「今あるものはすべて注いだ」渕上舞 ソロデビューアルバム「Fly High Myway!」インタビュー

2018年01月23日 12:000

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亡きチェルシーへ捧げる曲


── アルバムの楽曲はすごくポップなものもあればラテンな感じのものやロックもあってバラエティ豊かな印象です。全体のビジョンについてはどのように考えて作られていきましたか?

渕上 やっぱり最初のアルバムなので、ポップでかわいい曲からコミカルな曲やロックな曲、しっとりとした曲と偏りがないように入れたいという思いがありました。もちろん「渕上舞の歌らしいね」と言われるような曲も。それと、毎週のレコーディングのたびに会議をして、作りながら次を考えていく形で進めていったので、あっという間ではあったのですが、すごく「作っている」感がありました。なかには失礼ながら何度か作り直していただいた曲もありましたが、そういったこともこれまでのキャラクターソングではなかった経験でした。

── これまで歌ったことがなかったり、あまり親しみがなかったジャンルの曲といえばどれになりますか?

渕上 5曲目の「トロピカルガール」ですね。こういう曲は、みんなで歌う曲としてはこれまでも経験がありましたが、演じてきたキャラクターがどちらかというとおとなしい人物だったので、ひとりではここまでハジケた曲は歌ったことがなくて、すごく新鮮でした。

── これを作られたCMJKさんはキャリアも長く、すごくこだわりの強いクリエイターと聞いています。

渕上 そう。すごい方なんですけれど、「何度も『違う』と言ってしまって本当に申し訳ありません」とお話しさせて頂いたんですけど、笑顔で「いやいや、そんなのはどんどん言ったほうがいい」と言ってくださる心の広い素敵な方でした。

── 作詞までなさっていますが、彼にはどんな風にイメージを伝えたんですか?

渕上 私の伝え方が悪いんですけど、「オニオオハシです。南アメリカですと。サンバでトロピカルな感じで」と(笑)。そこからはプロデューサーがうまく伝えてくれているとは思うんですけれど(笑)。私は音楽用語がわからないので、皆さんを困惑させてしまっていたかと思います。「フラミンゴディスコ」も「フラミンゴでピンクのネオンな感じ」といったような、ザックリとしたオーダーしかできなくて(笑)。でも、どの方も最終的にはすごくピッタリなものを仕上げてくださって、プロだなと思いました。

── 鳥の知識については、渕上さんはとても詳しいですけれども、作詞家の方は必ずしもそうではないから、その辺り大変ですよね。

渕上 そうなんです。うれしいことに皆さん鳥のことから調べてくださったんです(笑)。CMJKさんはトロピカルな鳥に詳しくなりましたし、「フラミンゴディスコ」のヤマモトショウさんは「フラミンゴについてすごく調べました」とお話しされていました(笑)。

── 他にも4曲目の「Migratory」(渡り鳥)とか鳥がテーマになっていますね。

渕上 8曲目の「Cute♡Appeal」(キュートアピール)は、歌詞には特に出てきてはいないのですが、ペンギンのイメージです。飛べない鳥ですけれども、それが不幸ではないということをイメージして書きました。やはりデビューアルバムだからこそ自分の好きなものを届けたかったり、自己紹介的なものを余すところなく詰め込めればいいなと思って。歌詞には私の口癖も入れたりしています。

── 個人的な、ということで言うと、9曲目 「ラララ~君へ贈る歌~」は歌詞の内容から察するに、亡くなったチェルシーへの歌?

渕上 そうなんです。私の個人的な思い出なので、それを知らない人が聴いた時にも受け取ってもらえるように両方に取れるような曲にするのがすごく難しくて。

── アルバムの中にチェルシーの歌を入れようと当初から決めていました?

渕上 決めていました。これに関しては自分から「チェルシーに贈る歌を入れたい。そしてその歌詞は私が書きたい」と言わせていただいていました。やっぱり悲しいだけで終わってしまうというのも嫌だし、それに今現在までずっと悲しみが止まずにいるわけでもないので、本当に「贈る歌」なんですよね。悲しかったけれども、今は楽しいし、これからも楽しいことをしていこうという希望の見える作り方にするまで、すごく難しくて悩んで、いろいろ思い出しながらボロボロ泣きながら何度も書き直していました。

── ボーカルトラックはどうでしたか?

渕上 緊張しました。ボーカルとピアノという音数が少ない曲ですので、すごく神経を使いました。気持ちを込めるので悲しい気持ちになるのですが、それ以上にそちらに気を遣った覚えがあります。悲しいというよりも「贈る歌」なのでプラスの気持ちのほうが強くて。収録では意外と爽やかな気持ちで歌うことができましたね。

── 今までキャラクターソングを歌われてきて、今回ご自身としての歌声について考えたり模索するということはありましたでしょうか?

渕上 そこに関しては特に意識をせずにできたし、私の自然なスタイルで歌わせていただいたと思っています。普段はキャラクターに寄せて歌うので、そのときどきで私の声色も変わるし、キャラクターの子のイメージがあるので、語尾の伸ばし方とかにクセが入ると直すことになるのですが、今回は自分の歌なのでそういうことはなく、むしろスムーズだったと思います。技術的なところではいろいろ言っていただいて参考にしたことはありましたが、伸び伸びと歌わせていただきました。

── 声色というところに注目すると3曲目の「A Crow」は、これまで渕上さんからは聞いたことがないような音域だったので驚きました。

渕上 この曲については皆さんにそう言っていただいています(笑)。でもこれに関しても、特に自分の中では敢えてこういう曲だから強い色を出そうという意識をしたことはなくて、歌いたいように歌わせていただいて自然にできたことだったので楽しかったですね。

── 「A Crow」はどういう風にイメージを伝えましたか?

渕上 1曲、カッコイイ曲というか、裏が見える曲が欲しいねというところで作り上げた曲です。Crowはカラスという意味で、なかでも私のイメージにあったのは、朝の新宿・歌舞伎町にいるような、ちょっと荒れたカラス。このイメージを伝えるのが難しかったですね。1曲だけ世界観が違っても気持ちよくないので、アルバム全体としてのなじみのよさも考えつつ作っていただきました。歌詞も最初はそのカラスのイメージで書いていたのですが、書きながら気付いたのは「これは昔の私だな」と。過去のことを思い起こして、若かりし頃を自分で歌にしたような曲になりました。

── そういうことをご自身で言えるようになったんですね。

渕上 いろいろ大変な時もあったけれども、こうやって曲にできると、あの頃を経験しておいてよかったなと(笑)。

── 収録はいかがでしたか?

渕上 最初にツルッと歌って、あとはスタッフの皆さんに聴いていただきながら、「ここはもうちょっと強くしたほうがいい」といったアドバイスを聞きながら歌わせていただきました。その中で私も新しい自分を見つけられたという感じです。アタックもここまで強くしていいんだということは、実際にやってみたら思った以上に強く出しても大丈夫だったことがわかったりして。教えていただきながら歌うということも、これまでの経験では少なかったのでそういう点でも楽しかったですね。

── 1つひとつに新しい経験があるんですね。

渕上 本当に。歌詞の言葉選びについても、他の方が書いてくださった歌詞を読むと、これまで以上に言葉の1つひとつを考える機会になりました。私は濁点があまり好きではないということがわかったので、「A Crow」を書くときは敢えて濁点をたくさん入れて、荒れている感を出すようにしました(笑)。この濁点の好き嫌い感は細かな条件付けがあって、「ドリアン」は果物の女王だから「アリ」だとか、カワイイ濁点の場合は「アリ」だったりして、なかなか理解されないんですけど(笑)。

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