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OxTはカメレオン的なユニットです
── OxTとして活動する間、それぞれソロのお仕事もされていて、ここ数年の成長というか進化を、どう感じていますか? オーイシ 進化はしていると思います。僕はさておき、客観的にみてTom君は、「けいおん!」時代の曲と比べて、今作る曲のバリエーションの広さと深みは東京ドーム5個じゃ足りないくらい大きくなったんじゃないかと、ヘクタールが(笑)。OxTで一緒に作っているときも、このジャンルにはこう、こういう曲にはこういう音が合っているというのを多彩なフォーマットから引き出してきますし、その速さもハードディスクからSSDになったくらいの違いがあるんじゃないかと感じていますね。
Tom-H@ck オーイシさんはそう言ってくれたんですけど、音楽的なことだけを見たら、僕らは何も成長してないと思ってます。たしかにスキルは上がってるんですよ。何かの要望が来たときに、じゃあ、こういうことをやろうとすぐに判断できるような職人的なスキルは間違いなく。それがハードディスクからSSDになったということなのかもしれないですけど。でも、音楽的な表現力は、もともと僕ら2人が持っていたものだと思うんです。それを披露する場、みんなから注目される場が広がっただけであって、2人とも音楽的スキルは最初から持っていたんじゃないかと。
── OxTの音楽的なコンセプトは「カラフル」だとうかがっています。音楽的なスキルを十分に発揮できる場になっているのではないでしょうか? オーイシ 2人ともキャリアがあって、いろいろなことができて、得意分野も明確に持っていて、アニメタイアップを始めいろいろな要望を受けて作っていく中で、各所からの要望自体がすごくカラフルなんです。それに対して、クライアントの予想以上のカラフルさで返せるユニットになれたらいいよね、という目標は最初からあって。僕ら自身がカラフルに発色するのではなく、外からの刺激を受けてカラフルに反応していくというカメレオン的なユニットなんだと思います。
── たとえば、今回のアルバムにはアニメ「オーバーロード」の関連曲が4曲入っています。この4曲は、2人が「オーバーロード」色に染まって作っていったという。 オーイシ そうですね。OxTに頼んだらこれくらいのレベルの曲が上がってくると信頼していただいたうえで、楽曲数が増えていったということだと思います。僕らも原作を読みアニメを見るだけでなく、イベントにも積極的に参加させていただいて作っている中の人たちを知っていくことで、どんどん「オーバーロード」がわかっていったというのがありますね。
── TVアニメ第1期のオープニングテーマ「Clattanoia」から始まり、第2期オープニング「GO CRY GO」、劇場版総集編テーマソング「Laughter Slaughter」、そして新曲でゲームアプリのテーマソングである「MASS FOR THE DEAD」と、「オーバーロード」の曲はすべてhotaruさんが作詞をされています。hotaruさんと組んでみて、いかがでしたか? オーイシ hotaruさんの歌詞に関して言うと、ボーカルという立場で決定的なことは、メロディと言葉の親和性が非常に高いということです。
Tom-H@ck 彼は僕の幼なじみでもあるんですけど、メロディに対する言葉の乗せ方はもちろん上手で、さらに小説を書いているように作詞するんですよね。僕はアーティストが書く熱量の高い歌詞が大好きなんですけど、hotaruの場合は熱量の高さということではなく、ストーリーを伝える巧みさ、言葉の響きの巧みさで人の心を震わせるんです。言葉の選び方も独特ですし。
── そんなhotaruさんの資質が、「オーバーロード」には合っていたということですね。 Tom-H@ck 世界観を表現する歌詞は得意なので、「オーバーロード」という作品にはぴったりの作詞家だと思います。
── 「オーバーロード」の楽曲は3曲がオーイシさんの作曲(クレジットは大石昌良)で、「Laughter Slaughter」がお2人の共同作曲です。この楽曲はどちらが作曲するかというのは、最初に話し合いで決めるんですか? オーイシ 僕ら2人で話し合うこともあれば、クライアントさんからの指定もありますね。リアルな話をすると、2人のそのときの忙しさとかも関係してきます。これが調整できるユニットって、なかなか珍しいと思うんですよね。すごく詰まっているときに、「じゃあ、今回はTom君お願い!」って言うことができる信頼関係が成り立っているというのは。僕は、どちらかというと甘えるタイプなんですが(笑)。
Tom-H@ck でもまあ、お互い様ですよね。
オーイシ クラウドでカレンダーを共有していて、お互いの仕事のスケジュールがわかるんです。僕はそれが仕事の励みになっていて、へこんだときとか弱音を吐きそうになったときはTom君のカレンダーを開いて、「あ、俺はまだまだやれる」と(笑)。もっと忙しい人がいるから。
Tom-H@ck お互いがそうなんです。どちらかが暇なとき、もう片方は死ぬほど働いているんです。
オーイシ カレンダーの共有は面白いですね。僕は歯医者とかのプライベートな用事も書いちゃうんですけど、カレンダーって通知がポップアップでデスクトップに出るじゃないですか。Tom君が一生懸命曲を作っているときに、「オーイシマサヨシ 歯医者」って予定がポンと出てくると思うと、相当シュールですよね(笑)。つまり、仲がいいんですよ、僕ら。
── OxTの作編曲である「Laughter Slaughter」は、どうやって作っていったんですか? オーイシ AメロBメロを僕が作ってからTom君にデータを渡して、サビを作ってもらうという共作ですね。一緒にスタジオに入って作っていくのではなく、お互いに自宅スタジオでの作業です。
── 「オーバーロード」のゲームアプリの主題歌「MASS FOR THE DEAD」は、作曲がオーイシさん、編曲がebaさんです。 オーイシ アプリゲームの主題歌で、「Clattanoia」のようなサウンド感を求められたんです。まず僕がそれに準じて作曲をして、アレンジはあえてeba君にお願いしたんですよね。Tom-H@ckアレンジじゃないOxTの曲を作って、他のクリエーターさんとのコラボ感を出せたらいいなと。eba君はTom君も信頼している作曲家・アレンジャーですし。
Tom-H@ck 僕は「MASS FOR THE DEAD」でギターを弾いてるし、ギターに関してはアレンジをしているんですね。そういう意味ではアレンジャーでもあるという関わり方をしています。
── 「MASS FOR THE DEAD」は、ゴシック色が強かった「オーバーロード」のほかの3曲と比べて軽快さがありますが、それはebaさんの色なのでしょうか? オーイシ Aメロが裏打ちになってるからでしょうね。数年前のハードロックの定番感として、Aメロは裏打ちというのがあるんです。それで踊りやすくなっているんですね。「オーバーロード」とは付き合いが長くなった分、eba君の起用で新しい風を吹かせたいという気持ちがありました。
Tom-H@ck 僕らの色がわかったうえでのアレンジだったので、ギターも違和感なく弾けたし、OxTらしい曲になったと思います。