「初心者の格闘ゲーム離れを緩和したい」。開発者に聞いた「SNKヒロインズ」の魅力

2018年09月26日 17:000
開発者に聞いた「SNKヒロインズ」の魅力

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

2018年9月6日、対戦格闘ゲームをけん引してきたSNKが新たに「SNKヒロインズ」という格闘アクションゲームをPlayStation®4、Nintendo SwitchTM用ソフトとして発売した。9月9日に開催された公式の大会「SNKヒロインズ カジュアルマッチ」では、「あー! バナナが!!」「タライが!」と格闘ゲームの実況としては異質な叫び声も聞こえてきたが、同作にはどういった魅力があるのだろうか? 同作のディレクター・空中海人氏に話を聞いた。

 

「SNKヒロインズ」のディレクター・空中海人氏

 

対戦格闘ゲームは90年代初頭からブームとなり、すでに30年近い歴史を持っている。相手にダメージを与えるため、技を繋げる「コンボ」や、必殺技を出すために必要な「ゲージ」といったシステム面も年々複雑になり、初心者が躊躇するケースも増えているが、同作はそういった複雑な面をあえて取り除くことで、初心者ゲーマーの参入を狙う。

 

 

必殺技の演出はとてもポップ。しかもボタンを押すだけで出せてしまう

 

「まずコマンド入力をなくして必殺技ボタンを作りました。このシステムで初めてゲームを触る人でも簡単に必殺技を出せるようにしました。また必殺技ボタンにしたことでキャラ毎のコマンドの違いがほぼなくなり、1キャラ動かすことができれば、ある程度ほかのキャラも動かせます」(空中氏)

加えて、同ゲームのKO条件は相手のHPを2割以下にした状態で超必殺技「ドリームフィニッシュ」を当てると勝利するシステムになっているのだが、追い詰められている相手はHPが減ると必殺技や超必殺技に使用するゲージ量が増加するので、逆転のチャンスが用意されている。しかし、必殺技ボタンだけでは、上級者が長年培ってきた技を出すタイミングで圧倒されてしまうケースもあるだろう。そこで、そういったプレイを止めるために考案された同ゲームならではのシステムが、「アイテム」の存在だ。

 

「ドリームフィニッシュ」時にはキャラが大映しになる

 

攻撃をじゃまする障害物など、多数のアイテムが用意されている

 

「長いコンボなら、もちろん高火力のダメージも出せますが、『アイテム』を使ってコンボを妨害することも可能です。アイテムがあれば、初心者でも運がよければ上級者の動きを阻害することができます。『初心者が上級者に一方的にやられる』という格闘ゲーム初心者のゲーム離れの原因のひとつを緩和できていると思います」(空中氏)

 

「SNKヒロインズ カジュアルマッチ」でも実際に、相手にとどめを刺そうとした先にバナナの皮が置いてあり転倒。その直後、超必殺技「ドリームフィニッシュ」をぶっ放し(コンボで繋げずそのまま必殺技を撃つ行為)されて逆転されるなどの場面も。ほかにも「タライ」や「地雷」など、相手の行動を妨害するアイテムが多数存在する。他作品の格闘ゲームでも「ガードキャンセル」「ゲージ開放」「サポートキャラ」などの存在により、流れを変えるシステムはあったが、これらのゲームと大きく違うのは、どのアイテムを取得できるかは運の要素があり、取得したアイテムは簡単に繰り出せるという点だ。同システムと「ドリームフィニッシュ」の条件がからむと、不測の事態も発生しやすい。運の要素も強い作品といえるだろう。

 

システム面での苦労話を語る空中氏

 

また、同ゲームはSNKの人気コンテンツである「KOF(ザ・キング・オブ・ファイターズ)」シリーズの女性キャラクターが多く参戦しているが、KOFシリーズとの大きな違いは、キャラを2名選択する、タッグバトル形式であるという点だ。

 

「KOFで言うならば、3on3の勝ち抜き戦を1対1で戦っていく、というイメージがあると思いますが、今作は1戦の中でキャラクターを切り替えながら戦っていくというタッグマッチ方式を取っています。コンボだけでなく、アイテムの活用や、アタッカーとサポーターの切り替えなどが勝敗を左右します」(空中氏)

 

このバトルシステムに落ち着くまでには、さまざまな試行錯誤があったそう。実は初期はもっと運要素がからむシステムだったとか。

 

「実は最初の段階では今と全く違うゲーム性になっていて、サポーター側にいるキャラクターが徐々に砂に埋もれていき、『アタッカーが埋もれて砂人形にされないよう頑張る』というものでした。ただ、この仕様で実際に作ってみたところ、全ての試合がタイムアップ決着のような終わり方になってしまい、全く爽快感がなく面白くありませんでした。そこで次は爽快感の部分について考えていき、試行錯誤の結果、今のゲーム性になりました」(空中氏)

 

システム面以外にも魅力が満載だ。キャラクターの衣装が、KOFシリーズよりもガーリーさや、セクシーさを強調したものになっている。

 

「衣装は、謎の主催者の『嫌がらせ衣装』というコンセプトでデザインしています。各キャラの性格や好みを考慮して、恥ずかしがりそう、嫌がりそうな衣装を選定してデザインしました。またスタッフから衣装デザインを募集して、『これだ!』と思った衣装はそこから設定をふくらませて…、という逆パターンもあります」(空中氏)

 

このように、キャラの衣装への反応もさまざま

 

キャラ選択画面を確認すると、軍人キャラのレオナは恥ずかしがらずに、露出度が高い衣装なのに、いつも通りの敬礼ポーズ。ユリは普段の道着とは違う、はっぴの衣装に赤面しているなど、キャラごとの反応の違いも楽しめる。対戦面以外でもキャラそのものの魅力に注目したシステムが多い。

 

「バトル以外の部分でも楽しめるようキャラクターにアクセサリーを装着したり、壁紙やスタンプなどを使ってスクリーンショットを彩るといったカスタマイズモードを用意しています。あと、キャラクターゲームの要素として、ストーリーモードでキャラクターの組み合わせでかけ合いが変わったり、ボイス変更によってバトル中や勝利メッセージでしゃべるセリフが変わる、といったお楽しみもふんだんに取り入れています」(空中氏)

 

お気に入りのヒロインをカスタマイズして撮影もできる

 

ゲーム中、後ろで待機しているサポーターの細かい動きにも注目

 

このほか、ダメージ演出がポップになっているなどの要素も。これらの演出の数々には、「『このゲームは肩肘張らずに気軽に遊んでいい』ということを感じ取っていただきたい」と、空中氏や開発スタッフの思いがこもっているとのこと。また、同ゲームは10月よりアーケード版の稼動が決まっている。

「日本において、アーケードは重要なマーケットであると捉えています。独自のコミュニティも形成されており、コンシューマ版との相互作用によって格闘ゲームシーンがより一層盛り上がると考えています」(空中氏)

 

どのタイトルともバッティングしない同ゲームは、最近使われ始めた「eスポーツ」という言葉の範囲を広げるためにも、大きな影響力があるかもしれない。

 

「真剣勝負のeスポーツもよいですが、初心者から上級者まで笑いながら楽しめるeスポーツとして、本作を広めて行きたいと思います。おかげさまでSNK公式大会『SNKヒロインズ カジュアルマッチ』はとても盛況のうちに終えることができました。対戦者も観戦者も皆で笑いながら試合が進んでいったのが印象的でした。また大会終了後も『楽しかった』、『配信を見たけど面白そう』といった声を頂きましたので、今回の大会でより多くの人が興味を持ってくれたと実感しています」(空中氏)

 

現在の配信では、4人同時でできるリアルタイム2on2などもプレイ可能だ。声をかけ合ってのプレイが必要だったりと、ここでもほかの格闘ゲームでは体験できない要素が強い。気になった人はまず、公式動画などをチェックしてみてはどうだろうか?

 

(斎藤雅道)

 

SNKヒロインズ公式サイト

http://game.snk-corp.co.jp/official/snkheroines/

 

SNKヒロインズ カジュアルマッチ対戦映像

https://youtu.be/CZqhofj-yLU

 

(C)SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED.

※Nintendo Switchは任天堂の商標です。

※"PlayStation"は株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。

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