「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ 2018 アジア・オセアニア選手権 決勝」。日本人選手が堂々のワンツーフィニッシュ!!

2018年10月10日 17:450

「アジア・オセアニア選手権 決勝」TOP3選手インタビュー


--「アジア・オセアニア選手権 決勝」を終えての感想は?


Jonathan Wong選手:トップ3に入ることが目標でしたので、すごくうれしいです。もしファイナルレースをもう一度できるのなら、最初のコーナーは絶対ミスしないで、もっといいレースをしたいと思います。


Tomoaki Yamanaka選手:オンラインの戦いから3か月くらいやってきて、今日こうしてオフラインイベントでワールドファイナルに進めたことにまずはほっとしています。今日のレースを振り返ると、予選でちょっと失敗してしまった部分があり、その流れが最後までなかなか戻らず、どのレースでも勝てなかった。よくも悪くもずっと2位とか3位だったということが今日の結果になったと思いますが、次のワールドファイナルでリベンジできるように頑張りたいです。


Ryota Kokubun選手:こういったオフラインイベントに参加するのは初めてだったのですが、この舞台で初めて優勝できて本当にうれしいです。これからワールドファイナルがありますが、今回優勝したことを誇りに持って、挑んでいきたいと思います。


--皆さん、毎日どれくらい練習をしていますか?


Jonathan Wong選手:時間のあるときは4時間くらい、時間の取れないときも1時間くらいは走ります。


Tomoaki Yamanaka選手:自分は社会人で夜遅くまで仕事していることもあるので、週に2回くらい2~3時間プレイします。


Ryota Kokubun選手:平日は基本的に2時間ちょっとくらい。休日は長いときで4時間くらいプレイしています。


--この2日間のレースでのハイライトはどこですか?


Jonathan Wong選手:ベストレースは、今日の第1レースの鈴鹿でTomoaki Yamanaka選手とバトルしたときです。こちらは守るのが精一杯で、Yamanaka選手は一番いいレースをしたと思います。


Tomoaki Yamanaka選手:ハイライトは今日の予選に尽きると思います。一発目のアタックでいいタイムが出たんですけど、最後の1周にかけようと思ったものの時間の配分をミスしてしまい、3秒くらい足りずにアタックできなかったのが残念です。


Ryota Kokubun選手:ファイナルレースです。タイヤ交換の戦略的駆け引きが多くて、熱い戦いになったと思います。


--皆さんのグランツーリスモ歴はどれくらいですか?


Jonathan Wong選手:最初に始めたのは「グランツーリスモ2」で、5歳くらいのときです。eスポーツのレースをやりたいと思ったのは2年前です。


Tomoaki Yamanaka選手:自分は今25歳なんですが、初めてプレイしたのは、4歳のときの初代「グランツーリスモ」なので、歴で言うと21年になります。


Ryota Kokubun選手:3歳のときに初代「グランツーリスモ」をプレイして、本格的にやり始めたのは「グランツーリスモ SPORT」からです。


--ワールドファイナルに向けての戦略などはありますか?


Jonathan Wong選手:戦略はそのときそのときの状況で変わるので、レースの途中で変わっていくと思います。


Tomoaki Yamanaka選手:今日のレースでいうと、タイヤのライフがどれくらい持つかで戦略を考え、予備で2パターンの戦略を持ってレースに臨みました。ただ、レースは生き物なので、ほかの車がどこを走っているかなどを考えながら、戦略を変えていかなくてはいけませんし、今日のレースも必ずしも戦略が当たったというわけではないので、ワールドファイナルでは、どの車がどこを走っているのかを把握しながら走れるように、練習を重ねていきたいと思います。


Ryota Kokubun選手:戦略というよりも、自分は自分のペースを維持するのが第一だと思っているので、とにかく周りにつられないように走りました。ワールドファイナルでも、周りの動きを見て戦略を考えるのもそうなんですが、自分のペースを維持することを第一に考えて走りたいと思います。


--優勝するのに一番大事なことは何だと思いますか?


Jonathan Wong選手:相手をリスペクトすること、ペースを維持すること、ミスをしないことだと思います。


Tomoaki Yamanaka選手:モータースポーツもスポーツなので、相手をリスペクトする気持ちはすごく大事だと思います。そういう意味で、今日のレースでは、僕はそこが欠けてしまっていたのかもしれない。こういうのは普段の練習から出てくるので、そういったところを気をつけてまたレースをしていきたいと思います。


Ryota Kokubun選手:自分も前に出たいですが、周りを敬いながらも、自分のポジションをひとつでも前に上げられるように走ることだと思います。


--今日の決勝に臨むにあたって、気をつけた点は?


Jonathan Wong選手:いつも通りで望むことです。


Tomoaki Yamanaka選手:ゲームなので、以前の大会とルールが変わったりというのはあるのですが、どんなことが起こってもしっかり適応できる能力を身につけたいと普段から思っています。それが少しずつ身についてきているとは感じています。


Ryota Kokubun選手:自分の走りをキープしつつ、接触やショートカットなど余計なペナルティをもらわないように気をつけながら慎重に走りました。

 

「グランツーリスモ」シリーズプロデューサー・山内一典さんインタビュー


--「アジア・オセアニア選手権 決勝」を終えての感想は?


山内:この選手権自体の構想は、今から6年前にFIAと僕らで、未来のモータースポーツを作ろうということでスタートしたものなんです。その後5年かけて「グランツーリスモ SPORT」を作って、それから1年のチャンピオンシップをやってきて、今日初めての公式戦ということでライブイベントを行いました。ですので、最初に構想をもってある目標に向かって走り出してから、本当に長い時間がかかりました。今日この日を迎えられたというのは、僕にとっては本当にうれしく、感無量です。


--今、eスポーツが何かと話題ですが、その前からFIAといろいろ進められていたということで、そこまで経緯や苦労した点などあればお聞かせください。


山内:この話はもともとFIAから僕らのほうへの呼びかけで始まったんです。FIAの皆さんは、120年前くらいから現在のモータースポーツについていろいろやってきていていますが、その彼ら自身が、モータースポーツはこのままではまずいという危機感を持っていました。そこで、「グランツーリスモ」と組んで未来のモータースポーツを作っていきたいというご提案をいただいたので、ここまで進めてこられたということです。


ビデオゲームの制作はすごく時間がかかるので、FIAの皆さんにはずいぶんお待たせしちゃったと思います。おそらくFIAの皆さんも、もっと簡単にできるだろうと思って、話をしたんじゃないかと思いますが、やはりスポーツを本当にやるために必要なゲームの構造などを作っていくのは本当に時間がかかるんです。今でもパーフェクトだとは全然思っていませんし、いろいろ直したい部分はたくさん持っているんですが、とにかく始められたということが大きいと思います。


--今日のレースを見られての実感は?


山内:スポーツを始めると決めたときに、何がキーになってくるかをずっと考えていました。それで、スポーツは「人が輝く」というのがやはりいいんですよね。「グランツーリスモ」のシステムだとかグラフィックとかサウンドとかというのは、ある意味でスポーツをやるときには裏方でいいと思っていて、やはり主役は選手だと思います。今日も初めて出場された方が、アジア・オセアニアブロックの頂点に上り詰めましたけど、おそらく、次のワールドファイナルでお会いしたときには、全くの別人になっていると思うんですよ。スポーツってそういう力があるんです。人をどんどん成長させていく力があるし、より強いオーラを放ち始める。それはほかの選手たちも一緒です。そうしたことが今後起きていくと考えると、ちょっとゾクゾクしますね。


--「グランツーリスモ SPORT」を発売して約1年ですが、本大会も含め、eスポーツがここまで盛り上がってくるということは予想されていましたか?


山内:常に、こういう未来を作りたいということと、実際にそれが起こるということは別ものなんですよね。ただ、すごく大事なことは、そこで確かに価値のあることが行われたとか、確かに価値のあることが起こったとか、確かにステキなものが現にあるとか、そういう事実だけが大事なんですよね。今はそういう手応えは感じています。


--「ワールドファイナル」において、日本人選手の活躍に期待されていることは?


山内:とりわけ「グランツーリスモ」の世界では、日本人の選手が高いパフォーマンスを持っている。優秀なプレイヤーがそろっているということは、もう10年以上前からわかっていたんです。ただ、「GTアカデミー」というプログラムが、ヨーロッパとかアメリカでは行われたけれども、日本では行われなかったという経緯もあって、日本人の選手が日の目を見る機会がなかなかなかったんです。今回「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」が全世界で行われることで、いよいよ日本人の選手が世界の舞台で活躍する、そういう舞台が整ったということになります。今日のレースを見ていても、日本勢は強かったですけど、ヨーロッパにも強豪プレイヤーがたくさんいますので、どんなレースを見せてくれるんだろうと今から楽しみです。


--今後「グランツーリスモ」シリーズはどうなっていくのでしょうか?


山内:これまで20年の歴史を持つ「グランツーリスモ」ですが、これまでは家庭用ビデオゲーム機の進化とともにありました。今後の「グランツーリスモ」に関しては、今回「SPORT」を出したことでもわかるとおり、単純なグラフィックとかサウンドの進化を求めるのではなく、どうやって遊ばれるのか。あるいはその遊んでいるところを楽しんでいただけるのかというところに変化していくと思います。


--現時点で、「ワールドファイナル」の強豪と思われる地域や国はどこだと思われますか?


山内:先日オーストリアで「グランツーリスモ ワールドツアー」というエキシビションを行ったんですが、そのときに12か国から36名のトッププレイヤーを招いて大会を行いました。そこで優勝したのはハンガリーです。イギリスもかなり強豪国ですし、どこが勝つかはなかなかわかりませんけれども。ただ今日のレースでも解説の山田君が言っていたように、日本人選手って割と単独で走っていると速いんですが、競い合いになると、ヨーロッパの選手って瞬間瞬間の勘が鋭いので、どういうレースになるでしょうね。


--今後、「グランツーリスモ」の大会をメジャーにしていくにあたって、選手のプロ化を計ったり、賞金制の大会を行ったりといった構想はありますか?


山内:サッカーが始まったときはどうだったんだろうとか、F1が始まったときはどうだったんだろうとか、よく考えるんですが、何にせよ、参加している人が楽しめて、それを見ている人が楽しめるという小さなところから初めていくしかないと思うんです。僕らは、あらかじめ壮大なビジネスプランがあって、それを着々と進めているという感覚はなくて、まずは目の前の選手たちに楽しんでほしい。そして、それを見ているお客さんに楽しんでほしいというところから始めたいと思っています。ただ、今日優勝したのは日本のプレイヤーでしたけど、表彰式で君が代が聞けるっていうのはステキですね。


(編集部・鎌田)

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