「モンストアニメ」の次を狙うXFLAG スタジオのオリジナル新作アニメ「約束の七夜祭り」配信記念! インタビュー連載第1弾・前野ジョナサン和志プロデューサー

2018年06月30日 12:000

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ミクシィのエンターテインメント事業を担い、アニメ「モンスターストライク」を製作した「XFLAGスタジオ」がオリジナルアニメ「約束の七夜祭り」を2018年7月7日(土)夜7時よりYouTubeチャンネルで配信する。


アプリ「ファイトリーグ」と「モンスターストライク」との連動も決まってはいるが、実力派と名高い村田和也監督を擁するなど、本腰を入れて取り組む姿勢が見てとれる。そこで「約束の七夜祭り」を取り巻く、数々のスタッフに連続インタビューを敢行し、本作をさまざまな側面から照らし出そうと思う。

第1弾は今作のプロデューサーを務める前野ジョナサン和志さんを迎え、作品の概要に迫る。「約束の七夜祭り」に与えられた役割、XFLAG スタジオが目指すところとは?



 



アニメ発の新しいキャラクターを生み出すために

――「約束の七夜祭り」の動き出しから教えていただけますか?

 

前野 XFLAG スタジオとしては、アニメ作品を作ることで新しいオリジナルキャラクターを生み出したいという意図がありました。ただ、こちらでは原案を持っているわけではなかったので、監督に原案を作るところからお願いして、それを元にブラッシュアップしていきました。私がプロデューサーとして参加したのは、その原案がある程度決まっていた段階でした。元々の企画では、閉鎖空間からどうやって脱出するかというサスペンス要素のある内容で、夏らしい、ちょっとゾッとするようなホラー要素もありました。そこに、XFLAG スタジオが「アドレナリン全開のバトルエンターテイメントを創出する」というコンセプトを掲げていたのでバトルを、あと、中高生くらいが感情移入しやすいように男女の出会いを入れたい、という話をさせていただきました。ただ、私自身、アニメを作るときに一番考えるのが、「このキャラクターはなぜこういう行動をとったのか」という動機の部分で、そこを誰もが共感できる、信念がセリフから伝わってくるというところを意識しました。最初、主人公の星真くんが「なぜ祭りに来るのか」があやふやだったので、「会いたい人」、しかも4年間会っていなかった幼なじみを加えることで強い動機が生まれると考えていきました。そこから、ヒロインの女の子も実は会いたい人がいるとか、登場人物たちが「誰かに会いたい」という気持ちを持っているという設定になり、その段階でホラーの要素は薄まっていましたね。徐々に祭りの謎という部分にフォーカスしていった感じでした。

 

――中高生を意識して制作するというのは大きなビジョンとしてあったわけですか?

 

前野 はい。「モンスターストライク」というゲーム自体も多くの中高生に遊んでもらっていますし、XFLAG スタジオでも「みんなでワイワイ」をミッションとして掲げているので、学校などで話題になるアニメを目指しました。深夜アニメみたいなところではなく。YouTubeで無料配信するのもそういう意図がありました。

 


――結末はどちらが主導で決めていったのですか?

 

前野 ラストシーンは、監督の中に見せたい具体的なイメージがありました。登場人物たちそれぞれの会いたい人に会えるのか、というところですね。なので、早い段階で決まっていました。

 

――シナリオ作成以降はどのような役割を果たされたのでしょうか?

 

前野 シナリオを終えて制作作業に入ってからは、客観的な立場から見て、違和感がないかを確認するくらいですね。基本的には監督を信じてお任せしています。

 

――作品の放送時間が1時間というのは?

 

前野 最初に話していた尺は40分というところでしたが、絶対守らなければいけないというものではなく。家でじっくりと見られる、というところを目指していました。むしろ1時間を大きく超えるとちょっと見づらいかな、という感覚はありました。

 

――YouTubeでの配信というところで最初に意識した点というのは?

 

前野 やっぱり、冒頭で見る見ないを判断されることが多い点ですね。すぐ次の動画に進んだり、飛ばしながら見られたりするので、最初から「えっ!? 何が起きるんだろう」と思ってもらえるようなアバンは意識していました。最初に一番大きな謎として、なぜ4年ぶりの親友から連絡がきたのか、から始まり、途中で、この祭りが誰によって行われているのか、探している友人はいるのか、このもやもやした物体は? といった謎を散りばめて、謎がひとつ解決されては次の謎が現れるという構成になっています。なので、飽きずに見ていただけると思ってます。

 

――村田監督に対する印象は?

 

前野 すごくものづくりに誠実で、信頼してお任せできる方というのが一番の印象ですね。「こうしたい」とはっきり言ってくださるので非常にやりやすかったです。

 

 

「モンスト」を遊んでくれている方に還元させる役目

――ゲームアプリ「モンスターストライク」との連動は最初から織り込まれていたのでしょうか?

 

前野 そうですね。あとから相談した部分もありますが、「ファイトリーグ」と「モンスターストライク」というゲームアプリと連動して、アニメでキャラクターを愛してもらって、そのキャラクターをゲームでも楽しめるという体験をお客さんに届けたいというところですね。そのために、いろいろとあとから調整しました。

 

――XFLAG スタジオさんが2015年にアニメ制作を手がけ始めたコンセプトもそこにある?

 

前野 そうですね。XFLAG スタジオでアニメを製作している部署としては、「30年愛されるキャラクターを創出する」をミッションに掲げ、アニメ「モンスターストライク」の3期でもゲームとの連動を強く意識しているなど、ゲームアプリ「モンスターストライク」とのメディアミックスに力を入れています。今の「モンスターストライク」のキャラクターしかり、これから作っていくオリジナル作品しかり、そういった作品のキャラクターがどうすれば愛されるのか、というところを常々考えてやっていますね。

 

――ゲームとの連動部分で苦労されたところはありましたか?

 

前野 まず、アニメからゲームに「返す」というところを意識しなければいけなかったので、キャラクター作りはすごく難しかったです。しかも、ゲーム側からクリアしてほしい要件、デザインや設定などがいくつもあったので、それらを汲み取りながらバランスを取るのはかなり苦労しました。ときには既存の他のキャラクターと被ったり、キャラクターと世界観が合わないことがあったり。でも、アプリゲームの「モンスターストライク」を楽しんでいるお客さんに還元することもこのアニメの使命なので。ゲームを楽しんでいるお客さんがさらに楽しめるものをサービスとして提供するという感覚でした。

 

 

――アニメーションプロデューサーを務めるのは今作が初めてということですが、発見や驚きを教えてもらえますか?

 

前野 シナリオ作りが難しかったですね。この1年、いろいろと脚本を読んだりアニメ作品を見てきたりした中で、どういったところにお客さんが感情を乗せられるのかを常に意識してきましたが、プロデュースを始める段階ではまだそこまでの知識が備わっていたのか、今思えば怪しいところでした。ただ、自分としてはそこにこだわりがあったので、アイデアや意図をお互いに交換しながら、クリエイターの方々と二人三脚で進めていきました。自分で書こうかと思ったときも何度かあったのですが(笑)。みなさんに納得してもらいつつ進めてもらうというのは難しかったです。そこはまだまだ勉強中ですね。

 

――監督や脚本家といったクリエイターと組むのも初めてですから。

 

前野 そうですね。クリエイターさんとやりとりしていて思うのは、やっぱりフェチみたいなこだわりの部分を持っていて。でも、ただそちらに寄っていってしまうと一部のお客さんしか楽しめなくなりそうだなと思っていました。僕としては多くのお客さんに見てもらいたいので、キャラクターの行動原理もできるだけシンプルでわかりやすく、セリフも難しい言葉は出さないようにして、視聴者が置いてけぼりにならないようにはしたかったんです。といって、完全にクリエイターさんの色をプロデューサー都合でなくしてしまうと「トゲ」がなくなってしまうので、そこのバランスは意識しました。

 

 

――ちなみに、プロデューサーに就く前はどのような仕事を?

 

前野 アニメ「モンスターストライク」のマーケティングに1年関わっていて、お客さんにどう届けるか、どういう仕掛けを作るかを考えてました。たとえば、去年末に配信したXFLAGオリジナルアニメ「いたずら魔女と眠らない街」では、キービジュアルやPVを作るというところから、Twitterでお客さんに訴求していく方法や新しく立ち上げたチャンネルの認知、連動していたゲーム「モンスターストライク」への普及に対する施策をひとつずつ立てるというところまでやっていました。去年の10月にスタートした(モンストアニメ)「消えゆく宇宙編」のプロモーション周りも担当していて、サイトをリニューアルし、「アニメのストーリーが大きく変わったんだよ」「2期がスタートしたときは日常パートが多かったけど、ここから一気にシリアスな話に変わっていくよ」というのをアピールできる仕掛けを作りました。

 

――マーケティングで得たことを生かす瞬間はありましたか?

 

前野 マーケティングとして学んだことではないですが、チームで動きながらそれぞれの領域の人たちに協力をどう仰ぐかは意識していました。制作のプロデューサーではありますが、プロモーションやPRといったところでも多くの人を巻き込み、どうやって世の中に届けるかというところで協力してもらえる体制を作る、というところは大切だと思っています。それも難しいんですけどね(笑)。

 

――プロデューサー職から学んだこととしてはどういったものがありますか?

 

前野 ずっとエンターテインメントに携わってきましたが、作品単位で取り組んだのは今回が初めてでした。マーケティングの現場ですと、コンテンツと企業のタイアップやキャンペーンでお客さんをどう動かすかを考えるので、「点」でとらえる意識が強かったんですが、作品となると50分、60分という時間の流れの中でどうお客さんの気持ちをつかむかというのが大事なので、それは今すごく勉強になっています。今回のアニメでいろいろと学ぶことは多いです。人から人に言ったりとか、「こんな面白いのあったよ」とか。で、その言うためのキーワードって作品の中にどう散りばめられてるんだっけとか。そのひと言ってどういう言葉になるんだろうとか。そういったところも意識してますね。

 


――「約束の七夜祭り」を経て、抱いた目標や今後に対するプランなどはありますか?

 

前野 ヒット作を作りたいですね。ひとりでも多くの人に見てもらってなんぼなのかなと思っているんです。やっぱひとりより2人、2人より10人、10人より1万人って。それでいて長く愛されるコンテンツを作るというのが僕のミッションだと思っています。そこはずっと意識してやっていきたいですね。

 

――「モンスト」というお手本が身近にあるので。

 

前野 そうですね。僕の中には、中高生を中心に幅広くいろいろなヒットコンテンツを作っていきたいという気持ちがずっとあって。前職でも、小学生向けのコンテンツにずっと関わっていたんですが、小学生に限らず、10代の子たちって一番パワーがある世代で、友達関係の絆もすごく強いですよね。そういったコミュニティができたり話題が生まれたりといったところからさまざまなIPが生まれてきますし、IPが育てられると僕は考えています。なので、そこに対して何かを仕掛けていきたいという気持ちはずっと変わらず持っています。XFLAGで今やっていることもぶれていないですね。

 

――「約束の七夜祭り」の公開が迫っています。視聴者の方に伝えておきたいメッセージはありますか?

 

前野 YouTubeでいつでも見られる作品ではありますが、「七夕」がテーマとなっている作品で、配信を開始する日も七夕に設定しました。みなさんにもぜひ七夕の日に見てもらいたい、ということは伝えておきたいですね。

 

――Twitterでつぶやきながら。

 

前野 そうですね。みんなで一緒に七夕を楽しんでもらえたら嬉しいですね。

 

 

(取材・文/清水耕司)

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