キャラクターデザイナー・吉田すずかが、今だから語るタツノコキャラたちの本当の魅力【アニメ業界ウォッチング第44回】

2018年04月28日 12:000

アニメ業界ウォッチング

企画記事

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ダンディでカッコよかった父・竜夫との日々、そして別れ

── すると、お父さまの吉田竜夫さんとは仲がよかったんですね？

すずか　はい、仲はとてもよかったです。カッコいいオーラのある父でした。描く絵もカッコいいんですけど、本人もカッコいいんです。

── ダンディな感じですか？

すずか　そう、嫌味のないダンディ。爽やかな雰囲気でした。子供の私から見ても、色気がありましたね。友だちから「すずかのパパ、カッコいいね」なんて、よく言われました（笑）。

── 創作に苦労されている様子はありませんでしたか？

すずか　ありましたね。父は家で絵を描くこともあって、「新造人間キャシャーン」（1973年）は「科学忍者隊ガッチャマン」（1972年）のすぐ後だったので、気合いが入りすぎていたんだと思います。「すず、苦しいよ」と、よく言っていました。

── 仕事の苦しい部分を、すずかさんには隠さなかったんですね。

すずか　ええ、仕事の話はよくしてくれました。新しい企画の絵ができると、夜中に起こされて「ちょっと見てくれ」「これとこれ、どっちがいい？」と、相談されたりもしました。私が中学生ぐらいの頃までは家庭でそんなやりとりがあって、高校生になってからは、タツノコプロの新企画の合宿に3回ほど参加しました。みんなで旅館に集まって、畳の上の座卓で新キャラクターを描くんです。私は高校生だったので、学校を休んで参加したんですけど（笑）、すごく楽しかったです。

── その頃は、スタッフの方たちと身近に接していたわけですね。天野喜孝さんも、タツノコプロのキャラクター室にいたと思いますが？

すずか　天野さんは、父によく誉められていました。「上手いなあ！」って、父は思い切り天野さんのことを誉めていました。

── 70年代のタツノコプロは、どんな雰囲気だったのでしょう？

すずか　建物の中に机がぎっしりと並んでいて、通れないぐらい人が大勢いて、とにかく活気がありましたね。

── そのまま、タツノコプロに就職しようとは思いませんでしたか？

すずか　高校3年生のときに、父が亡くなったんです。もう父がいないので、タツノコには近寄りづらくなってしまいました。寂しかったんです、すごく。父の亡くなった後も、タツノコからは出版関係の仕事や版権イラストの仕事を少しずつもらっていたのですが……。いまだに寂しいです。
だけど、私はタツノコが好きすぎて、アクビちゃん以外の絵を描いても、どうしてもタツノコっぽくなってしまう（笑）。だったら、タツノコプロの社内で描くのがいちばん自分の能力を生かせるんじゃないか、やっぱりタツノコで描きたいという気持ちが強くなっていきました。