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「とうめいにんげん」は、つらくて、ずっと聴くことができませんでした
── その次は、livetune adding 中島 愛による「Transfer」です。最初におっしゃっていた、ほかのアーティストの作品に参加した楽曲ですね。 中島 別レーベルからのリリースですが、快諾いただきベストアルバムに収録できました。この曲も私のターニングポイントになりましたし、個人的にも大好きです。それに私の曲を知らなくても、あのすごく話題になったPVを見たことがある方は多いんじゃないかなと思います。
── 次の「Ame (Rain)」も打ち込みのダンスナンバーで、Rasmus Faber feat. Megumi Nakajimaとしてリリースされた曲です。 中島 ラスマスさんのオリジナルアルバム「WE LAUGH WE DANCE WE CRY」に、唯一の日本人ボーカリストとして参加させていただいたときの曲です。作詞・作曲とも窪田ミナさんとの共作で、この曲も大好きです。ラスマスさんに「収録してもいいですか?」とおうかがいしたら、「いいけど、リミックスさせてよ」というお返事がきて、新しく10th Anniversary Remixになりました。よりスピード感のクラブ仕様になって、「Transfer」と合わせてフロア感が出たパートになりました。
── ぜひDJに使っていただきたいですね。次は「愛の重力」。3rdアルバム「Thank You」のリード曲です。 中島 打ち込みが2曲続いてからのフュージョンという流れが、中島 愛っぽいなと思って、この並びはお気に入りです。ずっとライブのバンマスを務めてくださっている西脇辰弥さんの作曲・編曲で、私の趣味が詰まった曲になりました。大ベテランのミュージシャンの方々が演奏してくださっている超絶技巧の曲なんですけど、それに乗せる自分の声がやや幼い雰囲気になっているのが、逆にいいなと思って。今の私がもう一度レコーディングしたら、まったく違う歌い方をすると思うので、歴史を見ている感じがしました。自分の歌い方はこんなふうに変わってきたんだなと、しみじみしました。尾上文さんによる歌詞もよくて、歌うのは難しいんですけど、ぜひまたライブでやりたいです。
── 10曲目の「Flower in Green」は、ベストアルバム中唯一の英語詞です。 中島 TVアニメ「輪廻のラグランジェ season2」の挿入歌です。「輪廻のラグランジェ」はラスマスさんとの出会いとなった作品で、「たまゆら」と同じように私のターニングポイントとなりました。第1期のときは、ラスマスさんの「TRY UNITE!」と北川さんの「Hello!」で、オープニングとエンディングを両方とも担当させていただいて、この頃の私は波に乗っていた感がありますね(笑)。そんな中で、「英語詞を歌いませんか?」と突然言われたのがこの曲で、全然ネイティブじゃないので怖かったんですけど、チャレンジしてみようと思いました。レコーディングのときにラスマスさんが「いいね」とおっしゃってくださって、ホッとした覚えがあります。
── 「とうめいにんげん」は、3rdアルバム「Thank You」のラストに収録されている、しっとりとした曲です。 中島 この曲は休業を象徴するような曲なんです。コトリンゴさんが作詞・作曲してくださって、レコーディングもコトリンゴさんのピアノと同時に録ったんですね。3テイクくらい録ったんですが、2テイク目が神がかったような息の合い方で、そのテイクがメインに使われています。コトリンゴさんとのセッション自体が貴重な経験でしたし、歌詞の内容も「私は表舞台から去ります」みたいな雰囲気があるので、これはベストに入れておきたいなと思いました。
── 姿が消えてしまって、気配だけが残る歌ですからね。 中島 説得力がすごい曲で、コトリンゴさんご自身が歌ったデモをいただいたときのことも鮮明に覚えています。さびしい曲かもしれませんが、この曲を出会って歌えたことが、すごくよかったなって当時は思ったんです。そのときの気持ちのまま、ベストアルバムにもパッケージしたいと思いました。
── そこからの「愛はめぐる」で、これは復活の曲ですよね。 中島 「とうめいにんげん」で去って、この曲で戻ってきました。復帰後最初のシングル「ワタシノセカイ」のカップリング曲で、坂井竜二さんによる「Love is coming, coming back!」という歌詞が印象的な曲です。「とうめいにんげん」は、復帰した後もずっと、つらくて聴けなかったんですよね。ベストアルバムを出そうということになって、やっと聴けたくらいで。でも、ベストに入れたい曲を並べたら、「とうめいにんげん」の次が「愛はめぐる」になって、パズルのピースがピタッとはまった気がしました。
── すごく救われた感がありますよね、この並びには。 中島 私は思い込みが激しいタイプなので、この並びはたまたまだったんですけど、ベストアルバムとしては運命的だと思いました。レコーディング時期でいえば4年くらい空いていて、その間、もう復帰しないという選択肢も自分の中にありましたし、休止中は本当にしんどかったし、みなさんにもご心配をおかけしてしまった分、「愛はめぐる」から再び始まった私は、いい流れになっているなあと。この2曲の並びのドラマチックさは、私自身、グッとくるものがありました。