「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」第10話をレビュー、しちゃいます!:Méchante…va!(ほんっと、ヤな女!!)

2018年09月19日 18:170
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」第10話をレビュー、しちゃいます!:Méchante…va!(ほんっと、ヤな女!!)

第10話「されど舞台はつづく The Show Must Go On」。ばななと純那、双葉と香子、そして華恋(かれん)とひかりとまひるがおだやかな日常を過ごす日々。その傍らには、ばななが愛情を込めて作ったお菓子があります。99期生の日常に、みんなのお母さんのような大場ななが帰ってきました。

9人、という奇数構成である以上、どうしてもまひるちゃんがペアから外れがちなのが少し悲しいのですが、「お掃除の女神」として華恋とひかりを追い出すまひるの表情は意外に晴れやかです。「スタァライト」に登場する舞台少女たちを見ていると、彼女たちが本当に認めてほしい相手はたったひとり、に収束しているような気がします。華恋がまひるの気持ちの深い深い部分を受け止めて、自分がちゃんと持っていることに自分でも気づいていなかったきらめきを照らし出してくれた。それだけで救われたのではないかと思うのです。わかりまぁす。

 

カメラはまず、天堂真矢と西條クロディーヌのペアを追います。物語序盤のまひる、華恋、ひかりの関係性の描写にもありましたが、心の距離やその時の想いとは関わりなく身体的な距離が近づくシチュエーションとしてストレッチが有効に使われていますね。真矢とクロディーヌの関係について、お互いの瞳に映っているのは誰なのか。そのことはこれまでの物語でも丹念に描かれてきました。

 

このシーンでは、一緒にストレッチをしながら思い出を語るクロディーヌの自嘲の表情、真矢が入学当時の自分を覚えてくれていた、ただそれだけのことに驚き、胸の高鳴りを押し留め、そして……という心情の変化を瑞々しく描き出していきます。「でも、Merci」とつぶやく瞬間のクロディーヌの表情を視聴者に見せず、真矢にも見えてはいないはず……というあたりに演出の妙を感じずにはいられません。でも真矢はそんなやさしい時間より、クロディーヌが自分と向かい合って敢然と挑戦してくる時に、一番心浮き立つ、生き生きとした表情をしているのが彼女らしいですね。競いあうことでしか、唯一人の相手を互いの瞳に映せない舞台少女たち。

 

華恋とひかりもまた、思い出の東京タワーでふたりの約束を確かめ合います。華恋の言葉の数々を、うんうん、と噛みしめるように聞くひかり。でもその表情はどこか晴れません。彼女は9人の舞台少女の中でおそらく唯一、キリン・オーディションの決着後、キラめきを奪われた舞台少女がどうなるかを、身をもって知っている存在だと思います。

大場ななは、オーディションに勝ち抜いて舞台少女のキラめきを使いきるとともに、過去に戻るループを繰り返してきました。キラめきを奪われた舞台少女が舞台への情熱や、想いや、熱量を失なってしまう。その結末を知っていたら、心やさしいばななはその道を選ぶでしょうか。いや、結末を知っているからこそ、最初に時計を巻き戻すことを望んだ? それは今はわかりませんし、わからなくてもいいことかもしれません。

 

勝者が集めたキラめきから生まれる舞台を愉しむ「キリン」という存在・システムの利己性、避けられないであろう結末を知っているひかりは、どんな想いで華恋に「わたしと、わたしたちになってくれて」という言葉の続きを告げなかったのでしょうか。オーディションの開催を告げるキリンメールの着信音を無視するひかりは、今この瞬間が終わってほしくないように感じました。

 

オーディション最終戦は、神楽ひかり・愛城華恋組と天堂真矢・西條クロディーヌによるレヴュー・デュエットです。タッグ名乗り、ひかりの「たとえ悲劇で終わるとしても」が心に引っかかりますね。いっぽう、クロディーヌと真矢は、ふるえるほどかっこいいソロ名乗りの二重奏です。

 

そしてレヴュー・デュエット「運命のレヴュー」、レヴュー曲は「Star Divine -finale-」! ミュージカル「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の代表曲であるこの曲を、このクライマックスで持ってきました。イントロが流れるだけでふるえるの、ズルいです。しかもこの曲は、「Star Divine」をレヴュー曲として再構成しています。映像と楽曲をシンクロさせるフィルム・スコアリングで制作し、パート振り分けをフィルム・マッチング(作詞家・中村彼方さんの造語)で落としこんでいくレヴュー曲の作法で、名曲に新たな翼を与えました。

 

さて、剣戟を交わすようにパートを入れ替える「Star Divine」。真矢役の富田麻帆さん、クロディーヌ役の相羽あいなさんの分厚い、圧倒的なデュオのパワーにやられたのか、自分は正直クロディーヌと真矢に負けてほしくない、と思ってしまいました。物語としては、ひかりと華恋が勝つべきだと思いながらも、クロディーヌの想いが遂げられたらいいのに、という願いが消えないのです。

 

パワーバランス的な話で言えば、「天堂真矢より強い大場なな」を倒した時のひかりは武器覚醒状態でしたから、その戦いが指標にならないのが絶妙だと思います。99期生の主席と次席の2人が、誇りと絆で結ばれてコンビネーションも最高。これは、本当に勝てるのか?と本気で思ってしまいます。

 

レヴューは、本当にどちらが勝ってもおかしくない、素晴らしい内容でした。戦いの随所にプロレスの上質なタッグマッチのような動きや、フライングのような舞台の技術が織りこまれます。「だけどもう孤独じゃないよ」をクロディーヌが奔放に、力強く訴えるように歌っていたのが印象に残りました。

 

そしてラストの、「舞台に生かされている」と「切っ先に栄光止まれ」のフレーズです。原曲では「舞台に生かされている」は真矢、クロディーヌ、ばななの歌唱、「切っ先に栄光止まれ」の美しいフレーズはひかりのパートだったと思います。実は今まで、「舞台に生かされている」は、ばななが主役のフレーズであると認識してきたのですが、レヴュー曲版で真矢が雄々しく、誇り高く歌っている姿を見て、彼女も、彼女たちもまた舞台でしか生きられない、舞台に生かされている存在なのだと思いました。そしてラストの「切っ先に栄光止まれ」の歌唱が華恋で、彼女が決着の剣を放つ姿に重なります。これぞフィルムスコアリングであり、フィルムマッチングですね。

 

オーディションは華恋とひかりの勝利に終わりましたが、このレヴューの主役はクロディーヌと真矢だったと思います。勝敗を分けたのはなんだったのでしょうか。おそらくは、これがレヴュー・デュエットだったこと。真矢とクロディーヌは最高の個と個が信頼で結ばれていましたが、華恋とひかりは2人でひとつの運命の舞台少女でした。そして、華恋はひかりとともにトップスタァになる未来を、ひかりは華恋を守る未来を見据えていたのに対して、クロディーヌと真矢はお互いのことだけを見つめていたからではないかと思います。注いだ努力も生まれ持った才能も関わりなく、その舞台で輝いていた存在が勝つ。あるいは双葉と香子も、きちんと物語を背負ったタッグであればどんな相手とでも互角以上に戦えたんじゃないかなと、思います。

 

ラストの悲劇のレヴュー。東京タワーで伝えられなかった「ありがとう」をここで告げるのはあまりにも哀しい。その言葉は、あの時伝えたかったのとはきっと違う響きだったからです。

 

戯曲「スタァライト」をなぞるような結末。

フローラは星の眩しさに目を奪われ、塔より落ちる。

「奪えない、奪わせない」の意味。

東京タワーから墜ちる愛城華恋のモチーフ。

 

気になることは無数にあれど、今はさよならを告げるひかりの笑顔と涙が胸から離れません。

 

 

それにしても、放送前に「Fly Me to the Star」は本編が楽曲も多く展開がテンポよく華やかな分、おだやかな気持ちで視聴を終えられるように……という曲だとうかがった記憶があるのですが。真矢クロの「Fly Me to the Star」を聴けば聴くほど心が心地よくかき乱されるのですが、一体どうしたことでしょうか。

 

(文:中里キリ)

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少女☆歌劇 レヴュースタァライト

放送日: 2018年7月12日~2018年9月27日   制作会社: キネマシトラス
キャスト: 小山百代、三森すずこ、富田麻帆、佐藤日向、岩田陽葵、小泉萌香、相羽あいな、生田輝、伊藤彩沙
(C) Project Revue Starlight

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