女子高生を1/35でキット化! 「35ガチャーネン -横山 宏ワールド- JKフレンズ」に秘められた “理想のプラ模型像”を、海洋堂・宮脇修一センムが語る!【ホビー業界インサイド第31回】

2018年01月20日 12:000

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“カプセル入りのプラ模型”で、失われた模型文化を日本に広めたい


宮脇 マシーネンクリーガーのデザインは、30年近くも基本的に変わっていません。だから、今後のラインアップは、いま出ているガチャーネンにパーツを追加するつもりで考えています。新金型で戦車のバリエーションキットを出すとしても、シャーシをまったく変えたらいけないじゃないですか。今後、どんなバリエーションを出すにしても共通部分の形を変えてはいかんよねえ、と横山さんと話しています。
横山さんと僕とは年代が近いので、模型をとりまく文化的なもの、模型の背負っている時代背景など、共通言語があまりに多いんです。プラの材質にしても、エアフィックス~フロッグ系の英国製プラ模型の質感が理想だとか、サフェーサーっぽいグレーはやめてピンクで成形すると元気が出るよねとか、2人で模型の話ばかりしています。色白で成形した女子高生は秋田フレッシュ、普通のピンクは原宿フレッシュ、日に焼けた色の女子高生は茅ヶ崎フレッシュなんていうネーミングも、横山さんの言い出したことですね。

── 35ガチャーネン以外で、プラモデルを出す計画はあるんでしょうか?

宮脇 海洋堂は70年代から、イマイ科学の帆船の組み立てキットをプロデュースして、なるべくパーツの少ないプラ模型を目指していました。昔のプラ模型は、アメリカのキャビネット文化に属していたんです。本棚に並べるインテリアとしてのプラ模型ですね。かつてのパイロ、リンドバーグ、オーロラのような置物的な模型を、僕らが担うべきだろうと考えています。海洋堂は食玩で建物、ロケット、鎧、恐竜、昆虫などのサイエンス、ヒストリーとしての立体物を出してきました。昔の100円プラモ、50円プラモのようなものですね。たけど、自分の子供時代を振り返ると、イマイの商品をのぞいて色は白いわ、組み立てづらいわ、接着しづらいわ、パーツはバラバラになるわ……というプラ模型ばかりでした。ですから、「価格はチープだけど中身はしっかりした安い模型」を出すことが、僕の使命だと思ってます。確かに、高価でパーツ数の多いプラモデルを1種類だけ出すことも否定はしないけど、僕らはガチャーネンの成形色を増やしたりデカールを入れたり、メッキをかけたりクリアで成形してイベントで販売したり、プラ模型の楽しさをいろいろな形で詰めこんでいます。模型の可能性を幅広く追求するためには、メーカーにも多様性があったほうがいいでしょうね。
日本には立体物を家に飾る文化がありませんし、プラ模型なんて一般人は誰も買わなくなってしまいましたよね。僕らが戦わなくてはいけない相手って、スマホみたいな、つるっとした何もないモニター画面なのかも知れません。パテを盛って、金属のヤスリで削ると表面がきれいになっていく……画面の中では伝わらないヤスリの感覚、自分でプラ模型を作っている指先の力、気持ちよさって、模型の伝道者である僕らが伝えていかないといけないと思っています。



(取材・文/廣田恵介)

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