【インタビュー】SOIL & "PIMP" SESSIONSのジャズが、TVアニメ「BEM」の危険な空気感を作り出す！

自分たちの次のアルバムにつながる、いい経験になりました

── オンエアされている作品を見ての感想を教えていただけますか？

タブゾンビ　すごく、いい感じです。絵にもセリフにも音楽にも余白があって、ガチャガチャと騒がしくない映像になっているところが好きで、すべてに対して引き算をして作っている作品なんだと思いました。やっぱり、芸術には「間」が大切じゃないですか。

社長　自分たちの音がつくことで、普通じゃないアニメに見えるなと思いました。さらに「BEM」のサウンドトラックには、もうひとりの作家さん（未知瑠）もいらっしゃって、使われる音楽によって、シーンの印象が大きく変わるのが面白いですね。未知瑠さんは、さすがプロの劇伴作家だなと。サスペンスのシーンとか、本当にドキドキさせられて、勉強になりました。

── 未知瑠さんの曲は視聴者の感覚を刺激する役割を果たしていて、SOILの曲は異国情緒あふれる「BEM」の世界観を表現する役割なのかなと感じました。先ほども言いましたが、各曲がしっかり曲として完結していることで、「OUTSIDE」というサウンドトラックアルバムは、SOILのニューアルバムとして聴くこともできるように思います。

社長　我々のファンには、そうとらえてくれる人もいると思いますね。「BEM」という作品のために作った楽曲ということで、普段の我々の曲とはちょっと違う切り口で表現することができたし、オリジナルアルバムよりも、むしろ手法的には自由だったような気がして。打ち込みの成分が多かったりするのもそうですし、打ち込みと生音を混ぜてみたり、チャンレンジングな音作りができたというのは、自分たちの次のアルバムにつながるいい経験になったと思います。


── アニメファンにとっては、現代のジャズを味わえるチャンスという気がします。

タブゾンビ　そう言っていただけるとうれしいですね。「BEM」のサントラを機会に、アニメファンのみなさんにも、SOILの音楽を聴いていただきたいです。

── SOILは、坂本真綾さんが歌うオープニングテーマ「宇宙の記憶」も演奏されています。椎名林檎さんがプロデューサーとして作詞作曲編曲を手がけた曲です。

社長　我々は、椎名さんには完全におぶってもらってますから（笑）。「宇宙の記憶」では我々の演奏もディレクションしてくださったんですけど、もとからSOILの音を理解してくれてるので、レコーディングは早かったです。坂本さんは、ウチのピアノトリオのJ.A.Mがかつて共演させていただいたことがあったんですが、SOILとしては初めてでした。

タブゾンビ　坂本さんはすごかったよね、歌が素晴らしいなと思って。完璧に何かが憑依している感じで歌われていて、プリプロの段階ですでに完成していました。「宇宙の記憶」はすごく難しいのに、さらっと歌ってました。

社長　そうそう、プリプロを見に行ったとき、もうこれが本番でいいんじゃないかと思いました。「宇宙の記憶」は、TVサイズだとボーカルで終わっていくじゃないですか。あれがすごくかっこよくて、オンエアを見るたびに、坂本さんの歌声に心をつかまれてます。

SOIL & "PIMP" SESSIONSプロフィール

メンバーは、タブゾンビ（Tp）/ 丈青（Pf）/ 秋田ゴールドマン（Ba）/ みどりん（Dr）/ 社長（Agitator）。
2001年に結成。国内外のライブやフェスに出演。ワールドワイドな活動を展開する。現時点での最新オリジナルアルバムは、2018年5月9日リリースの「DAPPER」。椎名林檎、布袋寅泰、一青窈、野田洋次郎、三浦大知など、さまざまなアーティストとコラボしている。

CDデータ

■TVアニメ「BEM」オリジナルサウンドトラック「OUTSIDE」

〈収録曲〉
01. Phantom of Franklin Avenue
02. Blue Eyed Monster
03. Tracking
04. The Light and The Shadowland
05. Shapeshifter
06. Before The Dawn
07. Wanna Be A Man
08. Out of Control
09. Thinking of you
10. In The Gloom of The Forest
11. Inside
12. A Sence of...


（取材・文／鈴木隆詩）