【インタビュー】唯一無二の存在感！　早見沙織が2ndアルバム「JUNCTION」をリリース

「Bleu Noir」は絶対にかっこよくするぞ、と思いました

── 次の「祝福」（作詞・作曲：早見沙織／編曲：河田貴央）も空間の広がりを感じさせる曲で、シューゲイザーっぽい歪んだギターがすごくかっこよかったです。

早見　よかった！　ギターの音に関しては、私からたくさん要望を出させていただいたんです。私の声質と、アルバムの真ん中あたりに入るということを考慮して、最初はもっとエッジが効いていたギターの音に、丸みを加えていただきました。レコーディングエンジニアさんにアイデアをいただきつつ、編曲の河田さんと一緒に音を作り上げていきました。

── たしかにノイジーなギターでありながら、丸みがあるんですよね。太陽の光というか、陽の当たっている場所をイメージしました。歌詞の中には「雨」というワードが入っているんですけど。

早見　そういう感想をいただくのって面白いですね。私としては「再生」がテーマでした。歌詞はすごくポジティブなんですけど、よく見ると、その背景がなんかおかしいぞと（笑）。「これって本当はどういうことなんだろう？」って自分でも思ってしまいました。陽の当たる道を歩いていっているかもしれないけど、このまま行くと崖なんじゃないかって。いろいろ感じていただけたらうれしいです。

── この曲にもほのかな狂気が。

早見　それはバックの演奏の力が大きいです（笑）。バッハのようなミニマムなピアノが入っているんですけど、私が作ったデモはスピーカーの横にiPhoneを置いて録って、そのまま出したもので、私のピアノってペダルの音がギコギコいうんですけど、それも一緒に入っちゃってたんですね（笑）。バッハモチーフのところは、それくらいラフな音の作りに仕上がりも雰囲気を合わせていただけて、ありがたかったです。

── 「白い部屋」「祝福」と続くアルバムの中盤は幻想的な雰囲気なんですけど、次の「interlude: forgiveness」（作曲：早見沙織／編曲：前口渉）も、それに続いています。

早見　ラストに入っている「温かな赦し」から派生した曲です。編曲の前口さんに「アルバムのインターリュードにしたいんです」とお願いして、作っていただきました。

── 次の「SUNNY SIDE TERRACE」からは、ポップ感が増していきます。9曲目「Bleu Noir」（作詞・作曲：早見沙織／編曲：大久保薫）が新曲ですね。ジャジーな曲でものすごくかっこよかったです。

早見　ありがとうございます！ この曲は「絶対にかっこよくするぞ！」と思って作っていった曲です。最初からコーラスもガンガン入れていて、この部分には絶対にこれくらいの厚みのハモリがほしいとか、この部分はもっと広がりが欲しいという私の意図を、大久保さんが汲んで、素晴らしいアレンジをしていただきました。

── ボーカルに関しては、意識したことはありますか？

早見　デモに比べてアレンジされた曲は、大久保さんがリズムをたくさん入れてくださってソウルフルになっているんです。デモのときのボーカルはもう少しウエットで、エコーがかかっていて宇宙的な感じだったんですけど、そこにちょっとだけソウルの感覚を加えつつ、最初からあったエコー感を大事に作っていきました。

── それからこの曲はアウトロ（※）ですよね。長めのアウトロがジャジーなムードを増しています。（※楽曲の後奏部分。あるいはそれを繰り返す音楽手法）

早見　最初は盛り上がってほしいなって思って。ジャズ感、ソウル感があって、粋な音になりました。昨日ちょうど大久保さんとディレクターさんがこの曲の話をしていたんですけど、「70年代ソウルのリズムなんですよね。でも、アシッドジャズ感もあるよね」とおっしゃっていました。いろいろな時代の音が混ざって、魅力的なサウンドになったんだと思います。

── 10曲目の「little forest」（作詞・作曲：矢吹香那／編曲：前口渉）は、ゆったりとしたオーガニックな曲です。

早見　本当にいい曲なんです。ミドルからアップめの曲ということでお願いしたら、この曲が上がってきて、そこに矢吹さんの確固たる意思を感じました。同時に私のボーカルのことをすごく考えて作ってくださったんだろうなということも感じて、歌えてよかったなと思いました。

── ボーカルにはR&B風の深みを感じましたし、ギターとサックスもいい味を出していますね。

早見　演奏も素敵ですよね。ギターは前口さん、サックスは香那さんです。

── 作家陣が楽器も担当しているんですね。