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理想的な“形”を追求するため、図面に赤を入れて修正指示を出す
── 新しくラインアップされる「聖戦士ダンバイン」について、聞かせてください。ラインアップは、ダンバイン3種類とOVA版(「New Story of Aura Battler DUNBINE」)のサーバインですね。まず、スケールが気になるのですが? 長谷川 当初は1/100ぐらいのつもりで開発していたのですが、同じスケールでもサーバインがかなり大きいのです。ですから、特にスケール表記はしていません。プラモデルを趣味にしている人たちはスケールを気にされると思いますが、昔、イベントでライトユーザーの方がガンプラのHGUC(ハイグレード・ユニバーサルセンチュリー)を見て「小さい」とおっしゃっていました。HGUCはスタンダードサイズだと思っていたのですが、ライトな方たちにとっては、いい感じの手頃なサイズでさえあれば、スケールは関係ないのかな、と思ったことがあります。
もうひとつ、ミリタリックな「ボトムズ」は1/60とスケールを明らかにする必要がありましたが、「ダンバイン」はファンタジー作品です。劇中の長さの単位も、メートルではなくて“メット”でしたよね。そういうバックボーンも踏まえて、今回は細かい数値はあまり気にしないようにしています。
── ダンバインの成形色は、第1話に出てきたショウ用、トッド用、トカマク用の3色ですね。 長谷川 「ボトムズ」シリーズはカメラ部分だけ銀で塗っていましたが、ダンバインは目とコクピット部を彩色する予定です。コクピットはクリア成形されますから、製品はクリアグリーンで塗ることになると思います。
だけど、もう一体のサーバインの色は、ちょっとわからないところがありました。OVA本編を見直してみると、コクピットの色は白いんです。そこで今回は、劇中と設定画に準拠して、クリアホワイトでコクピットを成形しています。クリアホワイトなら、翅(はね)も同時に成形できますから。
── 具体的な成形色は、どうやって決めているのですか? 長谷川 ホビー事業部にいた頃は、板状のプラスチックの色見本があって、その中から選んでいました。最近は、膨大に発売されているガンプラ製品の中からいい色を見つけてきて、「この色でお願いします」と指示しています。過去のダンバイン製品と同じ色で成形しても、サイズの関係で色のニュアンスが変わってしまうので、そこが難しいですね。
── 「ボトムズ」も「ダンバイン」も、開発用の図面の上から、長谷川さんが赤ペンで修正を入れていますよね。それが実に「わかってるなあ」と納得する直し方なのですが……。
長谷川 ホビー事業部にいたころも、設定画と見比べながら、図面の上から赤を入れていました。そのスタイルが、ベンダー事業部に移ってからも残ってしまったようです。
── 直角になっている部分を斜めに断ち切るとか、立体としての見ばえを的確にとらえた直し方です。 長谷川 学生時代グラフィックデザイン専攻だったので、それが生きているのかもしれません。デッサンの授業って、モノをそのまま描くじゃないですか。その経験が、立体物の監修のときに役立っているような気がします。そもそも、趣味でガンダムの絵をよく描いていましたし、バンダイに入社してからは企画開発をしながら宣伝の仕事もしていて、「コミックボンボン」の撮影にも立ち会っていました。そうした機会に、ロボットがカッコよく見えるのはこの角度……といった感覚が、蓄積されていったんでしょうね。