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「そらのおとしもの」「プリキュア」「ルパパト」……名曲がずらり並んだ吉田仁美、歌手活動10周年記念ベストアルバム「10rder」インタビュー！

2018年06月29日 16:040

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一気に歌えるキーが上がったハイテンションな「プリキュア」楽曲たち

――プリキュア曲は一連の流れとして印象に残っている感じですか？

吉田　そうですね。「プリキュア」シリーズのEDテーマを歌わせていただいた3年間は、私にとって中学校、高校にいた時期のような感覚。入学して卒業するまでのような感覚に近いです。

――今回のアルバムには、そんな「プリキュア」EDテーマが多数収録されていますね。

吉田　「スマイルプリキュア！」で初めてプリキュアの曲を歌わせていただいたのですが、そのED「イェイ！イェイ！イェイ！」という曲がありがたいことに皆さんにも大事にしていただけて、その年末に行われた「アニソンキング投票所」（※注）ですべてのアニメソングの中から「神・エンディング賞」に選んでいただきました。そのくらいキャッチーだし、ダンスも覚えやすい曲です。

（※注）アニソンキング投票所……2012年末に開催された、年越しアニメソングライブイベント「キングラン Presents アニソンキング」内の1コーナー。「アニソンキング投票所」はその中で行われた投票企画の総称で、「神・エンディング賞」はその年に放送された全アニメのエンディングテーマの中から人気曲を決めるというもの。

オーディション時にOPとEDの両方を受けさせていただいて、最初はやっぱり「OPを歌いたい」と思っていたんですけど、実際に曲を聴いたら絶対にEDのほうを歌いたいと思うくらい、そのくらいグッとくるものがありましたね。

「この空の向こう」は、きっと今後私の代表曲になっていくんだろうなと思った「イェイ！イェイ！イェイ！」の次の年のED曲なので、どういう曲がくるのか正直想像がつかなかったんですが、かなりの変化球で。

――確かに、ちょっとEDMよりなアレンジで。

吉田　そう。それでいてちょっと大人っぽくもあって。そしてなぜか大勢のアイドルユニットが歌っているようにも聴こえる楽曲に仕上がっています。すごく不思議な感覚の楽曲なんですけど、こうして改めて私の曲のラインアップとして並べさせていただくと、やっぱりフックのある楽曲なんだなというのを感じましたね。

――それにしても、「満開＊スマイル」なんて特にそうですけど、プリキュアの曲ってテンションが異常に高いじゃないですか。

吉田　そうなんです。あははは（笑）。

――そのハイテンションを維持しながら歌って踊る吉田さんは、本当にパワフルだなと思います。

吉田　先ほども言いましたけど、やっぱり「イェイ！イェイ！イェイ！」がすごくインパクトのある曲で、その後期の曲というとやはり比較されがちですので、よりインパクトのある楽曲にしたい！と言うことで、元気マシマシで歌いました。

――前回のインタビュー（https://akiba-souken.com/article/33412/）でもおっしゃってましたが、レコーディングも相当大変だったとか。

吉田　そうなんです。「満開＊スマイル」の作曲は高取ヒデアキさんなんですが、初めてご一緒させていただいたのが「イェイ！イェイ！イェイ！」の時なんです。その時の高取さんの私に対する印象が、かけ声が得意な子、というのがあったようで、そのイメージで作っていただいた曲が「満開＊スマイル」なんです。だから、この曲にはかけ声も結構入っていたんです。その結果、もう「シャーーイン！」みたいなね（笑）。

でもそういったプリキュア曲のおかげで、歌えるキーが格段に上がりました。今、声優として「ガラピコぷ～」のチョロミーというキャラクターを演じていて、その声が非常に高いんですが、結構声を出せるようになっています。それは「プリキュア」で鍛えられたおかげです。だから今までやってきたことってひとつも無駄になってないんですよね。よくできてると思います。

準備ができた人にしか次の仕事が来ない、というのがよく理解できる10年でしたね。「プリキュア」にしても「ルパパト」にしても、この仕事をやってないとあの仕事がこない、ということの連続でした。

――そして、「ハピネスチャージプリキュア！」のED曲「プリキュア・メモリ」はいかがでしょうか。

吉田　「ハピネスチャージプリキュア！」が、「プリキュア」10周年記念的立ち位置の作品だったので、2番の歌詞には歴代プリキュアの名前が入っているなど、仕掛けのある楽曲になっています。当初は2番の歌詞が1番になるはずだったんですが、毎週歴代のプリキュアの名前が流れるのはちょっと重いかな、という話になってチェンジになったんですが（笑）、正直その10年分の歴史がつまった歌詞を見て「すごい！」って泣きました。その年の映画では歴代のプリキュアが2番の歌詞で歌ってくれて、それも感激でした。これだけの歴史を歩んできた「プリキュア」に、自分も携わらせてもらえてるというのが、本当にありがたかったですね。

その年には「プリキュア」のラジオのパーソナリティをさせていただいて、今までの出演者の方とお話をさせていただけたんですが、改めて「プリキュア」という作品が愛されてきた理由などをすごく身近に感じさせていただいたので、貴重な経験でした。

今年は「プリキュア」15周年なんですが、その年に10周年という節目に歌った歌を自分のCDに入れさせていただけたのは本当に感慨深いです。

――現在放送中の「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」の曲も、ばっちり収録されていますね。すでにイベントなどでたくさん歌われていると思いますが、子どもたちの前で歌うことで、レコーディング時から何か変化はありましたか？

吉田　お子さんがこうやって楽しんでくれているんだな、というのを直に感じています。やっぱり1年間やらせていただける番組の強みがすごくあるし、だからこの曲でいけるんだなとひしひしと感じておりますね。

ちょうど現行でテレビで流れている曲があるというのがすごく心強くもあります。10周年のタイミングでこの曲を歌えるのがすごくありがたいですし、誇りにも感じています。

思い入れたっぷりのキャラソン、そしてこれからも歌っていきたい新曲「a little star」

――声優として活躍されているということもあり、キャラクターソングも何曲か収録されています。まずは「デジモンアドベンチャー tri.」太刀川ミミのキャラクターソング「Go My Way」からお話をお願いします。

吉田　キャラソンだし、アルバムにしか入っていない曲なので、なかなか聞いていただける機会のない曲かなと思いまして、わがままを言って入れていただきました。すごく気に入ってる曲です。不思議とミミちゃんというキャラが好きで、約20年前にやっていた旧シリーズでも好きでしたね。彼女の元気さや素直さ、純真さにあこがれる部分がすごくありますし、この曲自体もバンドサウンドで勢いがある曲なので、ぜひ入れさせていただきたいなと。

レコーディング自体はすごく早く終わりましたね。吉田仁美に寄せた歌い方とキャラクターにすごく寄せたパターンの両方を録ったんですが、ほぼキャラに寄せた歌い方で、バランスよくミックスしていただきました。この曲にはフェイクみたいな部分が入ってるんですが、そこはパートナーデジモンであるパルモン役の山田きのこさんが「こうしたら？」って言ってくれたのをそのまま歌っています。きのこさんがその前にレコーディングしていたんですが、一緒に最後まで残ってくれていたんです。この曲もすごく思い入れがありますね。

――「SUKI! SUKI! SUKI!」はいかがでしょうか。

吉田　「いとしのムーコ」は久しぶりにやったテレビアニメの声の仕事で、しかも主役ということですごく思い入れの深い作品です。「ムーコ」は今もすごく好きで、原作ファンでもありますし、秋田に住むモデルになったムーコちゃんも大好きです。この作品があったことでたくさんの可能性をいただきましたね。最初はフジテレビでショートアニメ版をやらせていただいていたんですが、その頃から「ムーコ」のOPテーマを歌いたいと言っていたのを実現していただきました。渡辺チェルさんらしい、渾身の１曲を収録させていただけて、超嬉しいです！

――そして「魚心くんソング(幻のオリジナル・ヴァージョン)」は、ちょっと歌のお姉さんっぽい歌い方ですか？

吉田　そうですね。でも私のやっていた歌のお姉さんの歌い方とは、またちょっと違っていて、どちらかというと「ルパパト」に近い力の抜け方かもしれませんね。「おかあさんといっしょ」の歌のお姉さんでいうと、つのだりょうこさんに近いイメージです。けっこういろんなパターンで録らせていただいて、それこそ「うたっておどろんぱ！」で歌っていたような感じで歌ったりもしたんですが、結果的にこの形に落ち着きました。

――そして最後には新曲「a little star」が収録されています。

吉田　今回は盛り上がる曲が多かったので、このアルバムを締めくくる落ち着いた曲がほしいですねという中で、「こんな感じがいいです」って意見を出させていただきました。そして「うたっておどろんぱ！」で作曲されていた大森俊之先生に久しぶりに曲を書いていただきまして、さっきから何度も名前が出てくる三浦先生に作詞していただいて。

――歌詞のイメージとしては、ご自身の心境を歌っているイメージですか？

吉田　そうですね。本当におこがましいんですが、10周年だからただの「今までありがとう」ではなく、これからも見据えた楽曲にしたいという思いがあったんです。この10年や今まで歌ってきた歌を振り返る中で、たくさんの方に支えていただいたことを再確認したんですが、そのおひとりおひとりとの出会いがあったからこそ10年間歌ってこられたと感じています。だからバラードではあるんですが壮大な感じではなく、すごく小さく、個人的な歌にしてほしい。今年は10周年だけど、これから先もずっと私が愛して歌っていける歌がいいです。私とあなた、君の歌というものがいいです、とお願いしました。

――タイアップ曲と自分自身のことを歌うオリジナル曲とで、心構えや意識の違いはありますか？

吉田　やっぱり番組の曲を歌うときは、その番組を背負っているので、どういう番組かというイメージや、その番組の設定を理解したうえで歌うように心がけています。たとえば「そらのおとしもの」だと、私はいつも主人公たちの生活を、上から俯瞰で見ているような。空からエンジェロイドが落ちてくる話なので、さらにその上から見下ろしているようなイメージで歌っていましたし、「イェイ！イェイ！イェイ！」などプリキュアの曲では、プリキュアを応援するような、彼女たちと一緒に踊る、みたいなイメージで歌ってました。

タイアップ曲は作品に寄り添った歌というイメージがあるんですが、オリジナルとなるとそこが何もないので、逆に力を抜いて歌えたかなと思いますね。歌だけに集中して歌わせていただきました。

――この10年を振り返って一番楽しかったことはどんなことですか？

吉田　難しいですね。いっぱいあるんですけど。

――では反対に、一番きつかったことは？

吉田　「イェイ！イェイ！イェイ！」の収録でしたね。一生終わらないかと思いました。あはは（笑）。

――それでも笑い飛ばせちゃうんですね。吉田さんってすごいポジティブですよね。そのパワーの源は何なのでしょう？

吉田　肉を食べることです（笑）！それと、ありがたいことに「ルパパト」だったり「プリキュア」などで、お子さんをはじめたくさんの方の前で歌う機会をいただけていて、それが本当に力になっていますね。声優もやらせていただいているのですが、アフレコの時って視聴者の方の顔が見えずにやっているので、一生懸命皆さんのことを想像するんですが、やっぱり想像でしかなくて。

だから直接お客さんと触れ合って、感想とかを聞けて、表情を見れて、一緒に歌って……、こんな経験はほかの職業ではなかなかできないと思うので、アーティストって本当にぜいたくな仕事だなと思います。

――もちろん、今後一生歌い続けていくお気持ちなんですよね。

吉田　そうですね。水木一郎さんや堀江美都子さんといった、あこがれの先輩たちが何倍も先を歩んでらっしゃるので、その背中を追いかけて歌っていきたいと思います。

――そして７月7日には待望のワンマンライブが開催されます。昼の部には仲谷明香さん、夜の部には米倉千尋さんがゲスト出演されるそうですね。

吉田　ゲストも変わるので、昼と夜ではちょっとずつ内容を変えていきたいと思います。3年ぶりくらいのワンマンなので、そわそわしますね。皆さん、来てくれるかな。あははは（笑）。

ライブに備えて、ぜひアルバムは聴いてきていただきたいですね。それこそ「ルパパト」だったら、吉田達彦くんパートはどうするんだ！とか、沙織ちゃんがないから、そのパートはどうするんだ！とかね。あとプリキュア曲では、一緒に踊っていただきたいですし。だから、今回はみんなでライブを作っていきたいです。皆さんのお力にかかっていますから！

――それでは最後に読者の皆さんにコメントをお願いします。

吉田　おかげさまで10周年を迎えることができました。今回ベストアルバムを発売させていただきますし、ライブもさせていただいたりラジオにも出させていただいたりしています。皆さんと歩んできたこの10年の歴史が1枚のCDになったり、ステージになったりと貴重な機会だと思いますので、私と一緒に楽しんでいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

――ありがとうございました！