「Composers Summit Concert 2018」開催記念! 梶浦由記×椎名豪スペシャル対談!

2018年11月27日 16:000
「Composers Summit Concert 2018」開催記念! 梶浦由記×椎名豪スペシャル対談!

劇伴作家として活躍する梶浦由記さんと椎名豪さんが、千住明さんを迎えて送る「Composers Summit Concert 2018」が、2018年12月28日(金)、東京国際フォーラムホールAにて開催される。

文字通り、3人の作曲家が自身の楽曲を披露しあう場となる。アニメ・ゲーム・実写作品とジャンルを問わず、美麗な楽曲を生み出し続ける3人だけに、どんな楽曲が演奏されるのかも非常に楽しみだ。

ここでは、コンサートの開催を記念して行われた、梶浦さん・椎名さんの両名による対談の模様をお送りする。さまざまな劇伴を手がけてきた両名だけに互いの活動にも興味を刺激されたようだ。ufotable作品という共通の話題にも話が及び、自由に話題が飛び回る時間となった。

当時は「サウンドトラックって何?」という状態

――お二人は互いの作品についてよく聴いていた、という話を聞きました。制作に関することで聞いてみたいことはあればぜひ。

 

椎名 初めてのレコーディングって覚えていますか?

 

梶浦 覚えています。デビューはバンドだったんですが、アレンジャーさんを立てられていたので自分でアレンジさせてもらえなかったんですよ。そのとき、所属しているレコード会社の作曲家が一曲ずつインスト曲を書くという企画で声をかけていただきました。Afternoon Teaのコンピアルバム(『インテリア・ミュージック・スタイル』)だったんですが、それまで私は歌物にしか興味がなく、インスト曲を書いたこともなく、インストなんて頭の隅の方にあるくらいだったんですが、自分でアレンジがしたかったのでやってみることにしました。それが初めてのレコーディングですね。アルバムのために実は3曲作ったんですが、1曲はコンピアルバムに入るとして、残り2曲は行き場がなくなりますよね。それを事務所の人が市川準監督に共有したところ映画(『東京兄妹』の)テーマソングに決まり、その映画のサントラをやることが決まり。でも私は生まれてこの方、インストをまだ3曲しか書いたことがない人間ですからね(笑)。なので、その3曲を録ったときのことはよく覚えています。

 

椎名 インスト曲を作るとき、歌物からどうやって頭を切り替えたんですか?

 

梶浦 何も考えていませんでした(笑)。ただ、インストは作っていなくても、世はいわゆるニューエイジブームで、私が好きだった音楽が歌物から、歌とインストの中間みたいなところに切り替わる時代ではあったんです。だから、インストもやってみたい気持ちがあったので、ちょうどいいタイミングでしたね。ただ、作るものに関しては、とりあえずメロディがあって……というメロありきのインストでした。サウンドから入るような力はありませんでしたね。今もメロからしか曲を作れないというところは感じます。良し悪し両方だとは思いますが。

 

椎名 だから、メロの強いインストを書かれるんですね。

 

――椎名さんが書くメロディもすごく強いと思います。

 

梶浦 強いですね。

 

椎名 でも僕もインストはあまり聴いてこなかったんですよ。「サントラって売ってるの?」という感じで(笑)

 

梶浦 わかります(笑)。私もお話をいただくまで、世の中にサウンドトラックというものがあることを知りませんでした。

 

――今のお二人を知る人からすると想像もつきませんね。

 

梶浦 でも本当に、「そういえば映画を見ていたら後ろで音楽が鳴ってたような」という感覚だったんです。

 

椎名 僕もそうでした。

 

梶浦 全く興味がありませんでした。そもそも映画を見ない人ですからね。「スターウォーズ」ですら。

 

 

――でも、メロディから手がけられることが、劇伴ながらも頭に残る曲を生み出す理由かもしれませんね。

 

梶浦 どうなんでしょうね。結局、自分にはそれしかできないし、それが好きだからやっているだけなので、正解かどうかはわかりません。ただ、自分の曲を扱ってもらえることはとてもありがたいと思っています。今、映像と音楽を合わせることが本当に楽しくて、サントラを知らなかったくらいなのにこれ程変わるのか、と我ながら思いました。

 

――サントラを生む面白さというのは?

 

梶浦 乗せる音楽によって映像が変わってしまう、「音楽って怖い!」とはすごく思いました。映像を見ている人は全く意識していなくても、流れる音楽がその人の心を決めてしまうわけです。悲しい曲を流すか、楽しい曲を流すか、あるいは無音にするか、それによってシーンが180度変わってしまうことが驚きでした。それで病みつきになってしまったんですね。

 

椎名 僕はそんな感動がなかったんですよね。劇伴を始めた当初はわからなかったというか、「歌物の方が盛り上がるよね?」という思いがありました。だから、歌物を作ることが多かったんですが、ただセリフにぶつかって邪魔にはなるので没を食らうことも結構ありました。それでも(ゲーム)内蔵音源の時代は内心、場面と音楽が合致しているのかに確信が持てないというか、むしろリズムのテンポで士気を高める感覚で作っていました。TRFなどが好きだったのもあって、ノリで押し切っていたんだと思います。ただ、RPGになると話は変わってきて、悲しいシーンでもセリフ量が多いので、さすがに歌が入っているとおかしいとは気づいたんです。それから、生(楽器)が使えるようになってくると、説得力が増すので少しずつ浮気……じゃないか(笑)、心変わりが生まれ始めました。それ以前は、生で録るなんて大贅沢、という時代だったので。レコーディング用のテープ代も高かったですから、(レコーディングは)2回で決めてくださいと言われて、「マジか!?」と思っていました。

 

梶浦 Pro Toolsが家で使えた時代ではないので、スタジオを押さえる必要もありましたし、いろいろと大変でしたね。

 

椎名 パンチ(=楽曲の一部だけを録り直すこと)もできないし。

 

梶浦 やりましたね、パンチ。うまくない子に当たると大変なんですよね。

 

椎名 そう(笑)。

 

梶浦 「じゃあここから録ります」というのが今ほど簡単ではないので。今なら録っておいてつなぎどころを探すことができますが、当時は誰かが間違えると皆でやり直しになったので。

 

椎名 公開処刑みたいでしたよね、昔のレコーディングって。

 

梶浦 とあるギタリストさんのソロを録っていてアシスタントの子がパンチがうまくできず、どんどんと前に戻ってしまって。すごく温和な方だったのに「もういい最初から弾き直すよ!」と怒らせてしまった事もありました(笑)。昔のレコーディングはやっぱり面倒なことも多かったです。

 

 

――劇伴作家としての活動初期にゲームを手がける、という共通点があるお二人ですが、アニメではufotable作品と関わりが深いこともあげられます。

 

梶浦 椎名さんもたくさんやっていらっしゃいますよね。今は「衛宮さんちの今日のごはん」ですよね。あれもフィルムスコアリングだと聞いたんですが本当ですか?

 

椎名 本当なんですよ。

 

梶浦 えぇーっ!

 

椎名 リテイクの嵐です(笑)。

 

梶浦 フィルムスコアリングにされた理由はご存知ですか?

 

椎名 いえ、その辺は。正直、かなりの曲数を録っておけばある程度ハメられると僕も思っていました。

 

梶浦 仰ることはわかります。いい意味で似たようなシーンがよく登場するアニメですよね。

 

椎名 でもなかなかOKが出なくて(笑)。

 

梶浦 そうなんですか。プロデューサーさんと打ち合わせしたときに「実はフィルムスコアリングなんです」と聞いて、「へー!」って思ったんです。プロデューサーさんの中には「この炒めものができあがるまでの心の光明はフィルムスコアリングで……」みたいなのがあるんでしょうね。

 

椎名 そうなんですよね。キャラクターの目線が……というオーダーが多いんです。衛宮くん側に立つのかとか、桜側に立つのかで変わるということで、それはすごく言われています。それによってメロディの入る位置が違う、とか。でも、これで合わせられるのかなと思っていたら、尺が変わってしまって「うぅー」と思うこともありました(笑)。レコーディング後に変更ということも結構ありましたね。

 

梶浦 大変ですよね。このお話になると書けない話を3時間くらいしてしまいそう。

 

――椎名さんの話を聞きながらも、深く激しくうなづいていましたね(笑)。

 

椎名 ホント、止まらなくなりますよ(笑)。でも、すごく勉強にはなるんですよね。

 

梶浦 私もフィルムスコアリングそのものはすごく好きなんです。やっぱり音楽の効果が一番出しやすいですから。

 

――先ほどお話に出た、映像を音楽が左右する醍醐味を一番味わえますよね。

 

梶浦 そうなんです。でも、フィルムスコアリングが好きな分、(映像と音楽を)ガッチガチに合わせて作ったのに、いざTVを見ていたら10秒くらいずれて使われたときのイライラときたら。「いやーっ!」ってなりますね(笑)。

  


(取材/冨田明宏、文/清水耕司)

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