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書き下ろし小説は、素直になれず強がってしまう女の子の話が多いです
── 制作の順番通りに小説と楽曲を見ていくと、最初が「ガールズブルー」の第1弾である「先輩」(小説)と「青春なんていらないわ」(楽曲)ですね。 みあ ひと夏の物語をイメージして書き始めたんですけど、普通じゃない関係性のほうが面白いというアドバイスを、スタッフさんからもらったんです。じゃあ、夏が終わったら東京に戻ってしまうOBの先輩が、部活に教えに来てくれて恋に落ちる話にしようと。三パシの題材になる部活ってなんだろうと考えたとき、吹奏楽部の女の子がしっくり来て、私には吹奏楽部の経験がなかったので、高校時代の友だちにすごい久しぶりに連絡をして、楽器や練習内容やコンクールについて、いろいろ教えてもらいました。
── 取材したということですね。 みあ はい。
── 楽曲の作詞作曲編曲は、n-bunaさんです。どんな曲にしてほしいと依頼したのでしょうか? みあ 小説は後半にかけて淡い恋の物語になっていくんですが、楽曲では恋心も感じさせつつ、どうして周りの人が簡単にやっていることが自分はうまくできないんだろうという葛藤と、それでも一歩踏み出そうとする勇気を表現していただけたらうれしいです、とお伝えしました。うまくできない自分とどう向き合うかということが、「青春なんていらないわ」では描かれていると思います。「青春なんていらないわ」と言いながら、一番青春したいのはこの曲の主人公で、そういうふうに強がっちゃう女の子なんですよね。
── 「青春なんていらないわ」というセリフは、「先輩」の中に出てくるんですか? みあ 出てこないです。
── じゃあ、n-bunaさんが「先輩」を読んで自分なりに創造した言葉なんですね。そういうふうにイメージが広がっていくのはコラボならではですよね。 みあ そうなんです。だから、私も楽曲をいただいてから加筆した部分がありました。
── 次に書いたのは、冬の第2弾ですね。「家出少女」(小説)と「街路、ライトの灯りだけ」です。 みあ 「家出少女」は高校3年生の女の子が主人公で、音楽をやりたくて東京の専門学校に通いたいと思っているんですけど、両親に反対されているんです。それで人生で初めて家出して、親友の女の子と夜の街を歩いていく話です。前の「先輩」は恋愛の話だったから、今度は女の子同士の友情をテーマにしようと思いました。2人で夜の線路を歩いていく、三パシ版「スタンド・バイ・ミー」みたいなお話です。
── それに対して、n-bunaさんが作詞作曲編曲したのが「街路、ライトの灯りだけ」。メロディが印象的で、すごくいい曲だと思いました。 みあ 小説を書いているときに浮かんだ情景をn-bunaさんに尋ねられてたんです。田舎町で街灯の灯りしかない暗い夜道を歩いていて、そのときにイヤホンで音楽を聴いていて、静かな中でそのメロディだけが流れているような情景を説明したら、本当にそんな景色の見える曲を作ってくださいました。
── この先が、アルバムの新曲になっていきます。1曲目に収録されているのがリード曲の「三月がずっと続けばいい」。もとになった小説は「三月」です。 みあ 明るく別れの想いを歌う曲を作りたいなというところから、小説を書いていきました。三月と言えば卒業だなと思って、好きな先生に想いを伝えられないまま卒業していった女の子の話になりました。私も高校時代に先生を好きになったことがあって、そのときの気持ちを思い出しながら書いたんですけど、あの頃の自分って、別に先生の恋人になりたいと思っていたわけじゃないんですよね。私だけに話してくれたこととかがあるだけでうれしかったりしていたんですけど、先生に恋人がいたらイヤだという気持ちもあって、ひと言では言い表せられない微妙な感情なんです。
── ザ・思春期ですね(笑)。そんなお話をもとに堀江晶太さんが作詞・作曲・編曲したのが、「三月がずっと続けばいい」ですね。アップテンポながら、切なさがある曲でした。 みあ メロディやサウンド感も好きなんですけど、歌詞が特に大好きです。素直になれない女の子の気持ちが、すごくかわいく思えてきて、さすが堀江さんだなと思いました。
── 4曲目の「パステルレイン」も堀江さんが作詞・作曲・編曲されています。 みあ これだけは楽曲が先にあって、それをもとに小説「低気圧のせいだ」を書きました。実はインディーズの頃、2015年くらいに堀江さんにいただいていた曲なんです。エッジの効いたサウンド感で、歌詞もすごくよくて、いつか世に送り出したいなと思っていたので、今回、アルバムに収録できてうれしいです。
── 歌詞の中に「低気圧のせいだ」という言葉が出てきます。 みあ そのまま、小説のタイトルにしました。これも素直になれない女の子の話です。恋している相手が自分のことを恋愛対象として見ていないことを態度で表していて、自分もそれを承知してますよって態度で接しているんですけど、諦めきれないというか。
── 「低気圧のせいだ」の方は、楽曲ではわからないこの2人の結末が書かれていますね。 みあ 今までずっと気持ちを抑えてきたのに、もうどうなってもいいやって思っちゃう瞬間ってあるんですよね。それを小説では書いてみました。