語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー

2018年09月25日 20:550
語り部の女神と九九組の魔王が語る!? 「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」レヴュー曲はいかにして作られるのか。中村彼方×小泉萌香インタビュー

現在、絶賛放送中の「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」を彩る要素として、際立った存在感を放っているのがアニメの映像演出・キャラクターの心情と演技・想いを込めた歌詞や歌唱が完全にシンクロした「レヴュー曲」の数々だ。

こんなレヴュー曲を、一体どうやったら作り出せるのか。楽曲の作り手である作詞家・中村彼方さんと、第7話で「ループの主」であることが判明した大場なな役・小泉萌香さんにインタビューを行なった。中村さんはアニメの企画初期から参加し、作詞家の立場から世界観構築に関わり、舞台少女たちのレコーディングのディレクションも行なうという、普通の作詞家からは逸脱した「見守り手」のような存在だ。

 

本稿ではレヴュー曲制作・レコーディングの全体像と、小泉さんが参加した第8話レヴュー曲「RE:CREATE」と第9話レヴュー曲「星々の絆」について、そして大場ななと星見純那の関係性のみにフォーカスしている。大場ななのループ設定を巡る話については、前回のインタビューを参照してほしい。

⇒舞台少女たちは実は◯◯◯していた!? 第7話で衝撃展開の「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」小泉萌香(大場なな役)×中村彼方(作詞家)最速対談インタビュー



レヴュー曲はいかにして作りあげられるのか?

──まずは話の入口として、「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」のレヴュー曲はどのように作っているのでしょうか。

 

中村彼方(以下、中村) まず元々ラフの曲があって、この曲をレヴュー曲に仕上げたい、と提案されて進めていくパターンがあります。また別のパターンとして、絵コンテが上がってきて、ここにこういう曲を作りたい、という風にオーダーされる場合もあるんです。いずれの場合も、フィルムスコアリング(※すでにできあがっている絵コンテに、曲と詞を落としこんでいく“絵先”の楽曲制作方式)は必ずやります。

 

──ラフ曲がある場合、映像に合わせて曲の側を手直ししたりはするんですか?

 

中村 あります。展開に合わせて間奏を長くしてほしい、あるいはここにブレイクを入れてほしい、といった要望をアニメチームからいただきます。そしてレヴューの動きや舞台少女の感情の動きに合わせて、楽曲を作っていくんです。曲ができあがってから、絵コンテに合わせて動画に曲を貼って、歌のメロディをシンセでいただいて、そこから私の作詞作業が始まるんです。その時点で、舞台少女たちの台詞入りのものと、台詞なしのものをもらって、脚本と照らし合わせながら、台詞と台詞の隙間の感情を埋めながら歌詞を制作していきます。

 

小泉萌香(以下、小泉) (ものすごく真剣にうなずいている)

 

中村 あとは舞台装置の動きに合わせて……たとえば第1話の挿入歌「世界を灰にするまで」で言えば、「流星を象った矢が追いかけて行くわ」というフレーズがあるんです。

 

小泉 うんうんうんうん!!

 

 

中村 そこは、星の形のパネルの背景に、矢が飛んでいく描写に合わせているんです。こういう絵に合わせていく作詞法を、私はフィルム・マッチングと名付けました!(ドヤァ)

 

小泉 おー! すごーい。

 

──第5話の「恋の魔球」で、まひるの心の闇がちょっと晴れたような描写に合わせて「夜が明けて真昼になるよ」のフレーズが来た気持ちよさに、感動しました。

 

中村 あー(笑)。

 

小泉 私、あそこが好きです。「ほら小さな光なんて 真昼になれば消えてしまう」。

 

中村 そうそう。

 

 

──あ、ひかり。そこに3人の関係性が。なるほど、と。

 

中村 台詞があるところは歌が後ろに行ってしまうので、どうしても聴こえにくくなってしまうのですけれど、そういうところにもわりと抜かりなく歌詞をあてはめているので、細かく聴いていただけると嬉しいです。

 

──ありがとうございます。次はレヴュー曲とそれ以外の曲の収録の仕方に違いがあるのか、教えてください。

 

小泉 レヴュー曲は、そのレヴューで戦う人(キャスト)と一緒にレコーディングブースに入るんです。そんなレコーディング、初めての経験で……。さらに、モニターに映像も流して、そのシーンのことを思い出しながら歌うんですよ。

 

──先ほどから微妙な違和感があったんですが、もしかしてレヴュー曲は、アニメのアフレコ作業が終わって、映像もある程度できあがった状態でレコーディングを行なっているんですか? つまり、わりと最近……?

 

小泉 そうです、私はわりと最近です。アニメのアフレコが終わってからレヴュー曲を収録しています。

 

中村 レヴュー曲を作るのも、アフレコが終わってからです。台詞あり、台詞なしの映像を元に、音をあてはめてもらうので。

 

──すいません、一般的に楽曲は何か月も前に制作しているのが普通だと思っていたので、勘違いしました。でもそれって、あまり普通のことではないですよね?

 

中村 私も、初めてです(笑)。ですから、歌詞を作るのもアフレコが終わってからです。

 

小泉 すごい! 歌詞書くの、早くないですか? 

 

中村 (素材を)もらった! はい歌詞書く~、はい録る~って感じですね。

 

小泉 ひぃえ~~~~~~~。すごい……。

 

──非常にライブ感のある、キャストさんの演技を踏まえた、ぜいたくで手のかかった楽曲制作をしていることがわかってきました。

 

 

号泣しながら臨んだ第8話レヴュー曲のレコーディング!

――次は具体的に、おふたりが関わった話数のレヴュー曲についてうかがっていきます。第8話レヴュー曲「RE:CREATE」のコンセプトからうかがわせてください。

 

中村 第8話はひかりが目覚める回なので、剣がばっと大きくなるんです。

 

小泉 キラめきの再生産!

 

中村 そこが一番の見どころなので、そこにぴったりとした歌詞が来るようにしています。「ふたりの夢が開くわ」という歌詞があるんですが、ひかりの武器が覚醒する瞬間に歌詞を合わせているんです。そのシーンがまずあって、そこに至るまで、ひかりがななの強さに圧倒されていく感じを表現しようとしました。「RE:CREATE」のテーマはひかりの目覚めです。

 

 

──「RE:CREATE」、ばなな側から見たらどうなんでしょう。

 

中村 7話で、ばななの秘密が視聴者の皆さんにも共有されたんですよね。

 

小泉 ふふ、ばれちゃった!

 

中村 作中では初登場のレヴューで、ひかりを圧倒するんですよね。

 

小泉 本来のななちゃんは、天堂真矢よりも強いんですよ。今までのループで何回も勝っているので、真矢ちゃんにもひかりちゃんにも、負けるなんて考えもしてないんです。自分が本気を出せば、ひかりちゃんにも当然勝てるだろうと考えていたと思うんです。

 

──実際、ひかりはいつもギリギリの戦いを傷だらけで勝ち抜いていて、決して特別に強そうには見えません。

 

中村 だからレヴュー曲を歌う時も、萌香ちゃんには余裕を持って歌ってほしいってよく言うんです。切羽詰まった感じではなく。

 

──「RE:CREATE」、歌ってみてどうでしたか?

 

小泉 一緒に歌ったのが神楽ひかり役の三森すずこさんなので、こう、すごく歌がお上手な方と一緒にブースに入る緊張というか……。ものすごく、うまい方なんですよ! みなさんよくご存知の通り! だから、私なんかが「この人に勝つのが当たり前」という気持ちで歌えるんだろうか、余裕で歌えるんだろうかと悩みました。

 

 

──演じるキャラクターと、演じ手であるキャストの立場のギャップですね。

 

小泉 ですね。ずっと不安でした。(中村さんに)あの、大丈夫でした?

 

中村 大丈夫でした、とてもよかったと思います。8話のレヴュー曲は、ばなながひかりに言い聞かせているようなイメージなんです。いいの、怖がらないで。あなたが間違っているのよ、と教え諭してるんです。

 

小泉 ちょっと怖いななちゃんではあるんですけど、そこはみんなのお母さんのななちゃんで、見守っている感じも入っているんじゃないかと思いつつレコーディングしました。

 

──実際に横から見た三森さんの歌唱はどうでしたか。

 

小泉 もうほんとに、勉強させていただきました!

 

中村 (小泉さんが)泣いてたよね(笑)。

 

小泉 もうみもさんの歌が素晴らしすぎるんですよ! 

 

中村 うん、素晴らしい。

 

──その涙って、どのあたりから来たのか言葉にできますか?

 

小泉 まず、小泉自身として感動して泣いていました。でもななちゃんとして、勝てると確信していたのに勝てないことを突きつけられた、私負けてしまうの、という気持ちの重さかと思います。私(ばなな)はみんなのことを思って、トップスタァになってループを繰り返したい、みんなが傷つく姿を見たくないのに、どうしてわかってくれないの! という怒りとか、悲しさとか……そういう気持ちがあいまって、もう大号泣してました(笑)。ブースの中で泣いちゃったので、鼻をすする音が入らないかなとすごく気にしてました(笑)。

 

中村 小泉さんは誰よりも感受性がすごくオープンなんです。

 

 

──そして第9話レヴュー曲「星々の絆」はおどろおどろしくも壮大な楽曲です。

 

小泉 「星々の絆」のななちゃんは、九九組のみんなにホラーと言われるぐらいに怖いんです。それまで表に出していなかった、ななの裏側の顔と言いますか。暗かった頃のななちゃんの記憶とかが全部こもっている楽曲だと思います。ななの怖さ、強い想い、そういったものを受け取ってもらえたら嬉しいです。

 

中村 歌う時にめちゃくちゃ感情込めてもらったもんね。

 

小泉 ですね。「星々の絆」では今までのななとは全く違う歌い方をしているんですよ。戦っている時のことを鮮明に思い浮かべながら歌いました。

 

──ああいう“圧倒的”な歌唱って、小泉さん自身は今まで経験はありましたか?

 

小泉 ないです、今まであんな風に歌った経験はないです。なんて言うんでしょう……「殺気」がものすごくあるんですよね。ちゃんと役に入って、ここで勝たないと今まで繰り返してきたループの全てが無になるんだ、ここで絶対勝たなきゃいけないんだという気持ちで歌っていました。

 

 

──「星々の絆」のコンセプトを教えてください。

 

中村 7話でななの秘密が明かされ、8話ではまだななに余裕があって、9話では絶対に負けられない!ということで、やっとななの芯の部分と言いますか。ななが上澄みできれいに見せていた部分だけでなく、どろどろとした暗い部分をさらけだす楽曲ですね。

 

──天堂真矢が「本気を出さなければ許さない」と厳しく言っていた、ななの素顔の部分ですね。

 

中村 そうですね。やっとななの仮面がはがれたんです。だから言葉選びも激しいものにしつつ、歌う時も本当に激しい気持ちと声が欲しかったんです。それを引き出せるように歌詞を考え、ディレクションしていました。それが歌の中から出てきたので、すごくよかったんじゃないかと思います。いいレヴュー曲になったと思います。コーラスも前半と後半で全部違うんですよ。

 

──どのあたりが違いますか?

 

中村 前半はまだななに闇があるイメージで。後半は何か浄化されたようなイメージで構成しています。声の質とかも違うので、聴けばわかると思います。

 

──そのコーラスも小泉さんが担当しているんでしょうか。

 

小泉 コーラスはもちろん、「は~……」って言っているようなブレスとかも、全部私の声で録らせていただきました。それも全部初めての経験だったので楽しかったです。私、中学と高校とずっとコーラス部だったんです。だからその経験がやっと生かせたかなと思ってます。

 

──それもひっくるめて、できあがった曲を自分で聴いてみてどうでした?

 

小泉 怖っ!この人怖っ!! って思いました(笑)。それまでほとんどの人はやさしいななちゃんしか見えてなかったと思うし、私自身も慣れてないんです。だから改めて自分で聴いてもびっくりするし、みんなも本当にこれがななちゃんなの?と思ってくれていたら嬉しいです。

 

中村 アフレコの時もすごかったもんね。

 

小泉 私の中でも、第9話の演技は一番難しかったかもしれません。壁にぶちあたりながら収録しました。

 

 

──最後に9話は、ED曲「Fly Me to the Star」を大場ななと星見純那が歌いました。小泉さんとななにとっての「星見純那」についてうかがえますか。

 

小泉 元々アニメがはじまる前、華恋ちゃんとひかりちゃん、真矢ちゃんとクロディーヌ、双葉と香子のようには、ななと純那ちゃんの関係は描かれていなかったと思うんです。ばななはみんなと仲がいい、壁を作らない女の子だと思っていました。みんなが真矢様と呼ぶ相手も真矢ちゃんと呼ぶのがななの個性だと思っていたんです。だから、アニメの第1話でまず「あ、2人はルームメイトなんだ!」という発見がありました。すごく仲がいいんだ、いつも一緒にいるんだと思ったんです。ななちゃんの机には純那ちゃんの写真が貼ってあったりして。そのことがまず、私の中では嬉しいことでした。でも7話~9話を通して、私が思っていた以上にばななにとって純那ちゃんが大切な、かけがえのない存在であることがわかりました。ばなながいつも一緒にいてほしいのは純那ちゃん。勝てると思っていたレヴューに負けて、ループが途切れてしまって、すごくばななが落ちこんでいる時、ばななの全ての秘密を知ったうえで、それでも声をかけてくれるのは純那ちゃんなんです。すごい密な関係です……ふふふ(笑)。私の中でもすごい大きな存在でなくてはならない人になりましたね。

 

 

(取材・文/中里キリ)

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少女☆歌劇 レヴュースタァライト

少女☆歌劇 レヴュースタァライト

放送日: 2018年7月12日~2018年9月27日   制作会社: キネマシトラス
キャスト: 小山百代、三森すずこ、富田麻帆、佐藤日向、岩田陽葵、小泉萌香、相羽あいな、生田輝、伊藤彩沙
(C) Project Revue Starlight

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