ですが、とても勉強熱心なので、島でのサバイバルもひとつの学びだと考えて、マジメに取り組んでいる女の子です。一度覚悟を決めたら獣の解体にもチャレンジしたりと、実はサバイバルに向いている性格なんじゃないかと。絶対に生きて帰って、また学校に通うという気持ちをなくさないのが、いいところだと思います。
── 「生きる」の歌詞の中にも、生還するんだという強い気持ちが描かれた部分があります。 安野 「泥だらけ 傷だらけでも ぎゅっとだきしめてほしい あの日のまま おかえりって聞かせて」という、後半の部分がそうですね。日々戦っているすべての人にも通じる歌詞だと思います。
── 3曲目は、「Destino ~恋は一秒の永遠~」。スパニッシュなムード満点の大人っぽい曲です。 安野 旅立ってしまった愛しい人の帰りを待ち続けている、情熱的な恋の歌です。レコーディングのときに使った歌詞カードを見ると、余白に「アダルトに」、「艶っぽく」と書かれていて、大人の女性らしいボーカルを目指しました。ボーカル的には声を張りすぎないで、吐息のように歌った箇所もあります。
── コーラスには作曲・編曲を担当した松本良喜さんの声も入っています。 安野 この曲は、仮歌を松本さんが歌ってくださっていたんです。そのときに入っていたご本人のコーラスが本番でもそのまま生かされていて、そこに私のコーラスを重ねさせていただきました。男声と女声が合わさったコーラスで、曲にさらなるアダルトさが加味されているなと思います。
── 4曲目の「kiss! kiss! kiss!」は、安野さんの作詞です。 安野 かわいい曲になりました! 私が書いてみたかったのは、家で奥さんがウキウキしながら待っていて、「おかえり」って言ってくれる新婚夫婦のシチュエーションだったんです。「ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も?」みたいな曲がいいんです!ってプロデューサーさんに伝えたら、「あ、はぁ」っていうため息みたいなリアクションをされちゃったんですけど(笑)、矢吹香那さんが、ピチピチした女性らしいメロディを用意してくださいました。編曲は北川勝利さんで、さらにかわいらしい楽曲になりました。
── 歌詞カードを見ると、途中でひらがなだけで書かれたブロックがあって、ここの歌詞が、本当にかわいいんですよね。 安野 そこは、やさしくて甘い言葉を書くのに、苦心したところです。本当にレコーディングのぎりぎりまで、書いては直しを繰り返しました。
── その甲斐があって、新婚夫婦の仲よしぶりが見事に表現されていると思います。途中で「チュッ」って言ってるんですよね。 安野 「チュッ」は、楽曲のどこかに入れたいなと思いついて、プロデューサーさんと考えた結果、その場所になりました。まだまだウブな、おままごとみたいな夫婦なんですよね。そこがかわいくていいじゃないですか。私の曲はどちらかというと落ち着いた曲が多いので、こういう曲も歌えてうれしかったです。