【インタビュー】テクノボーイズ結成25周年のカタログ的ベストアルバム収録曲からその音楽制作のスタイルに迫る

作品の世界観とテクノボーイズならではが融合するサントラ

── 「SOUNDTRACKS WORKS / WITH VOCAL WORKS / REMIX WORKS / EX-TRACKS」とされているDisc2には、テクノボーイズが任される仕事、そして生み出す音楽の幅の広さがさらに現れています。

松井　「ex-ist/entia」なんてオペラですからね。エレクトロオペラは前々からやりたかったんですよ。うちにはせっかくそういう曲も書ける石川がいるんだからって。でもオペラをやれる機会なんてなかなかないじゃないですか？　それが「紅殻のパンドラ」の劇伴で「やっていい」と言われまして。

フジムラ　「紅殻のパンドラ」の世界観ならこういう曲を入れても破綻しないので。

松井　「攻殻」関係の作品でやれたのも面白かった。ああいうエレクトロな世界において生命を語るにはオペラってぴったりだなと思いました。

石川　「紅殻のパンドラ」の劇伴全体としては、この作品の世界は「攻殻機動隊 ARISE」に繋がるもので時代的にはこちらのほうが先ということで、「ARISE」で鳴っていた音楽よりも古い印象の音にしようというのがコンセプトでした。

松井　というような作品ごとの劇伴の最初のコンセプトはだいたい石川が決めてくれてます。

── そこから同じく「紅殻のパンドラ」からの「Application Metrics」、「トリニティセブン」からの「MAGUS MODE」と続きます。

石川　スリーサイズのテーマ。


フジムラ　「トリニティセブン」の番宣CMでああいう使われ方をしてね（笑）。真面目な話としては「トリニティセブン」という作品の音楽、その洒落たスタイリッシュなイメージを象徴するような1曲がほしいというオファーに応えた曲です。

松井　「Application Metrics」は、劇場先行上映という形で披露された「紅殻のパンドラ」の第1話・第2話のエンディングで流れるものとして作った曲ですね。そういうこともありましてこの2曲はテクノボーイズの曲の中でも独特なものになっていて、ライブで演奏することも多いです。劇伴的な作りの曲じゃないですよね、普通のインスト曲の構成といいますか。

── その2曲などは例外として劇伴曲では、本編に合わせて曲の一部を抜き出して使ったりもしやすい構成にするとか、普通のインスト曲とはまた別の作曲・編曲上の手法や配慮が必要だとか。

松井　……僕に関しては考えたことないですね（笑）。自分の手法でしか作れないんで。そういうのは最後に石川が。

石川　してます。

松井　石川に渡す前の時点の曲では相当に無茶なことをしてると思うんですけど、石川はその無茶なところを全部削るんじゃなくてけっこう残してくるんですよね。それで僕らの曲はおかしなことになってるんだと思うんですけど（笑）。

石川　その無茶がほかと違う部分なんで。そこは残しておいたほうが印象的なものになると思うので。