キャラクターデザイナー・吉田すずかが、今だから語るタツノコキャラたちの本当の魅力【アニメ業界ウォッチング第44回】

2018年04月28日 12:000

アニメ業界ウォッチング

企画記事

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父の描いたヒーローのように、かわいいキャラも「腹筋を使っている」

── タツノコプロの過去のキャラクターを描く機会もあると思いますが、どんなことに気をつけていますか？

すずか　「ガッチャマン」や「キャシャーン」、「破裏拳ポリマー」（1974年）などのヒーローを描くときは、父の絵を基本にしながらも線をハッキリと、シンプルに描くよう心がけています。色指定も自分でやり直していて、原作より少し明るめの色になっていると思います。

松田　時代は移り変わっていきますから、たとえばAという特定層に既存のキャラクターを売りたい場合は、A層の琴線に触れるようリデザインします。ターゲットに合わせてテイストを変える必要がありますから、社外のイラストレーターに頼むこともあります。

すずか　ちょっと、ゆるキャラ風の「ガッチャマン」もあったりしましたね。

── いま、すずか先生はタツノコプロ社内でスーパーバイザーという肩書きですが、具体的にはどんなお仕事をされているんでしょう？

松田　イラストレーターとしてのキャラクターデザインの仕事がメインで、他に商品化の企画が出たとき、アドバイスをもらったりしています。

野口　クライアントさんのほうから、すずかに何か新しいキャラクターを考えてもらえないかと提案されることもあります。かつてタツノコプロのあった国分寺市のイメージキャラクター、“ぶんじほたるホッチ”は、すずかのデザインです。

すずか　タカラトミーさんから出ている「こえだちゃんと木のおうち」というオモチャのキャラクターは、2011年から私のデザインなんです。7年ぐらい前にキャラクターデザインをリニューアルして、ちゃんと名前も入れてもらっています。

野口　タカラトミーさんのほうから、すずかにリデザインしてほしいという依頼があって、いま売られている「こえだちゃん」は、全部すずかのデザインによるものです。

── 絵は、すべて手描きなのですか？

すずか　はい、紙に絵の具で描いています。商品化する場合、手描きのままだときれいに色が出なかったりしますので、アシスタントの人にパソコンで線を引いてもらって、それを監修して仕上げるパターンもあります。

©タツノコプロ

── 今後、「こういう仕事をしてみたい」という目標はありますか？

すずか　やっぱり、かわいいキャラクターグッズをもっとたくさん作りたいですし、オリジナルキャラクターも描きたいですね。それと、チャンスがあったら、かわいいグッズをきれいに並べたお店もやってみたいと考えています。

── タツノコプロのキャラクターは、どうしてこんなに魅力的なのだと思いますか？

すずか　父の作品は、目つきに強い想いをこめて描いていますよね。また、決めポーズのカッコよさも魅力です。指先にまで、しっかりと神経が行き届いています。あと、腹筋にも力が入っていますね。私の描くアクビちゃんも同じで、ポーズによってはかなり腹筋を使っているんです（笑）。これからも楽しい、夢のある作品を皆さんに届けていきたいと思っています。