ヒーローが目覚める瞬間は、こうして生まれる！「西遊記ヒーロー・イズ・バック」日本語吹替版主演・咲野俊介、独占インタビュー！【アニメ業界ウォッチング第45回】

2018年05月05日 12:000

アニメ業界ウォッチング

企画記事

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なりゆきの中で、みずからの存在意義を発見する

── 「西遊記ヒーロー・イズ・バック」に限らず、海外作品にアテレコする醍醐味って、どこにあるんでしょう？

咲野　持論なんですけど、人間って言語は関係なく、息を吸って、吐く息で話しているわけですよね。赤ちゃんが泣くのと同じで、吸っている息に人間の感情が宿っているように思います。吸う息さえ間違えなければ、セリフの文法が違っていたとしても、そうそう外れたことにならないんじゃないか。英語なんて述語の位置が日本語と違うんですけど、最初に吸う息、途中に吸う息が一緒なら、ぴたりとシンクロする瞬間がある。それが醍醐味ですね。
それとは別に、共演者それぞれが感じている“シーンの流れ”があります。個々の声優たちが勝手に考えているシーンの着地点が近似値だったりすると、みんなでイメージを共有できて楽しい。すごく快感がありますね。

── 共演者と息を合わせるには、長い経験が必要なんでしょうね。

咲野　ひょっとしたら、経験ではなくて感覚なんじゃないかと、最近よく思います。初めて演じても勘のいい人はいるし、ベテランでも周りを置いていってしまう人もいる。共演者と感覚を共有したいかどうか、それによるのかもしれません。

── 映画館での公開当時、「西遊記ヒーロー・イズ・バック」は子供向けアニメとして宣伝されましたが、そこは意識しましたか？

咲野　いえ、子供向けの部分があるとしたら、そこはリュウアー君が背負ってくれると思いました。ですから、僕自身は特に子供向けと意識して演技したわけではありません。

── 同世代の男性に見てほしいという気持ちはありますか？

咲野　もちろんです。僕たちの世代は高度経済成長期よりは少し遅く生まれて、今のIT社会にも完全に乗り切れない狭間の世代です。何でもできると知っていながら、やることが見つからない、やるのが面倒だ……という世代なんじゃないでしょうか。そういうオジサンたちが見たら、少しは元気が出ると思うんです。その世代が、公開当時にいちばん見てないと思うので、ぜひ見てほしい。「西遊記ヒーロー・イズ・バック」って、人物の行動の強い理由や必然性はなくて、なりゆきで進む話だと思うんです。そのなりゆきの状況の中で情熱を燃やすことにより、みずからの存在意義を探し出していく――。そういう映画なので、40代後半以降の男性たちに見てほしいんだけど……、キッズコーナーに並んでしまうのかなあ（笑）。
僕には小さい子供がいるので、よくヒーローショーに連れて行くんです。演目としては、パフォーマーである僕からするとベタな展開です。だけど、子供たちがヒーローに向かって本気で「頑張れ！」と叫ぶシーンが必ずある。その生の「頑張れ！」を聞くと、不思議なことに涙が出てくるんです（笑）。物語に魅了されているわけではなく、客席の子供たち、彼らを連れてきている親たちの気持ち、その場の空気、環境が泣かせるわけです。

── その瞬間に、ヒーローが誕生するというか……。

咲野　ヒーローって、そういうものだと思うんです。観客が自分で参加して応援する、そのエネルギーがヒーローを目覚めさせるんでしょうね。

（取材・文／廣田恵介）

2018年5月9日(水)発売「西遊記ヒーロー・イズ・バック」Blue-ray・DVD情報

Blu-ray：4,800円(税別)

本編Blu-ray：88分／シネマスコープ／1層／MPEG4 AVC／音声）(1)日本語リニアPCM2.0ch　(2)日本語DTS-HD MasterAudio5.1ch(3)中国語リニアPCM2.0ch／日本語字幕（本編のみ）

DVD：3,800円(税別)

本編DVD：88分／シネマスコープ／片面・1層／音声）(1)日本語ドルビーデジタル2.0ch(2)日本語ドルビーデジタル5.1ch(3)中国語ドルビーデジタル2.0ch／日本語字幕（本編のみ）

■特典映像
●DVD・Blu-ray共通「日本版予告編」
※仕様・特典等は予告なく変更になる場合がございます。あらかじめご了承下さい。

監督：田暁鵬（ティエン・シャオポン）、日本語吹替制作監修：宮崎吾朗、声の出演：咲野俊介／羽村仁成／子安武人／麦人／遠藤純一／園崎未恵、提供：アクセスブライト、VAP、配給：HIGH BROW CINEMA、主題歌「昔日」＆挿入歌「転がる石のように」歌唱：渡梓　Produced ＆ Arranged by 武部聡志、発売・販売：バップ