【eスポーツ最前線】 第3回「eスポーツ」が大きなテーマとなった今年の東京ゲームショウ

2018年09月21日 16:300
【eスポーツ最前線】 第3回「eスポーツ」が大きなテーマとなった今年の東京ゲームショウ

2018年10月20日(木)~23日(日)まで幕張メッセで開催されている「東京ゲームショウ2018」(一般公開日は22日、23日)。今回は41の国と地域から668の企業と団体が出展し、過去最大規模となった。そんな今年の「東京ゲームショウ2018」で特徴的なのは、昨今日本国内でもその名をよく耳にするようになった「eスポーツ」が、大きなテーマとして据えられたことだろう。本稿では、eスポーツというテーマに的を絞って、「東京ゲームショウ2018」において展開されるさまざまなイベントについてレポートしたい。

 

今年はオープニング基調講演も「eスポーツ」がテーマ

 

「東京ゲームショウ2018」主催者あいさつを行う、コンピュータエンターテインメント協会(CESA)会長の早川英樹氏。早川氏の口からも、本イベントにおけるeスポーツの重要性が語られた

 

まず象徴的だったのは、10月20日(木)の開場直後に行われた、主催者あいさつに引き続いて行われたオープニング基調講演のテーマがeスポーツだったことだ。「eスポーツが“スポーツ”として広がるためのロードマップ ~クリエイティブからファンづくりまで、ゲーム業界が取り組むべき課題と今後の展望~」と題して行われたパネルディスカッションでは、現在日本におけるeスポーツの最前線で活躍しているキーマン3名に加え、香港に籍を置く「Asian Electronic Sports Federation(AESF)」会長のケネス・フォック氏と、日本サッカー協会(JFA)副会長の岩上和道氏を招いた5名で、eスポーツに帯する現状の取り組みや課題、近い将来への展望などが語られた。

 

オープニング基調講演「eスポーツが“スポーツ”として広がるためのロードマップ ~クリエイティブからファンづくりまで、ゲーム業界が取り組むべき課題と今後の展望~」の様子

 


まず、「日本eスポーツ連合(JeSU)」会長の岡村秀樹氏からは、今年2月に設立された「JeSU」の設立理念や活動内容とともに、日本国内におけるeスポーツの認知拡大が報告された。それによると、2017年9月にはわずか14.4%だったeスポーツの認知度は2018年8月には41.1%まで拡大。視聴者数も230.4万人から382.6万人へ、参加者数も37.8万人から53.9万人へと確実に高まっているとしながらも、まだまだ世界に比べると、その数は少ないと語った。


次いで、カプコン常務執行役員 eSports統括本部 統括本部長の荒木重則氏からは、同社のeスポーツへのこれまでの取り組みが紹介された。カプコンと言えば、古くから格闘ゲーム「ストリートファイター」シリーズを中心にさまざまな大会を開催してきた実績があるが、国内外における大会展開など、同社ならではの先進的な取り組みが紹介された。なかでも、「ストリートファイターV」の世界大会である「RAGE ALL STAR LEAGUE」での盛り上がりと、国内で行われたキャラバン大会「Rookie's Caravan 2018」の取り組みについて説明されたが、特に後者は、メーカー側が地方に出向いて大会を開催することで、さまざまな埋もれていた才能と出会うことができたと語った。

 

「日本eスポーツ連合(JeSU)」会長の岡村秀樹氏(左)と、カプコン常務執行役員 eSports統括本部 統括本部長の荒木重則氏(右)

 


続いて、コナミデジタルエンタテインメント「ウイニングイレブン」シリーズ 制作部長の森田直樹氏からは、先日行われたアジア競技大会にて公式タイトルとして採用された「ウイニングイレブン」シリーズの展開について語られた。同大会の「ウイニングイレブン(2x2)」部門では日本人選手2名が優勝しており(後述)、海外大会における日本の存在感を示した形だ。なお、来年開催される茨城国体(いきいき茨城ゆめ国体)でも、JeSUなどが中心となって開催する「都道府県対抗eスポーツ大会」の実施が決まっており、その正式タイトルのひとつとして「ウイニングイレブン19」の採用が決まっていることも報告された。

 

コナミデジタルエンタテインメント「ウイニングイレブン」シリーズ 制作部長の森田直樹氏(左)と、「Asian Electronic Sports Federation(AESF)」会長のケネス・フォック氏(中央)、日本サッカー協会(JFA)副会長の岩上和道氏(右)

 

いっぽう、AESF会長のケネス・フォック氏からは、AESFのこれまでの取り組みが紹介された、AESFは、各スポーツジャンルごとに存在するアジア協会のeスポーツ版だと思えばよく、先日のアジア競技大会の開催・運営もAESFが中心となって行った。また、世界的な動きとしては、国際オリンピック委員会(IOC)などとの折衝もAESFが行っており、eスポーツをオリンピックの正式種目にするかどうかといった部分にも深く関わっていることが紹介された。そういう意味では、今年、日本というゲーム大国でJeSUが設立され、国際大会などにも選手を送り込めるようになったことは大きいと評価した。


また、リアルスポーツ側の代表として登壇したJFA副会長の岩上和道氏からは、JFAのeスポーツに関する取り組みが語られた。JFAでは、2016年11月に「eスポーツのサッカー事業を創設する」と決定しており、その後、なかなか具体的な動きができずにいたものの、今年2018年には3~5月にかけて初の公式eスポーツ大会である「明治安田eJ.LEAGUE」を開催。また、前述の茨城国体における「都道府県対抗eスポーツ大会」にも、茨城県、JeSUとともに主催者に加わることになっていることを紹介した。


このように、各パネラーごとに現在のeスポーツに対する取り組みが紹介された後、モデレーターの日経 xTECH/日経コンピュータ 副編集長・玉置亮太氏のほうから、「日本のeスポーツの5つの課題」と思われる項目が紹介された。その内容は以下の通り。

1:プレーヤーの質と量の拡大
2:視聴者やファンの拡大
3:eスポーツ向けタイトルの充実
4:興業としての魅力向上
5:日本のeスポーツ業界の国際競争力の向上

 

「日本のeスポーツの5つの課題」としてあげられた5項目。このうち満場一致で課題とされたのは1の「プレーヤーの質と量の拡大」だった

 

いずれも確かに現在の日本のeスポーツにおける大きな課題であるが、各パネラーごとに重要だと思う項目を3つずつあげてもらったところ、満場一致で手が上がったのは、1の「プレーヤーの質と量の拡大」、そして次点が2の「視聴者やファンの拡大」という結果になった。主にこの2点について、短い時間ではあったがディスカッションが行われたが、これらの課題を解決していくためには、やはりeスポーツの大会を数多く開催すること、そして、それを発信していくこと、さらには、地方自治体や学校などと協力して、部活動レベルでの草の根活動を行っていくことが大事であろうという意見が出た。こうした草の根活動は、まさにJeSUが今主に取り組んでいるテーマであり、来年開催予定の「都道府県対抗eスポーツ大会」や、本連載でもお伝えした「全国高校eスポーツ選手権」ということになってくるだろう。また、メーカー側としては、カプコンが進めている「Rookie's Caravan 2018」のような取り組みが非常に有効であることも感じられた。もちろん、100年以上も日本でサッカー普及に取り組んできたJFAのような団体の知見を生かすことも大事になってくるだろう。

 

カプコン・荒木重則氏からは、ストリートファイター大会の地方出張版である「Rookie's Caravan 2018」の取り組みが紹介された

 

国を代表する統一協会が設立されたこともあって「eスポーツ元年」と呼ばれている今年2018年の日本であるが、eスポーツの本格普及まではまだまだ時間がかかりそうではあるものの、その普及の芽は確実に育っている、そんな印象を受けた。JeSUをはじめ、ゲームメーカー、さらにはスポーツ界、地方自治体も含め、今まさにeスポーツに関してはさまざまな動きが出てきており、今年から来年にかけて、その動きはますます加速していくであろう。

 

eスポーツ専用の特別会場「e-Sports X(クロス)」を用意。さまざまな大会が実施される

 

ホール11にて開催されている「e-Sports X(クロス)」

 

もうひとつ、今回の「東京ゲームショウ2018」で特徴的な動きは、eスポーツ専用の特別会場「e-Sports X(クロス)」が用意されたことだ。「e-Sports X」は、会場となる幕張メッセの中でも、さまざまなメーカーブースが並ぶ本会場とは少し離れた「ホール11」に設置されたeスポーツ専用の特設ステージとなっており、隣り合う「RED STAGE」と「BLUE STAGE」の2ステージで、会期中さまざまなeスポーツのマッチが行われる予定となっている。予定されているイベントは以下の通りだ。


・9/22(土)
10:00-13:00 フォートナイト エキシビジョンマッチ in TGS2018(BLUE STAGE)
13:30-16:00 コール オブ デューティーII プロ対抗戦 グランドファイナル(BLUE STAGE)
14:00-16:30 パズドラチャンピオンズカップ TOKYO GAME SHOW 2018(RED STAGE)
16:30-19:00 ドラゴンボール ファイターズ 日本一武道会(BLUE STAGE)


・9/23(日)
11:00-14:00 鉄拳7 プロチャンピオンシップ 日本代表決定戦 Day2(BLUE STAGE)
11:00-14:00 セガゲームス公式 ぷよチャンピオシップ in TGS2018(RED STAGE)
14:30-17:30 ウイニングイレブン2019 オンライン CO-OP トーナメント(RED STAGE)
14:30-18:00 ストリートファイターV アーケードエディション CAPCOM Pro Tour ジャパンプレミア(BLUE STAGE)


これだけ見ても、実にさまざまな世界的ゲームタイトルがそろっていることがおわかりいただけると思う。これだけのゲームにおける熱いマッチが、「東京ゲームショウ2018」の会場で実際に見られるのだから(入場無料!)、これは足を運ばない理由はない。この週末、「東京ゲームショウ2018」に行かれる方は、ぜひこちらの「e-Sports X」もスケジュールに入れておいてもらえればと思う。初めて、eスポーツの試合に触れるという方にとっては、非常にいい体験になることだろう。

 

「e-Sports X(クロス)」「RED STAGE」の様子

 

「e-Sports X(クロス)」「BLUE STAGE」の様子

 

なお、この「e-Sports X」の開催に先立ち、ビジネスデイの9月20日には、「アジア競技大会 eスポーツ競技日本代表選手の凱旋報告会」および「日本―オランダeスポーツ国際親善マッチ『浦和レッドダイヤモンズvs.フェイエノールト・ロッテルダム』」の2つのイベントが行われた。


まず最初の「アジア競技大会 eスポーツ競技日本代表選手の凱旋報告会」では、先述したアジア競技大会のeスポーツ競技で、日本代表として出場した3選手が登場。このうち、2選手は「ウイニングイレブン 2x2」部門にて見事優勝し、金メダルを持ち帰った。まだ、スポーツとしての認知が薄いeスポーツではあるが、このように、実際に国際大会に出場し、その技を競い合って勝利するといった光景が当たり前のようになってくれば、若い世代を中心に、eスポーツの道に進みたいという人も多く出てくるだろう。まだJeSUが発足してからわずか8か月程度ではあるが、早くもこのような成功事例が出てきたことは、日本のeスポーツ界にとって大きな追い風となるだろう。

 

「アジア競技大会 eスポーツ競技日本代表選手の凱旋報告会」を行う、「ウイニングイレブン」の杉村直紀選手・相原翼選手、「ハースストーン」の赤坂哲郎選手(左から)

 

「ウイニングイレブン」の杉村直紀選手・相原翼選手、「ハースストーン」の赤坂哲郎選手(左から)

 

また、次に行われた「日本―オランダeスポーツ国際親善マッチ『浦和レッドダイヤモンズvs.フェイエノールト・ロッテルダム』」では、実際のサッカークラブチームである2つのクラブを代表するeスポーツの選手2名ずつが、「FIFA2019」を使って対戦するという、近い将来目にすることが多くなりそうな模様が繰り広げられた。先述したJFAのeスポーツへの取り組みも、こうした形で実際に行われることが多くなりそうで、リアルなサッカーだけでなく、eスポーツでのサッカー対戦マッチも、今後街のあちこちで普通に目にするようになるかもしれない。そんなことを予感させる一幕だった。

 

「日本―オランダeスポーツ国際親善マッチ『浦和レッドダイヤモンズvs.フェイエノールト・ロッテルダム』」に先だって挨拶をおこなった、駐日オランダ王国大使のアルト・ヤコビ氏(左)と、「日本eスポーツ連合(JeSU)」会長の岡村秀樹氏(右)

 

「フェイエノールト・ロッテルダム」のYimmieHD選手、JaeyD選手と、「浦和レッドダイヤモンズ」のfantom選手(SCARZからゲスト参加)、かーる選手

 

このように、「eスポーツ」を大きなテーマに掲げる今年の「東京ゲームショウ2018」。ぜひ足を運んで、最先端のeスポーツの現場を体験していただきたい。アキバ総研でも、さらに総力取材を行う予定だ。

(編集部/鎌田)


・東京ゲームショウ2018
会期:2018年9月20日~21日(ビジネスデイ)、22日~23日(一般公開日)10:00~17:00
会場:幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)
入場料:当日券1,200円(税込)、前売券:1,000円(税込) 小学生以下は無料

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