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アルバムのように流れで見てほしいパッケージ作品
── 曲数的には後半戦です。ドロシーの「Under the Moonlight」は大地(葉)さんのボーカルが素晴らしかったです。 高橋 本当にすばらしかったですね。歌姫のバックで弾いてる感じで、ライブらしい形になりました。
── スタジオ盤をつくるときはどんなコンセプトでしたか? 高橋 ドロシーの繊細でかわいい部分を重視しました。結局、彼女が一番少女っぽいところを持ってるんじゃないかなと思ったので、いい歌で独白してもらおうと。そこで彼女が何を願っているかをメロディにしていきました。サウンドもよい雰囲気で、がっつりバラードとしてよいものにする。ちょっと古い時代感を想起させるような手法で作りました。曲として何も奇をてらわずに、しっかり歌が伝えられればよいなと。
── 当日のプレイもこのよさをそのまま伝えるタイプの曲ということですね。 高橋 アルバムの中でも、コンセプト押しではなく歌としてよいものという、ちょっとジョーカー的な役割だったので、ライブでも、よい歌のショーをするという感じですね。ピアノのふっきー(吹野クワガタ)もよい感じのジャジーな振りを入れてくれました。バラードのフレージングなど、全編にアドリブを入れてもらった感じです。
── 次はドロシーとベアトリスのデュエットである「moonlight melody」。こちらも梶浦さんによる楽曲ですね。 高橋 これも立ち位置的には作品の世界に入ってもらうコーナーなので、忠実に再現しようと思いました。デュエットってやっぱりいいですね。ショーとしてライブならではの感じも出るし、ボーカルが複数いるとみんなで作ってる感じが出ます。エンディングテーマもそうですが、そのあたりのよさがライブでよく出たと思います。
── 次がプリンセスの「Into the Sky」ですね。 高橋 これは打ち合わせでThe Verve(ザ・ヴァーヴ)の「Bitter Sweet Symphony」をやろうという話題になりました。きらびやかな弦が重なるロイヤル感。その中にプリンセスの凛とした強さみたいなのが見えたらいいねという話をしていました。
── 「ロイヤル感」というキーワードはキャストさんや音響監督(岩浪美和)さんもおっしゃっていました。 高橋 プリンセスはすごく複雑なキャラクターで、演技とかテンションの擦り合わせが絶妙なバランスの上に成り立っているので、どのように作ればよいかが、とても難しかった記憶があります。コンセプトとしてはロイヤル感になったのですが、プリンセスは立てるところが少ししかなくて、ちょっとでもズレたら落っこちてしまうので、実際にメロディにするときにその辺りの合わせ方が一番難しかったですね。
── ライブ当日はいかがでしたでしょうか。 高橋 曲自体はそんな風にすごくバランス考え抜いて作ったのですが、関根(明良)さんの演技やプリンセスのキャラクターのほうに比重があって、それが本編を通してできてらっしゃるので、演奏は割と淡々と、さらっと。語る部分はボーカルで語ってもらって、裏側の熱さをサポートするぐらいの感じでギアひとつくらい上げる感じのテンション感で演奏しました。
── 次はエンディングテーマのカップリング曲「Shoot Your Heart Out!」。 高橋 これはもう楽しい時間です。一番ライブをやったなという感じがありました。
── 先ほどデュエットのときにショーらしさをおっしゃっていましたが、この曲は5人ボーカルですから。 高橋 キャストの皆さんが一番大変そうでしたね。楽器陣はめちゃくちゃ簡単なんです(笑)。ストラップを思い切り下げて気軽な感じで弾いていました。シンプルな構成で、何やってもいいよみたいな感じだったんで、そういう能天気な感じが曲のメインコンセプトでもあるので、楽しく弾いていました。
── そこからエンディングテーマの「A Page of My Story」。 高橋 本当に楽しくみんなで作る曲なので、いろいろ思い出してもらいながら平和な感じで本編を終わってもらおうと、大団円的な位置づけとして楽しくやらせてもらったという感じですね。
── そしてイベントしてはトークとピクチャードラマのコーナーがあり、もう一度、MARUさんが登場して「Drive My Fate」を歌う構成に。 高橋 音学的には趣味爆発みたいなところで楽しかったのですが、これも難易度がとても高く緊張しました。ボーカルがMARUさんなので安心して乗っかる感じが楽しかったです。これは元々の曲がエンディングテーマのメロディを変奏したスピンオフバージョンなので、楽曲としては連続して演奏できたことが個人的にもうれしかったです。ハッピーで軽い感じのエンディングで大団円をしてからの同じメロディで格好いい曲を聴かせる。順番的に「ね、よくできてるでしょ?」って(笑)。
── Blu-ray全般を通じて、高橋さんの視点での注目ポイントを読者に教えていただけますか? 高橋 ひとつ注目というよりも、Playボタンを押したら、飛ばさずに見て、聴いてほしいですね。どこを取り出しても作品自体の立体感が曲の並びでも証明されていると思います。これだけ音楽がドカンと乗ってもビクともしないところが一番の肝。よい意味でキメ曲という感じがないんです。ですから、アルバムのように流れで聴いてほしいパッケージ作品だと思います。
── 「プリンス・プリンシパル」に関わられた経験は高橋さんとしてどんな位置付けになったと、現在のところ考えられていらっしゃいますか? 高橋 この作品では、自分のやりたいことや「やってみたら面白いんじゃないかな」と10年ぐらいボンヤリと考えていたことを、音楽的にも方法論的にもかなりの部分、自然に表現できたと思います。大きく言えばジャンル感的なところから、細かく言えば楽器の組み合わせまで、面白いと思っていたことだけれども機会がなかったことをひとつの作品で表現することができました。だからこそVoid_Chordsというソロプロジェクトも今後もやっていきたいと思うようになりました。それはこの作品だったからこそという面があったので、すごく大きい存在であるといえます。位置づけ的には中心、根っこにしたい感じです。
── この作品は今後続編を劇場公開で展開していくので、数年後にまた同じ質問をしてみたいと思いました。最後に「プリンセス・プリンシパル」のファンの方にメッセージをお願いできますか。 高橋 僕自身もTVシリーズを見て、このスタッフになら身を預けられると確信しましたので、ファンの皆さんも「プリンセス・プリンシパル」という作品がどういう風に成長していくのかを楽しみにしていただければと思います。
(取材・構成/日詰明嘉)
商品情報
■「プリンセス・プリンシパル STAGE OF MISSION」(Blu-ray)
・2018年11月22日発売
・7,000円(税別)
・発売・販売元:バンダイナムコアーツ
・186分(本編約143分+特典43分)/リニアPCM(ステレオ)/AVC/BD50G/16:9[1080i High Definition]・一部16:9[1080p High Definition]
【映像特典】 ■続編予告PV(完全新作映像) ■イベントメイキング ■ピクチャードラマ「case15.3 Hurry-Scurry Scenery」 (イベント内で行った朗読劇をピクチャードラマとして制作)
【収録内容】
2017年7月からTV放送された『プリンセス・プリンシパル』。放送終了から約半年を経て、初のライブイベント『プリンセス・プリンシパル STAGE OF MISSION』を開催。
2018年4月29日に舞浜アンフィシアターにて開催された本イベントを余すところなく収録
M1 The Other Side of the Wall(TV Size)/Void_Chords feat.MARU ――― トークコーナー ―――M2 Take Me Up Higher/アンジェ(cv.今村彩夏)M3 リトルブレイバー/ベアトリス(cv.影山 灯)M4 閃光刀歌/ちせ(cv.古木のぞみ)M5 もひとつまわして/ちせ(cv.古木のぞみ)M6 Under the Moonlight/ドロシー(cv.大地 葉)M7 moonlight melody/ドロシー(cv.大地 葉)、 ベアトリス(cv.影山 灯)M8 Into the Sky/プリンセス(cv.関根明良)M9 Shoot Your Heart Out!/ アンジェ(cv.今村彩夏)、プリンセス(cv.関根明良)、ドロシー(cv.大地 葉)、ベアトリス(cv.影山 灯)、ちせ(cv.古木のぞみ)M10 A Page of My Story/アンジェ(cv.今村彩夏)、プリンセス(cv.関根明良)、ドロシー(cv.大地 葉)、ベアトリス(cv.影山 灯)、ちせ(cv.古木のぞみ) ――― トークコーナー ――― ――― ピクチャードラマ「case15.3 Hurry-Scurry Scenery」 ―――M11 Drive My Fate / Void_Chords feat.MARU ――― トークコーナー ―――M12 The Other Side of the Wall/Void_Chords feat.MARU
◆出演者◆ 今村彩夏(アンジェ役)/関根明良(プリンセス役)/大地 葉(ドロシー役)/影山 灯(ベアトリス役)/古木のぞみ(ちせ役)/飯田友子(ガゼル役)/Void_Chords feat.MARU 高橋諒
VIDEO
(C) Princess Principal Project