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生きることにもがいている「今」が、歌詞のテーマです
── ナノさんは、具体的にどういうイメージで歌詞を書いていったのですか? ナノ 作品やたつき監督との打ち合わせで感じたことをいろいろ考えていった果てに、浮かんできたテーマは「生きること」「命」でした。生きることは苦しいことでもあるので、「生きたい、でも苦しい」ともがく姿を表現しました。
── もがき続けて、まだ先に光が見えない状況で、今回の曲は終わっているように感じました。 ナノ そうですね。未来というよりも現在、今このときがテーマになっています。
── 曲のタイトルがアニメと同じ「KEMURIKUSA」で、サビのラストにも登場します。いわば、作品名を歌詞に使った、往年のアニソンの形を取っていることが興味深かったです。 ナノ このアイデアを提案してくれたのは、作曲者のWEST GROUNDでした。ストーリーへのヒントがほとんどない状態での作詞だったので、ここはタイトルを入れるしかないでしょう、と。だったら、一番わかりやすいサビ終わりに入れようと思いました。どういう表現にするかは悩んだところで、適当な英語の単語を並べて、「もしかして『ケムリクサ』って歌っている?」と空耳できるようなものにすることも考えたんですけど、この際だから、はっきりタイトルを歌おうと。ただしナノらしく、英語風の発音で歌ってみました。
── 「ケムリクサ」という言葉自体が、すごい吸引力を持っているように思います。 ナノ アニメに出てくる重要な要素ですけど、いろいろな意味にとらえることができますよね。今回の曲は自分なりの作品のとらえ方でしかないので、聴いてくださる方が自由に解釈して、作品と結びつけたり、楽曲単体で楽しんだりしていただきたいです。自分としては、作品と楽曲がパラレルに存在しながら、お互いにパワーを与え合っているという関係になっていればいいなと思います。
── WEST GROUNDさんが作られたメロディやサウンドについては、どう感じていますか? ナノ WEST GROUNDも、たつき監督との打ち合わせに参加して、そこから彼の解釈で曲を上げてきてくれました。自分としては、それでもう何も言うことはないです。今回もいい曲だなと思いました。
── ボーカルで、意識したことは何ですか? ナノ テーマが「命」なので、究極のところで歌わなきゃと。あとちょっとで喉を壊すんじゃないかというくらいの限界まで、自分を追いつめました。
── 最初は、幻想的に始まっていくんですよね。 ナノ そうですね。後々に出てくる激しさとは正反対の歌い出しです。煙にまみれて、その先にある炎を匂わせているような雰囲気になったかなと。
── 炎の予感があるというか。 ナノ 危機感を味わっていただきたいですね、この先には何があるんだろうと。実際に煙が立ち上がっているのを見ると、「何かヤバイ!」って気になるじゃないですか。それと同じように、この作品も絶対、この先ヤバくなっていくはずなので。
── 今回のアーティスト写真やMVにも、赤い煙が印象的に使われていますね。 ナノ 作品に合わせて煙を使ってみたんですが、同時にこれからのナノはヤバいぞ、この先に燃え上がるものがあるんだぞという表現になったと思います。今回のMVは最初から最後までライブシーンでシンプルな作りなんですね。ジャケットも、りんの立ち姿というシンプルなデザインで、作品や楽曲が複雑だからこそ、あえてビジュアルは逆を突こうと思いました。
── 「ケムリクサ」の舞台のモデルは長崎県の軍艦島ですが、ナノさんはそこでかつて「Rock on.」のミュージックビデオ(MV)を撮影してますよね。 ナノ そうなんです! アニメを見て、「ここで歌ったことある」って思って不思議な感じがしました。この階段、登った!みたいな。自分がMV撮影した頃は上陸できたんですけど、今は立ち入り禁止なんですよね。さまざまな資料をもとに、アニメは描いているのかなと。もしかして、「Rock on.」も見てくれていたらうれしいですね(笑)。