※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
大好きなやなぎなぎさんに、曲を書いていただくことができました
── 続く7曲目の「半音階のレジスタンス」は、宮川弾さんの作詞・作曲・編曲です。 鈴木 今までのシングルで表現してきた鈴木みのりらしさがある曲なのかなと思いました。アルバムの新曲では最初にレコーディングした曲で、ニュアンス的には今まで通りの私を出せたなと思います。女の子の無敵感が入った曲です。
── 元気で明るい曲ですよね。でも、歌詞にはけっこう難しい、歌いにくそうなワードが入っていて。 鈴木 そうなんです。だからこそ印象に残りますし、韻を踏んでいるところもあって、楽しい歌詞です。北川さんが以前、「弾くんは心がめっちゃ乙女なんだよ」って教えてくださったことがあったんですけど、まさにその通りでした。たとえば手料理の話になって、「今まで作ったもので一番手が込んだ料理は何?」って聞かれたので、「1回作っただけですけど、かにクリームコロッケです」ってお答えしたら、「かにクリームコロッケが得意だって言ったら、男はイチコロだから、得意料理ってことにしておきなよ」って。発言がどれも女子力高いんです。
── 女子力が高い宮川さんによる、鈴木みのりのガールズサイドという感じの曲でした。次の新曲は「わたしはわたしになりたい」。ご自身の作詞による3番目の曲です。 鈴木 この曲が生まれる前に、アルバム用に詞先で書いていた詞があったんです。その中に、「わたしはわたしになりたい」という一節が入っていて、それだけが残って別の曲になりました。作曲は、ボカロPの中でも私が大好きなsasakure.UKさんです。
── 最初に書いていた歌詞はボツになったということですか? 鈴木 ボツになったというより、その後に書いた「見る前に飛べ!」に吸収されていきました。それで、「わたしはわたしになりたい」というタイトルで、新たに歌詞を書いていきました。この曲も、「見る前に飛べ!」「ヘンなことがしたい!」と同じように、私自身がテーマになっています。
── 同じテーマでありながら、アプローチはかなり違いますね。 鈴木 今回のアルバムの新曲には切ない恋の曲がいくつもあったので、この曲で私も挑戦してみようと思いました。sasakure.UKさんの曲は明るくてかわいらしいけれど、どこか切ないんですね。この曲を最初に聴いたとき、オルゴールの音が頭の中に浮かんだので、ずっと回り続けているオルゴールのバレリーナの人形をイメージして、歌詞を書いていきました。近くにいたはずの男の子がいなくなってしまって、でも私はここに留まり続けるというストーリーです。
── 切ないながらも、女性の意思がはっきり打ち出された曲ですね。 鈴木 今まで自分が書いた歌詞は、強くなりたい、前に進もうというものが多かったんですけど、その場に留まる意思というものを、この曲では書いてみたいなと思いました。
── 10曲目「astro traveler」は、やなぎなぎさんの作詞・作曲・編曲です。やなぎなぎさんらしい、独特なふわふわした曲になっていますが、このコラボはどのようにして生まれたのでしょうか? 鈴木 私がずっと、なぎさんの大ファンだったことからです。なぎさんがガゼルの名で歌い手さんをやっていらっしゃった頃から好きでした。一度ラジオ番組に呼んでいただいたときに「好きです」という思いをお伝えしたことがあり、それを福田さんも知っていて、なぎさんにアルバム用の新曲をお願いしようということになりました。快く引き受けてくださって、本当にうれしかったです。
── やなぎなぎさんの歌の、どういうところがお好きなんですか? 鈴木 まずは歌声です。特に自作の曲を歌ってらっしゃる声が大好きです。デビュー前になぎさんに憧れていた頃の私は、なぎさんの歌声になって、なぎさんが作る曲を歌ってみたいって思うくらい自分自身を重ねていました。「astro traveler」も、なぎさんらしさが散りばめられている曲で、これを私が歌えるなんてと、大感動でした。今の自分として、なぎさんの曲に鈴木みのりらしさを加えられるよう意識して、歌いました。
── 鈴木さんのボーカルも、ふわっと心地いいものになっていました。 鈴木 自分がずっと聴いてきた音楽なので、すごく歌いやすくて。いい意味で力を入れずに、ありのままの自分の歌にすることができました。
── 歌詞をどう解釈しましたか? 鈴木 孤独が描かれていると思いました。自分が好きなことを追い求めているけれど、そばには誰もいない。そんなさみしさもありつつ、でもそこにいる強さというものもあるなと。「わたしはわたしになりたい」の歌詞を書いている間にこの曲をレコーディングしたので、自分自身の作詞にも影響を受けました。
── 「astro traveler」のもうひとつの要素として、SF感がありますよね。アルバムのほかの曲にはない特徴になっています。 鈴木 ふわふわしたサウンドのおかげで、主人公がたったひとりで宇宙旅行している姿が想像できました。なぎさんの楽曲は、楽器の1つひとつまで心地よくて、星の瞬きが音で表現されているように感じました。