【インタビュー】迷いなんかフッ飛ばせ！ 超強力な鈴木みのりの1stアルバム「見る前に飛べ！」

1曲目「見る前に飛べ！」は、自分の心の叫びを歌詞にしました

── では、新曲について、収録順にお聞かせください。まずは、ご自身の作詞による1曲目の「見る前に飛べ！」。作曲・編曲は北川勝利さんです。ラテン風の、哀愁を感じさせるメロディラインで、北川さんの曲としては珍しいタイプですよね。

鈴木　「私の新しい一面を引き出す曲」という福田さんからの要望を受けて、北川さんが書き下ろしてくださいました。北川さんは後になって、「もっとかわいい曲でもよかったんだけど、新しい一面って言われたから、この曲にしたよ」っておっしゃってました（笑）。

── 鈴木さんは、この曲をどう感じましたか？

鈴木　かっこよくて疾走感があって、どこか切なくて、メロディを聞いただけで、心の叫びが表現されているような気がしました。曲をいただいたのは、ちょうど私が「悩んでいたり、怖がってばかりいちゃダメだ」と前向きになれた時期だったので、自分の心の叫びを歌詞にすることができました。

── シリアスな歌詞ですよね。

鈴木　自分の気持ちを、ひたすら殴り書いたような歌詞です。作詞するときに考えたのは、暗く悩んでいた頃の気持ちをちゃんと書かないと、「見る前に飛べ！」というサビは歌えないなということでした。前向きな思いを伝えるために、悩んでいたときの気持ちも素直に書きました。

── たしかにサビに至るまでは、葛藤の言葉が並んでいます。

鈴木　ここまで書いちゃうと、「みのりちゃん、思い詰めてるな」ってみなさんを心配させてしまうかもしれないと思ったんですけど、曲調に後押しされるような形で、明るくふるまう私をいったん捨てて、心の中にあるものをそのまま書いていきました。ところどころ言葉が強くなっているのは、素直に書くことができたからで、たとえば2番の冒頭に、「私だけが特別で きっと怖いものはないと思ってた」という部分があるんですけど、以前の私は本当にそう考えていたんです。もちろん今は違いますけど。

── 怖いもの知らずだった頃があったということですか？

鈴木　と言うよりも、自分の弱い部分を見て見ぬふりするために、「私は特別だ」って思い込もうとしていたんだと思います。

── 自分の弱い部分をしっかり見つめて、それでも前に進め、というのがこの曲のテーマですよね。後半には、「もっと もっと」と何度も力強く繰り返すところがあって、思いが伝わってきました。

鈴木　そこは、歌詞とメロディに背中を押されているような気がして、歌うときにも一番力が入る部分です。また、その前にセリフのパートがあるんですけど、そこも合わせて、聴いていると自分自身が泣きそうになるんです。

── 話をうかがっていて、そんなに深刻に思い悩んでいた時期があったなんて、驚きです。

鈴木　声優としても歌手としても、いろいろな挑戦をさせていただいてきたんですけど、それに対して自分の技術が追いついているのかとか、気がつくとネガティブに考えているようなタイプなんです。声優の現場も歌の現場も周りは私よりキャリアのある方々ばかりで、焦りがあったというか。自分としてはすぐにでも追いつきたいという気持ちが、不安に結びついてしまったような気がします。よくないなと思いつつ、なかなか気持ちを変えることができなかったんですけど、今年に入って自分との向き合い方がようやくわかってきたような気がして、「見る前に飛べ！」の詞を書くことができました。

── 「何度でも何度でも　傷つくよ 強くなりたいから」という最後の言葉に、強い意思を感じました。

鈴木　苦しいことから目をそらさず、向き合っていきたいなと思いました。その前にある、「痛くても目を開け」という歌詞は、バンジージャンプの経験から生まれました。飛んだとき、目を開いていたなって思って。

── 21歳の誕生日を迎えるにあたってチャレンジしたバンジージャンプは、9月30日に行われたバースデーイベントで、その模様が上映されました。飛ぶ瞬間に、「見る前に飛べ！」って叫んでいましたよね。

鈴木　バンジーをしてから「見る前に飛べ！」の詞を書いたので、あの日の思いも歌詞に入っています。