【インタビュー】「人生の本質をとらえた楽曲です」──早見沙織、ニューシングル「新しい朝（あした）」をリリース！

「新しい朝」のMVは、まるで短編映画です

── 「新しい朝」のMVは、アーティスト盤のDVDに収録されるほか、現在、YouTubeでフルサイズが公開中です。ショートムービーのような作りで、いいストーリーなんですよね。見ていてホロリとしました。

早見　うれしいです。私もすごく好きな映像になりました。「はいからさんが通る」によって生まれた曲に、別の物語にフィットさせて、新しいイメージを付けていただけたのがうれしかったです。

── ドラマパートの撮影にも立ち会われたんですか？

早見　はい、私が歌うパートと同じ日の撮影で、私が先に撮影を終えたので、そのまま見学させていただきました。俳優のみなさんに、「今日はどうぞよろしくお願いします」をご挨拶できてよかったです。

── 舞台の喫茶店がまた、雰囲気があるんですよね。

早見　いいお店ですよね（笑）。純喫茶で撮ってみたいと、ずっと私からアイデアを出せていただいて、それが実現しました。ちょっとレトロなんだけど、モダンでこだわりを感じさせるお店がいいなと。

── 実在するお店なんですよね？

早見　はい。知っている方が見たらすぐに特定できるんじゃないかと思います（笑）。

── ガラスに白いペンでメニューが書かれているのもおしゃれでした。

早見　ショーウインドーにペンで文字が書かれているようなギミックがあったら面白いかもと、私からアイデアを提案させていただいたので。すごく素敵なセットになっていました。

── ドラマのストーリーは、どうやって決まっていったのでしょうか？

早見　まず、「新しい朝」のMVは、私が歌っている姿をずっと映しているような映像ではないなというイメージがあったんです。それを映像の監督さんにお伝えしたら、ストーリー仕立てのMVの案を2つ提案していただけて、どちらもすごくよかったんです。結果的に完成したほうのストーリーに決まって、私が少しだけ手を加えさせていただきました。

── あの喫茶店がある場所は、東京ではないという設定ですよね。

早見　はい。具体的にどの街とは決めてなかったので、監督さんが、役者さんの出身地を聞きながら、「ここらへんかな？」って話してました。東京からある程度離れている街だからこそ、成立するストーリーですよね。

── ここまでストーリー仕立てのMVは、初めてなのではないですか？

早見　ストーリー仕立てのMVそのものが初めてでした。ほかの方のMVでも、歌い手さんがそれほど登場しない作品を見るのが好きで、私もいつかやりたいなと思っていたんです。


── ラストシーンは、いろいろな解釈ができますよね。

早見　見る方に結末をゆだねる終わり方になっています。実は撮影の段階ではあの先があったんですが、編集でカットされていたんです。でき上がった映像を見て、より想像をかき立てられる、味わい深いものになったなって思いました。余韻があって、すごく素敵なエンディングです。

── 尺も長めで、1本の映画を見ているような気分になれました。

早見　短編映画ですよね。「新しい朝」はアレンジャーの前口渉さんが、「はいからさんが通る」のエンディングとして使うために前奏を長くしたバージョンと、CDに収録するために前奏を短くしたバージョンの2つを作ってくださったんです。でも、私はCDに収録するのも前奏が長いバージョンのほうがいいなと思って、結局、劇場用バージョンをそのままCDにも入れていただいたんですね。それによって、楽曲が映画音楽的になったような気がして、ストーリー仕立てのMVに繋がったんだと思います。

── ということは、前奏が短いほうはお蔵入り？

早見　お蔵入りですね（笑）。もしかしたらライブでそのバージョンを使うかもしれませんが。