「ダンまちII」では、ヘスティア以上にヒロイン力の高い女の子たちが大フィーチャー／ヘスティア役・水瀬いのりインタビュー

リリのヒロイン度合いがものすごかった３話

── 3話が、戦争遊戯編のドラマの大きなポイントである、リリがソーマ・ファミリアとのしがらみに苦しむお話でした。

水瀬　ヘスティアが、ソーマ・ファミリアの虜になったリリを助けに行ったりもして。そのソーマ・ファミリアは、リリの最大の弱点であるんですけど。ソーマの存在感もすごかったですし、彼がもたらす雰囲気……逆らえない感じもすごく出ていて、ほかの神とは違う人ですよね。狂気じみたものというよりは、ジリジリと心の中を洗脳されていくような魔性……彼が作る、人の心をまどわし操るお酒と同じように、一度味わってしまったらアリジゴクのように抜け出せなくなるファミリアなのかな？と思っていて。そういう関わることが危険な人たちなんだろうという意識もありつつ、でもリリを助けに行くんです。ただ1期の頃ならヘスティアは、リリを助けに行くなんていう行動はなかなか素直にとれなかった気がするんです。でもベルくんの成長には、リリやヴェルフの力添えがあっての面もあって。第2期からは命（ヤマト・命）もかなり戦力として力を貸してくれてますよね。だからリリは、ベルくんというものを構成して行くうえで必要不可欠な存在なんだと、ヘスティアが強く感じているので、ベルくんがリリを助けたい気持ちは、イコール自分の気持ちだから助けるんだって。本当にベルとヘスティアの想いが「ひとつ」になったシーンだったと思うんです。ベルやヴェルフたちと一緒になってリリを助けるシーンは、「まるでヒロインを救出に行くみたい！」っていう雰囲気でした。リリの涙のシーンとか、お酒を飲まされて意識が遠のく中でも、やっぱりベル様と一緒にいたいと想いを告げるシーンとかは、愛おしくてグッと来ました！　彼女を絶対に死なせてはいけないという気持ちを持って、必死で助け出しました。


── この3話のリリの内田真礼さんのお芝居は、どうでしたか？

水瀬　すごかったです。普段のリリって、オマセでちょっとツッコミ役でもあるので、割とムキになったりせずに「はいはい」って流すタイプじゃないですか。でも実はどこか悲劇のヒロインみたいなポジションかなと思っていて。元々が身寄りのない境遇だったり、ベルと出会う前は人を騙して生きていくことしか、自分には生きる道はないと思っていたでしょうし。誰かを信頼することを恐れて来た。そんなものは自分にはしちゃいけないと咎めてきたであろう、人一倍やさしい子なんです。なので、誰かに迷惑をかけるとか人の足を引っ張ることになると考えたときに、自己犠牲の道を選んでしまうのかなって。だからふとした表情の中に翳（かげ）りや曇りが見える度に、リリをひとりにしないようにしなきゃ！　って思うんです。その辺が見えるシーンでの真礼さんのお芝居は、リリが胸の内に秘めている気持ちをある種泥臭く出していくというか。とにかく、全力で抱きしめたくなるかわいさにあふれてました。

── 4話がアポロン・ファミリアとの戦争遊戯の本番でしたが、多勢に無勢の状況にありながらヘスティア・ファミリアが勝利を収める流れが、カタルシスも高かったです。

水瀬　もう、めちゃくちゃ気持ちよかったです！　アポロンが終始気持ち悪かったので（笑）。アポロン役の逢坂良太さんのお芝居もそうなんですけど、とにかく小憎たらしくてイヤラシくて。いつかコイツに頭を下げさせてやるぞって私は思いながら（笑）……ヘスティアは、もっと純粋に「勝てるかな？」っていう気持ちだったと思うんですけど。でも私としては、戦争遊戯の結末自体は知っていたので、4話の収録では早くラストでの「永久追放だ！」って言い放つシーンが来ないかなと。それくらいのハイライトとして、そこに向かってあの回は私は芝居をしていました（笑）。そのシーンでは、ヘスティアのツインテールもゴゴゴゴ！って揺れ出すギャグ調になってる分、仇役だけどアポロンは憎めないなとも思えるシーンにもなっていて。そこが大森先生の描き方のよいところだと思うんです。


── ヘスティアのファミリア自体は弱小ですが、団員という繋がりとは違う「仲間」の協力で勝つのも、よいですよね。

水瀬　本当にみんなのおかげで勝てたんですよね。ヘスティアとしては思いの力、信じる力は何物にも代えがたいんだなと、改めて知った感じです。みんな総出で、これまでの物語を通して出会ってきたキャラクターたちが一斉に……ベルくんを中心に苦難を乗り越えていく中で築いてきた絆で、アポロン側に立ち向かう形で描かれていて。それぞれがそれぞれを思いやる力が、すごく大きなものになって今回の戦争遊戯に勝てたんだろうなって。だからより自信がつく戦いだったんじゃないかと思います。

── 戦争遊戯に勝利したヘスティアが、ドヤ顔丸出しで新たな団員を募集したりする5話は、全編コミカルで面白かったです。

水瀬　アポロンが住んでたデッカイお屋敷も手に入れて（笑）。庭がついていたり、入団希望者の前で演説するシーンではヘスティアが王族が国民に謁見するかのような感じのバルコニーに立ってたりとか。その豪邸でみんなで乾杯したりして。そんな風に全員で羽根を伸ばしつつ、互いにねぎらい合う。端から見ると調子に乗ってるように見えるんですけど（笑）。でもこんなときくらい、調子の乗せてくれっていうくらい2話から4話まではみんなすごく頑張ったので、みんなうぬぼれつつっていう感じでしたね。


── みんなそれぞれが望んだ、屋敷の改装も楽しかったです。

水瀬　そうそう！　それぞれ個性が爆発してて。この回で面白かったのが、その改装で実現した温泉でのシーンなんですよ。普通は男性キャラが頑張って女湯を覗こうとするじゃないですか。でも女の子が、一緒に入っている女の子に止められながら男湯を覗こうとするっていうのが、ヘスティアらしいなって（笑）。それに気がついたベルくんが「ヘスティア様!?」って赤くなる。それ逆でしょ！っていうシチュエーションが生まれていて。そこも「ダンまち」ならではだなって思うんです。そこのシーンは私も全力投球で演じたので……私自身、どんな仕上がりになったのか、オンエアで見るのが楽しみだったんです（笑）。