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「ガールズブルー」の自主企画で、小説を書くことに初めて挑戦しました
── では、いよいよアルバムの内容に深く入っていきたいと思います。先ほどもちょっとお話に出ましたが、ニューアルバム「ガールズブルー・ハッピーサッド」のシングル曲以外の曲は全部、みあさんが書き下ろした小説がもとになっているんですよね。 みあ 去年の夏に始めた「ガールズブルー」という三パシ(三月のパンタシア)の自主企画が、おおもとにありました。私が書いた小説とイラストレーターさんによるイラストと音楽を連動させるというもので、音楽と映像をYouTubeで、小説をみあのTwitterアカウントで公開していったんですけど、どちらも非常にリアクションがよくて。それまで三パシを知らなかった層の方にも広がっているのを感じたので、冬に第2弾をやろうと早い段階で決まったんです。その準備をしていく中で、2019年3月にアルバムをリリースする話が出てきて、じゃあ、「ガールズブルー」の延長線上で楽しんでいただけるアルバムにしようということになっていきました。
── 夏に出した「ガールズブルー」の第1弾楽曲が「青春なんていらないわ」、冬の第2弾が「街路、ライトの灯りだけ」ですね。 みあ どちらも発表した季節に即した曲だったので、アルバムの新曲では春や秋の曲を加えて、春夏秋冬を感じられるようにしようと思いました。
── アルバムタイトルには、「ハッピーサッド」という言葉が新たに加えられています。 みあ 「ガールズブルー」だけではちょっとさみしい感じがして、何かいい言葉はないかなと思ったときに、パッと思い浮かんだのが「ハッピーサッド」でした。未来に対して希望を抱いているはずなのに、ふとした瞬間に不安になったり、憂鬱になったりする青春の時期特有の感覚とか、逆に希望が持てない毎日の中でなんとか光を見いだしたいという気持ちだったり、そういう感情の浮き沈みを表すことができる言葉なのかもと思って提案したら、スタッフのみなさんも「いいじゃん」って賛成してくれたんですけど、どこかで聞いたことがある言葉なんだよな、と思って。
── 元ネタがあったかもしれないと。 みあ ネットで検索して、「あ、これだ」と思ったが、数年前に見た「シング・ストリート 未来へのうた」という映画でした。ヒロインのセリフの中に、この言葉が出てくるんです。最初に見たときから大好きな作品だったんですけど、今回改めて見直したら、三パシが表現したいことと共通する部分がすごく多くて。それで、このタイトルに決めました。
── 新曲もすべて、まずは小説を書くことから始めたのでしょうか? みあ はい。小説はこの企画で初めてチャレンジしたんです。Twitterでの公開だったので、140字でセンテンスを区切らなきゃいけないし、あまり長くない内容で伝えたいことを表現しなければいけないので、難しかったです。全8作の小説が文庫本の形になってアルバムの初回限定盤(ガールズブルー・ハッピーサッド盤)に同梱されるんですけど、字組やレイアウトにもすごくこだわりました。
── 小説も全作をひと通り読ませていただきました。共通しているのが登場人物の年齢感で、高校を卒業して成人して、お酒が飲めるようになった20代前半の物語だなと。 みあ そうですね。大学生くらいの年齢感です。これまでリリースしてきたシングルのジャケットイラストは、制服姿の女の子だったりしますし、歌詞の主人公も高校生くらいの女の子が多かったので、最初は高校生の物語も考えてみたんです。でも、最終的に形になった作品のほうが無理なく書けましたし、みあを感じるというか、リアリティが文章に出ているような気がします。
── ご自分の年齢感により近づけたと。 みあ 三パシの世界観としてはちょっとずれているのかなと、一瞬不安にもなって。特に「ビタースイート」という曲のもとになっている「グッバイパンプキン」という短編は、これまでにない世界観だったんですけど、スタッフさんから「これはこれで面白い」と言っていただけたので、じゃあ、好きなように書いていこうと思いました。
── 「グッバイパンプキン」が、一番ぐちゃぐちゃな人間関係なんですよね。態度がはっきりしなくて、しかも別に恋人がいる相手を好きになって、はまり込んでしまう女の子の話です。 みあ いったい私、どんな気持ちでこれを書いたんだろうって(笑)。アルバムの新曲は季節をテーマにするということで、秋の別れの曲がほしくて、秋でテーマになりそうなものってなんだろうなと考えたときに、ハロウィンが思い浮かんだんですけど、明るいイメージがあるから三パシっぽくないかなと思ったんです。じゃあ、めっちゃ暗いハロウィンの話を書こうと思って書き始めたら、こんな話になってしまって。大丈夫でしたか?(笑)。
── お話として、味わい深く読ませていただきました。 みあ 「依存」が大きなテーマになっている話です。この小説をもとに楽曲を作っていただいたすこっぷさんにも、好きな人にふり向いてもらえない痛みとか寂しさというよりも、なんでこの人と離れられないんだという自分に対する怒りとか苦しみを表現した楽曲になったらいいと思うんです、とお話ししました。
── 誰かに依存しているということは、相手のことを冷静に判断できなくなっているんですよね。 みあ 端から見ると、なんでその人がそんなに好きなの? と思うような。でも、自分の中で神格化されているような感じなのかもしれませんね。そんな女の子の気持ちを想像しながら、書いていきました。
── 小説は、どこか歪んだ要素があったほうが面白いし、考えさせられます。 みあ 1滴の毒みたいなものは、意識しましたね。それがないと普通すぎて面白くないなと。