「非初心者向け コミケ攻略法」 アキバ総研編集部(取材協力:明声会)

アキバ総研 | 2008年08月14日 13:00

「非初心者向け コミケ攻略法」 アキバ総研編集部(取材協力:明声会)「アキバ総研編集部」連載コラム第13回(文:アキバ総研担当Hokuto.K)




今年も夏のコミケが近づいて参りました(東京ビッグサイト・2008年8月15日(金)~17日(日))。
コミックマーケット公式サイト

カタログとにらめっこして、どこのサークルをどんな順番で回ろうかと思案されている方も多いのではないでしょうか。また、テスト直前になると無性に部屋を掃除したくなるのと同様に、前回開催で購入したがまだ手をつけていない同人誌の消化を進めているという方も多いでしょう。


一般人のライトオタ化が進む今日、初心者・非オタ向けの「初めてのコミケ」特集などが数多く出ております。サークル参加などではない一般参加において、誰でも最初は初心者、誰でも最初はファンネルということは重々承知しておりますが、今回は「コミケ経験者がレベルアップする」ということをテーマに本コラムをお送りしていきたいと思います。

さて、「レベルアップ」といっても、筆者はコミケ参加歴6年&ここ最近は会社ファンネル(取材参加)という素人同然の身。当然、ハイレベルな知識やノウハウは持ち合わせていないため、コミケに造詣の深いオタク系サークルさんに色々お聞きしてきました。

取材させて頂いたのは、アキバ総研コラムカテゴリで何度か登場している「明治大学アニメ・声優研究会」とその公式OB団体「明声会」。明治大学の公認団体であり、現役サークル員約150名、OB・OGを含めると200名規模になるという日本最大級のオタク系サークルである彼らのコミケ攻略法とはこれいかに!? 

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■非初心者向け コミケの立ち回り方

※以下で紹介する方法は「効率的に多くの本を集める」ことをテーマとしたものであり、「転売」を目的としたものではありません。また、「明治大学アニメ・声優研究会」「明声会」の両団体および所属会員が転売目的での参加を行っているということもありません。


「ファンネル」「超大手サークル」「創作系」… コミケ(コミックマーケット73)一般参加者に見せてもらった「今回の戦利品」 前編

↑の記事でもお伝えしている通り、“聖戦”であるコミケでは、中身を一切見ずに該当エリアで端から端までを手当たり次第に買う「ジャンル買い」と友人などと共同であらかじめどのサークルを回るか計画を立てておき、互いにお目当ての本を購入しあう「共同購入」が基本戦術となっている。

「ジャンル買い」は単独参加でも実行可能な戦術であるが、資金でのロスが多くなってしまう。一方、「共同購入」は単独で行うのは無理だが、仲間さえいれば、お目当てのサークルの本を無駄なくコンプリートすることが可能である。もちろん、そのサークルが「壁」や「シャッター」配置の超大手サークルであってもだ。

一般参加組の目的はさまざまであるが、「多くのサークルの新刊を入手する」といったことを目的に掲げている人は多く、程度にはよるが目標の難易度としては高いものであろう。そこで重要となってくるのは、「共同購入」時における子機(=実行部隊=以下、「ファンネル」とする)である。「全員が同じサークルに並ぶ時間を1人分にカットする」ことが最大の優位点である本作戦において、手持ちのファンネルは多ければ多いほどよい。ただ、この戦術を用いる人々は、ファンネルとファンネルを操る親機(本体)を兼ねている場合が多く、狙ったサークルの本が想定した数だけ集まることは非常に稀であり、希望者全員に本が行き渡らない場合も多々ある。このような問題を抱える「共同購入」戦術であるが、明大アニ研コミケ攻略組出身のA氏は以下のように語る。

・主力は専属ファンネル

A氏によると、「自分が行きたいサークルなどを特に設定していない(むしろ同人誌に興味がない)」という専属ファンネルを重要拠点に配置することがポイントだという。彼らは親機の命令のまま、同一のサークルの列に何回も並ぶ「無限ループ(※)」が可能であり、入手難度が高い人気サークルの本も効率的に確保できる。さらに、自らが確保した本や他のファンネルが入手した本の配布も希望しないため、コストもかからない。ただ、ファンネルの性能やモチベーションはさまざまであり、完全なパフォーマンスを引き出すためのコンディション管理は親機の腕次第となる。
※禁止しているサークルもある

・ファンネルの作り方

コミケは基本的に夏と冬という肉体的に厳しい季節に開催される。また、他に類を見ないほどの人混みもあり、外の購入待機列に数時間並ぶといった過酷なシーンも多々ある。このような環境下において、積極的に「ファンネルやります!」と手を挙げる奇特な人はまずいない。では、上級者はどのようにファンネルを作っているのだろうか? A氏の場合、「階級」「素質」に着目して専属ファンネルを量産するのだという。「階級」とは、部活や会社での上下関係/師弟関係などと同じもの。当然、階級の低い者がファンネル部隊に配置され、それぞれに指令が与えられる。また、経験の浅い人間が務める、いわば「兵役」のようなものともいえる。明大アニ研(150人規模)のような巨大組織である場合、学年で4つに区切って半分をファンネル部隊にしたとても75人は確保でき、これで75サークルの新刊をほぼ確実に得ることができる(全員が参加すると仮定した場合)。さらに、ファンネル部隊からは次の司令官やファンネル職人といった副産物も生まれると同氏は語る。また、「素質」については、次の項目でファンネル職人が語っている能力を見出してそれを開花させることだという。

・ファンネルの魅力と心得

現在、明声会に所属しているファンネル歴5年の「ファンネル職人」は以下のように語ってくれた。
 「初めは親切心というか人助けのつもりでしたが、いつのまにか自分なりの“目標”ができました」
 「このサークルの新刊を絶対に何冊確保するといった目標に対しての達成感が魅力であり、次への糧になります」
 「目標は大事ですが、それ以上に命令は“絶対”です。ひとりの暴走で指揮系統が乱れてそれが全体の致命傷になりますので」
 「体力、忍耐力、忠誠心のほかにMっ気があるとよいです。あとは適切な装備と暇潰しのラノベとか(笑) 状況を判断する力より責任を持って任務を遂行する行動力が重要ですね」
このように、ファンネルといえども自分なりの考えを持つことで、スキルと精神力が鍛えられ、やがて「職人」へと成長していくのである。

・ファンネルマネジメント

ファンネルを指揮し、優秀なファンネルを育成するために必要なことはなんだろうか。スパルタ?アメとムチ? A氏によると「士気管理」と「コミュニケーション」がカギになるという。コミケの列並びでは、気温・孤独感・恐怖感など多くの士気低下リスクがある。1人のファンネルの士気が下がると本来のパフォーマンスを発揮できなくなり、やがて全体のロスに繋がる。それを回避するのはファンネルの経験と指揮官および組織への信頼感であり、普段からのコミュニケーションでそのあたりを養うというのだ。このほか、作戦会議での入念な打ち合わせや残弾(資金)の補充など基本的事項も指揮官側がしっかりとカバーせねばならない。なお、ファンネルへの教育体制などについては「機密扱い」とのことで取材NGであった。


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■非初心者向け コミケの具体的な攻略ポイント

A氏が語ってくれた具体的なポイントを以下にまとめてみたので参考にしていただきたい。なお、A氏曰く「3~4人で組むのが、動きやすくて全員に本が行き渡るので慣れない方にもオススメ」とのことである。

・ファンネルへの指示は細かく

回る優先度は、早くなくなるところ>回転率がよいところ>(サークル規模に限らず)量が多いところという具合で、各サークルごとの特徴や搬入量などを事前にチェックしておく。その情報を元に、ファンネルごとの回る順番を指定しておくとロスが少なくてよい。できれば列形成場所も抑えておきたい。また、大手の場合、購入物は基本的に「新刊をMAXで」でOK。現地での連絡手段や集合場所も予め指定しておくとよいだろう。

・移動距離より回転率

移動にかかる時間よりも列の消化にかかる時間のほうが圧倒的に長いため、各ホールでの移動距離を気にするような回し方はNG(東と西を行き来するような移動は除く)。

・グッズは遅い

販売物が少なければ少ないほど列消化は早い。また、本やROMに比べて紙袋、テレカ、うちわなどのグッズを販売している場合、販売速度は極端に遅くなる。逆に、本だけが欲しいという場合はグッズが売り切れになったあと(午後)に行くと早く買える。

・大手は12時までが勝負

「シャッター」組のほかに午前の空いてる時間帯を狙った「壁」攻略ファンネルを1名用意すると効果的。1サークル数分を目安に1人で数十箇所を攻略したい。

・余裕を持つ

「キレない」のは基本として、「全員で目標の半分を確保できればOK」といった気持ちで臨むと精神的負担も少なくて済む。また冷静な状況判断を心がけることで、無駄なトラブルなども回避できる。

・情報戦であることを忘れるべからず

下調べのほか、現地での“正しい”情報を仕入れることが重要。そのため、ベテラン運営スタッフやサークルスタッフの言動にも注意を払う。また、一般参加者同士の会話からも情報を得ることができるが、情報の真偽と鮮度には注意すべし。

・人気ジャンルは長い

大手サークルはジャンルに限らず列が長くなるが、新刊のジャンルが18禁や人気作/最新作になると列が極端に(現在放送中の作品だとさらに)長くなる傾向があるので注意したい。これも下調べである程度予測できる。

・サークルスペースを見る

列にすぐに並ぶのではなく、まず売場を見ることで、販売物(グッズの有無)や種類がわかる=回転率がわかる。また、スペースにあるダンボールの量や“限”(1人あたりの購入制限数)の掛かり具合も、在庫量(今から並んでも買えるか、後回しでも間に合うかなど)の判断材料になる。

・小物で差をつける

機動性/耐久性/機能性の面を考慮し、紙袋よりもハードタイプのクリアケースをメインで使うとよい。また、カバンも、購入物を素早くしまうことができるものを用意すると、購入後すぐに次のサークルに向かうことができる。このほか、ペンライトなど目立つものがあると集合や合流がスムーズにいく。

・カートはやめとけ

機動性の大幅な低下はもちろん、周囲へ甚大な被害を与える可能性があるので、カートの持ち込みは避けるべし。



■明声会代表より

最後に、明治大学アニメ・声優研究会の創立者でもある明声会代表・加藤伸夫氏にインタビューを行った。


― コミケはサークル員にとってどのような効果をもたらしますか?

本コラムでも述べられていますが、コミケに“本気で”取り組もうとするならば、「組織の力」を活用することが勝利への最短距離になります。個人で行うなら自分自身のことだけを気にかけていれば良いですが、集団で行うと「チームプレー」等の調整が必要になってきます。ただでさえ熱い・寒いなどの過酷な環境にあるにもかかわらず、仲間の状況等にも気を配り、事前調整や応急対応等を行わなければいけないのです。人間の真の成長は、自分1人だけでは決して得られません。人間の真の成長とは、「組織の中において、様々な切磋琢磨を経てこそ得られる」と私は考えています。これは、企業でも官公庁でも、あらゆる職場において組織プレー・人間関係が最重視されるからです。

コミケはそういう意味において、真剣に参加したサークル員にとって、「良い人生経験」が得られる絶好の機会の1つだと思います。


― コミケの今後についてどう思われますか?

21世紀は「成熟社会」になると言われています。物質的・物量的な豊かさを求めていた20世紀と違い、21世紀は精神的な豊かさや、各個人の多様な価値観・趣味等が尊ばれる社会となっていくと思われます。20世紀型の社会では、人々は社会の発展と生活の豊かさを求めて職場でがむしゃらに働き、職場での価値観を第一とする生き方が「当たり前」とされてきました。しかし今後、成熟社会が進んでいくと、今まであまり重視されなかった「個人の趣味の世界」が、職場等を中心とする「今までの世界」と並存する「第二の世界」として表に出てきて、社会的にも認知・確立されていくようになります。

コミックマーケットは20世紀から行われてきましたが、これからも21世紀の成熟社会の進展と共に更に成長・発展していくでしょう。


― 今、オタク文化が一般人から注目を集めていることについてどう思われますか?

最近はテレビなどでも秋葉原やオタク文化などが取り上げられていますが、これをもって「オタク文化は社会的にメジャーになった」などと勘違いしてはいけません。テレビやニュースなどで取り上げられるのは、一般大衆から見ればオタクが単に“物珍しい”からです。決してオタク文化が社会に“公式に”認められた訳ではありません。今でもオタク文化は、あくまで「裏の世界」に過ぎないのです。では、そのオタク文化を「第二の世界」として社会的に更に発展させていく為には一体どうすれば良いかというと、私は結局、「オタク自身の更なる人間的成長が必要」だと思っています。「高い社会性を持ったオタク」、「社会のリーダー的立場に立つオタク」を多く作っていくということです。

その実現の為に「明声会」は、単なるOBの懇親・同好の会だけではなく、多くの若いオタクたちに“真の社会教育”を行う「教育機関」となることを目標の一つとしています。最終的には、オタク界の「松下村塾」を目指したいですね。

― 本日はどうもありがとうございました!



akiba20071123-hokuto.k.jpg■筆者紹介(アキバ総研担当者より)

名前:Hokuto.K 生年:1984年(24歳)

アキバ総研担当者。PC・ホビー・イベントと多岐に渡る属性を持つ、自称「アキバ系ハイブリッドおたく」。趣味=アキバ探索=仕事な仕事依存症。アキバ歴6年PC自作歴約9年のファンレス厨でマイベストアニメトップ3は「フリクリ」「カウボーイビバップ」「桜蘭高校ホスト部」(順不同)で好物は酒類全般とラーメン二郎/富士丸(旧○二郎)。最近のお気に入りは、サクセスブロッケン、 ユビキタス、ユキチャン(+カジノドライヴ)の3歳ダート路線。


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