可動美少女フィギュアの世界で“オリジナルキャラ”はどう勝負する? りゅんりゅん亭・遠那かんし氏、インタビュー!【ホビー業界インサイド第49回】

2019年07月27日 12:300

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固い頭のフィギュアに、布製の服は似合うのか?


── 可動フィギュアに興味が移行したのは、いつ頃なのでしょう?

遠那 「そろモン72」(~そろそろ悶々とするには72は多すぎる~)というシリーズから、可動フィギュアを始めました。アゾンインターナショナルさんと取り引きする中で、ピコニーモという可動素体を使わせていただけることになり、そこに今まで培ってきたカラーレジンのノウハウを組み合わせました。“ソロモン72柱”をモチーフとした、acusさんとのオリジナル企画です。
しかし、それまではあまり可動フィギュアが好きではありませんでした。遊ぶのにセンスが必要だと思うからです。ポーズづけなどが難しくて、人を選ぶのではないかと思っていました。ところが、Phat!さんと共同開発したディフォルメ可動人形「パルフォム」や、アゾンさんの可動フィギュア「アサルトリリィ」の原型の仕事を依頼されるうち、興味がわいてきたんです。「そろモン72」はピコニーモの関節部分を使う前提で、カラーレジンで成型してあります。瞳は、ハイキューパーツさんのデカールを使っています。最近のデカールは以前とは比較にならないぐらい質がよくなっていますから、とてもきれいに仕上がります。
それと、「そろモン72」から、私自身がキットを組み立てた完成品の販売を始めました。「買ってくれた方に組み立ててほしい、ハードルを下げたい」という思いからカラーレジンを使いはじめたわけですが、逆に考えれば自分でも簡単に組み立てられるんですよね。瞳デカールも、自分でひとつずつ貼っています。「そろモン72」は最新作も、現在製作中です。

── 「そろモン72」を経て、「BikiniStyle」シリーズへ至るわけですね。

遠那 「そろモン72」の反省点は、シリーズを続けるうちに情報量が多くなって、価格も高くなってしまうことでした。そこを反省して、「BikiniStyle」ではシンプルなビキニ姿にしました。可動フィギュアは遊ぶのが難しいと思っていたのですが、別売りの服を着せることでカスタムする楽しみを提供できるとわかりました。幸い、ドールの服を作っている作家さんから「BikiniStyle専用の服を出しませんか?」と声をかけていただいたので、これから先、服も出していきたいと思っています。


── 「BikiniStyle」は、Twitterの専用アカウントがありますね。

遠那 髪の色が3色あるので、それぞれキャラクターづけして、ワチャワチャと遊んでいる姿をTwitterで発信しています。キャラづけすれば、ほかの髪色も欲しくなるんじゃないかと思ったのですが、そうした性格づけを嫌う人もいるだろうから、別アカウントに分けてみました。

── 服を着せるのはプラモデルやガレージキットなどのホビーではなく、ドールに由来する遊び方ですよね。そのことに、違和感はありませんでしたか?

遠那 最初は、ありました。硬い頭に布製の服が似合うんだろうかと、抵抗がありました。アゾンさんから「アサルトリリィ」のお仕事をいただいて、完成した製品を手にとってみると、その違和感は消えていきましたね。
「アサルトリリィ」における私の仕事は、ヘッド原型です。頭部に集中すればできのいい製品ができあがります。金型をつくるのは頭や武器だけですし、発表から発売まで2か月程度しかかかりません。また、パッケージの裏を見ていただけるとわかるのですが、各分野のプロフェッショナルが集まった究極の製品なんです。頭は私、服は誰、武器は誰……といった具合に、みんなで合作している感じが気持ちいい。SNSで「新しいアサルトリリィ届いた、遊んでる」というお客さんの投稿を拝見するのもうれしいですし……。
「ゾイド」などの玩具メーカー発のコンテンツって、見ていてワクワクしますよね。アゾンさんの「アサルトリリィ」は設定もすごく楽しいですし、そんな製品にかかわれる自分は恵まれていると思います。こうして楽しい仕事を進んでできるのも、フリーランスという立場のありがたさですね。シリーズは好調だそうなので、今後もどんどん作っていきたいです。

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