“成形色”を売りにしたスケールキット、ついに登場! 「モデルキット999」シリーズが提唱する“プラモデル本来の楽しさ”とは?【ホビー業界インサイド第47回】

2019年05月25日 12:000

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塗料メーカーとコラボすることで、繊細な成形色の調整が可能に


── パーツ状態で見るとスライド金型のパーツはあるし、効率よく成形されていることがわかります。

ビンセント 細かいものを細かいパーツ分割で再現するのは簡単です。今年の静岡ホビーショーでは静岡県内の子どもたちの招待日が設けられましたが、初めてプラモデルに触れる子どもたちに必要なのはディテールではなく、組み立てやすい一体成形のパーツを組み上げる楽しさです。私は品質を限りなく追求するという姿勢を日本のプラモデル企業から学びましたが、低価格の簡易なキットを1時間で組み立てたい人たちに向けた定番のカテゴリーとして「モデルキット999」を継続していきます。今後発売の新製品を含め17種がラインアップされていますが、いずれはトミカのような長大なシリーズに育てていきたいと考えています。

── すると、飛行機も戦車も同じシリーズなんですね?

榊原 従来なら飛行機と戦車を分けたと思いますが、「モデルキット999」では、すべてを999円という値段でひとまとめにしています。厳密には、飛行機やトラックは透明パーツもありますし、アイテムごとに原価は異なります。ですが、そうした弊社内の都合をお客様には一切影響させず、すべて999円で販売することが製品コンセプトだからです。いずれはゼロ戦など第二次世界大戦の日本機も予定しており、新旧まじえたさまざまなラインアップを「モデルキット999」シリーズで展開したいと考えています。


── ラインアップに特徴はあるのですか?

榊原 シリーズ第1弾は定番中の定番のような展開ですが、第2弾に陸上自衛隊の10式戦車や16式機動戦闘車などを加えたのは、もちろん日本市場を意識してのことです。米軍の戦車でも自衛隊に配備されたものは、いずれ自衛隊カラーでも発売するつもりです。

── 何より驚いたのは成形色ですね。箱にも成形色を明記して、1つひとつ色が異なることを強調していますね。

ビンセント はい、成形色は大きな特徴です。

榊原 本来なら、アイテムごとに成形色を変えるだけでコストがかかってしまいます。自社工場を持つウォルターソンズだからこそ、成形色の調色が可能なんです。どれぐらいの割合でカラーバッチを混ぜれば適切な色になるのか、スペインの塗料ブランド“AKインタラクティブ”とコラボして、ノウハウを教えてもらっています。ですから、実物そのままとは言わないまでも、AKインタラクティブの塗料に近い色にはなっているはずです。

── 海外でも、塗装しなくても楽しめるプラモデルには関心が高いのでしょうか?

ビンセント もちろんです。スプレー塗料を買うだけでも数百円かかってしまうわけですから、1/72スケールの安くて小さなキットを塗るために、そこまで塗料にお金をかけたい人はいません。細かいところを塗ってデカールを貼るだけで達成感を得られるようなキットにしたいのです。値段が3,000円するキットなら、親御さんが子どもさんにプラモデルを買い与えるのも慎重になってしまうと思いますが、999円なら「まあ作ってもいいよ」と言っていただけるのではないでしょうか(笑)。

── フィギュアと戦車の履帯はPVC成形ですね。

ビンセント フィギュアは戦車に乗せて楽しむことを重視しているので、腕などのパーツを除いて一体成形です。PVCは瞬間接着剤との相性がいいので組み立てやすいはずです。


── 組み立てるのに、どれぐらい時間がかかるのでしょう?

榊原 私の最短記録は30分です。ほかの方は、素組みで約1時間から1時間半で完成させておりました。

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