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涙なくしては語れない、アルテミスへの気持ち
── 劇場版のゲスト、アルテミスの印象は? 松岡 この劇場版は外伝ではなく正史ではあるんですけど、アルテミス様とはまた別の世界線でお会いしたかった!ってすごく感じます。そうであったならファミリアは別だけど、いわば同志として仲良くできたんだろうなって。そう思うだけに、すごく惜しい方を亡くしました。坂本真綾さんの演技も本当にアルテミスに合ってました。テストで僕自身が半泣きになるくらいアルテミス様という存在の愛おしさを感じてました……。さらにベルが、彼女の存在を自分の手で終わらせなければいけないという残酷な運命もからみ合って……。ヘスティアは一緒に行動していくうちに、どんどん昔のアルテミスとは違うと勘づいていくわけじゃないですか。そこからの、あのアルテミスを取り込んだ憎たらしいラスボスですよ! あんな状態にされたアルテミス様がどんな想いで、あの槍を使える人物を探していたのかを考えると、とんでもなく切なくて! あの槍でアンタレスを倒すことは、自分の存在も終わることがわかってるわけじゃないですか。そこがもう……(言葉に詰まる)。アルテミス様もすごく純真ですよね。
── そのことをクライマックスでベルは知って、ものすごい叫びを上げて動揺するけれども、でも最後は槍でアンタレスを倒す展開はとても苦いですよね。 松岡 そうなんですよ。自分が考えてた理想を自分で粉々に砕かないと、前に進めない。みんなは危険な状態になってるし、アルテミス様も救われないっていう……。そこからの、ラストシーンでのベルの「神様、僕強くなりたいです」っていうセリフの意味合いが、第1期の1話とまったく違うんですよ!
── そうなんですよね! それはきっと、ベルがひとつ挫折を味わって、それでもなお「新しい理想」みたいなものを目指したい気概が感じられるというか。ひとつ成長した証のセリフのように感じました。 松岡 そういう感じはありました。だから、ここから第2期が始まったらどうなるんだろう?って。この苛酷な体験を経たベルですからね。音響監督の明田川仁さんには、きっと第2期のアフレコが始まったら「アルテミスを引きずりすぎだよ」って言われると思います(笑)。
── こんなにも苦い展開が待っていると、予想されてましたか? 松岡 してなかったです。台本を読み進めていくうちに「あれ? これは何かおかしいぞ……、大森(藤ノ)先生! なんて辛い展開にするんですかぁ!」って(笑)。時系列としては今回の話は第1期から繋がっているわけで、今までも登場人物が死ぬこと自体はありましたけど、ベルが冒険をともにした仲間を失ったのはこれが初めてなんですよ。冒険をしていれば、そういう事態が起こるだろうというのは頭ではわかっていたでしょうけど。でも実際に「大事な人を亡くしてしまった」……、それも自分の手で「終わらせてしまった」。これはまだ14歳のベルとっては……。
── 14歳の少年に、あの経験は重いですよね。 松岡 ええ。しかも純粋に英雄願望も持っていたことも考えると、かなり悲しくも辛い、だけどそこから前に進んでいくためには重要な経験だったんじゃないかなと、すごく感じます。
── アルテミスはベルに「今度会ったときは、1万年分の恋をしよう」という言葉を残して消えていきました。そこもまた切ないです。 松岡 (しみじみ)そうなんですよねぇ。あの「恋しよう」も坂本さんの演技の声色からすると……、これは僕の考えなんですけど、「ここから始めよう」みたいに聞こえたんです。……でも、ここから始めてももうあなたはいない……。僕はもう涙ボロボロでした。
── 松岡さんご自身も、終盤は演じていてベル同様の「悲しさ」を味わっていらしたんですね。 松岡 本当にそうです。正直な話(この取材の段階では)、まだ完成した映像はちゃんと見ていないんですが、あのときのアフレコ現場の雰囲気や、どんな演技だったかどんなセリフのニュアンスだったかは記憶にしっかりあるので。坂本さんが演じるアルテミスのあのシーンは本当に心に刺さりました。……でもそこで思いっきり号泣してもいけないっていうのも、すごく感じたので……、また会えるかも知れないけど……(気持ちが昂ぶって言葉に詰まる)。
── そこは、言葉にしづらい気持ちがすごくあるんですね。 松岡 そうですね。あと、こういった感じで僕もインタビューに答えていますけど、「ベルがそう感じた」ということではなくて、あくまでも演じた松岡がそう感じたということです。映画を見ての感じ方は、見た方それぞれにあると思うので、そこは自由に考察していただけたらなって思います。