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声優の活動から採り入れたダンスでの成長
── 次はリードトラックに位置づけられている「BLACK CAT」。 渕上 「BLACK CAT」は、旅する国の中では都会をテーマにしています。便利なことや楽しいことも溢れてるけれども、そこにはちょっとひねくれた人がいたり、汚れた部分もあるという歌です。日頃の不満を言う女の子、「裏垢女子」みたいな感じがいいなと思って。表ではキャピキャピを演じているけれども、家に帰れば文句ばかりつぶやくみたいな(笑)。そこがタイトルにもある子猫ちゃん要素であり、ブラックな部分。恋愛って、ドロドロ要素もありつつもでも女の子が一番輝く瞬間でもあるから、そこをうまく混ぜ合わせてできないかなっていうところで、恋愛要素を入れつつの女の戦いという内容になりました。ただ、スタッフ陣からは、聴いて文句ばかり言われていると嫌な気持ちになるから、その中にも憎めない感じとかかわいらしさ、共感できるところを入れたいという意見があり、それらを採り入れてこのような歌詞になりました。ラップについては、女の子がまくし立てるように言葉をたたみかけるとカワイイよね、という話の中で生まれた今回の表現の仕方ですね。
── 歌ってみてどうでしたか? 渕上 スゴく楽しかったです! 今までで一番の遊び要素があるし、サビはすごくかっこよくキメていて、ひとりの人物として歌ってるはいるんですけれども、気持ちも歌い方も1曲の中でコロコロ変えられるというのは初めてで。ハモリとか被せも結構あって、そこで萌えっぽく演じたり男っぽさを出したりすることがとても楽しかったです。冒頭に「ニャ~ン」という猫の鳴き声があるのですが、それは私のリクエストです。その声もリアルめにしたりキャラクターっぽくしたりと何パターンも録って、遊び要素満載で楽しいレコーディングでした。
── いろんな役を1曲の中で演じるのは、やっぱり役者の本懐ですね。声優によるアーティスト活動の意味の1つは、それをやることが楽しい人物が作るからなんじゃないかなと。 渕上 本当。そういうのが好きな人間が、自分からやってるいることが強みかなと思います。AメロBメロがラップで、普段慣れないような部分ではあるのですが、サビはカッコカワイイ感じでありつつ比較的覚えやすかったりするので、曲を覚える作業もスムーズに行きましたし、歌い上げる部分も気持ちよくレコーディングできました。
── ミュージックビデオ(MV)はコケティッシュな感じでかわいい感じですね。撮影のようすはいかがでしたか? 渕上 ありがとうございます。実は振り付けについて、事前に映像は頂いてはいたんですけれど、練習の時間がなかなか取れなくて、当日の朝に行なったんです。集合入り時間よりも1時間ぐらい早く先生と一緒に入って、そこで2人のダンサーさんと合わせるという形でした。私以外の方も出演するMVを撮影するのが今回はじめてだったので、その意味でも楽しかったです。撮影を進めながら、だんだん余裕が出てくるとダンサーさんの動きを一緒に合わせられたというアイデアを出したりしていきました。
── 踊るということについての取り組みはアーティスト活動を経て変化していきましたか? 渕上 踊りについては、逆かもしれないですね。声優のほうで「アイドルマスター シンデレラガールズ」(北条加蓮役)だったり「Tokyo 7th シスターズ」(羽生田ミト役)だったりと、アイドル系の活動もさせてもらっているのですが、それを通じて苦手だったダンスもちょっとずつ楽しいと思えるようになったんです。これだけ踊っているのだから、自分の活動の中にも採り入れないのは寂しいなぁっていう思いが生まれてきました。ちょっと前だったら「やらなくていいものはやらなくていいや」だったんですけど(笑)。特に「BLACK CAT」はこういう曲調だったので、踊れたら今までにないMVになるなと思いました。なので、ダンスに関しては、アーティスト活動を始めたからというよりは声優の活動から引っ張ってきたという感触のほうが強いかもしれません。
── 役を通じて、いろんなチームのメンバーになれるのも声優の強みですね。また、衣装もかわいらしいですね。 渕上 ありがたいことに、監督を含めみんなかわいいかわいいって言ってくれるんですよ(笑)。ネコ耳なんて声優をしていると、けっこう機会がありそうですが、意外と私はなかったんです。「私にネコ耳を付ける日が来るとは」と楽しかったです(笑)。衣装さんも、ネコ耳・ネコ尻尾は特別気合を入れてくださって、素材選びからいくつも挙げてくれて、最終的にあのモフモフ系になりました。撮影のときにも逐一調整して、きちんと立たせるようにしてこだわっていたのが面白かったです。