ご当地でしか手に入らないプラキット、“ゴトプラ”って何だ!? プレックスのデザイナー、坂尾重紀さんに聞いてみた!【ホビー業界インサイド第38回】

2018年08月11日 12:00

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── 坂尾さんは、それまで組み立てキットの開発経験はあったのでしょうか?

坂尾 いえ、まったく経験ないんです。設計と金型は中国の工場にお願いせねばならないし、ランナー(パーツの付いている枠)がデザインの一部として設計されている商品って、ほとんど例がないのではないでしょうか。実を言うと、ランナーは入れたくありませんでした。

── それはなぜですか?

坂尾 「東京」とか「大阪」といった文字を、美しく見せたかったからです。ランナーを入れると、文字がそのように読めなくなってしまいかねないんです。ですから、ランナーと文字とかケンカしないように、デザインしないといけません。デザイン重視でランナーを配して樹脂を流すと、成形材料が回りきらずにヒケが出やすくなってしまう場合もあります。

── でしたら、ブリスターパックに、文字に見えるようにバラバラのパーツを組み込んでもよかったのでは?

坂尾 やっぱり、ひとつの固まった枠に文字がきれいに収まっているのがカッコいいと思ったんです。ですから、設計のほうから「この個所にランナーが設けられていないと、成形材料が流れないです」と要望が出ても、無理を言ってデザインを優先してもらいました。ランナーが太すぎるので、細く削ってもらったことさえありました。デザインと金型の調整に、時間がかかりましたね。


── さぞかし、企画から生産まで時間がかかったのではないでしょうか?

坂尾 国内外の観光客がたくさん訪れる今年夏に発売したく、開発期間が3~4か月くらいしかありませんでした。普段、弊社が手がけているキャラクター玩具の開発期間より、何倍ものスピードで進める必要がありました。

── 初めての人でも簡単に組み上げられるよう、設計しないといけませんね。

坂尾 ラフな図面を描いた後、立体の試作品を出力して、実際に組み立てて検証していきます。最初は、ひと回りほどランナーの枠サイズが小さかったんです。だけど、パーツ同士が近すぎると、金型を設計するうえで都合が悪いそうなんです。パーツを多くすればもっと簡単にデザインできたのかも知れませんが、最終的には、組み立てやすいように少ないパーツ数で文字と建物の両方を再現できました。

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