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【アニメガタリズ特集】森井監督ら主要スタッフが制作秘話をネタバレ満載で語る！「アニメガタリズ」座談会（前編）

2017年12月30日 18:000

インタビュー

2017秋アニメ

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タザワ、ベイベーハアダナ

■第4話「ブシツ、ダイバクハツ！」

脚本：山下憲一　絵コンテ：清水　聡

演出：久城りおん　作画監督：梶浦紳一郎

――いよいよ「面白くなる」と言われていた第4話です。

久保　「3話切り」の話を3話で振っておいて、何も展開しない4話（笑）。そこも狙いなんですけどね。「あれだけ言っていたじゃん！」って。

森井　「お、4話まで見てくれた？　次は9話まで見てね」と（笑）。

――廃部の危機がこのあたりから出てきますね。

久保　「生徒会と対決する部活アニメ」というミスリードをさせる回です（笑）。

田沢　わかりやすくミスリードしますよね。

森井　僕的には、3話から4話の間に絵里香の成長が描かれていて好きなんです。絵里香は3話で「アニメは何も生み出さない」とちょっと斜に構えて言うんですけど、4話の最後では椿に自分の思いを打ち明けて「アニメが何も生み出さないなんてことはないよ！」って。本当はずっとそう思っていたのに、3話では格好つけて言っちゃったんじゃないのかな。それを自分で否定するところがすごく好きで。2人は元の鞘に戻るのかな、というところもいいですね。

――絵里香と椿の関係性は気になりました。

森井　もともと椿はすっごくお硬い生徒会長というよりは、割とポンコツな感じがいいよねと内海プロデューサーと話していて。演者も西（明日香）さんですし、（生徒会副会長の）菖蒲から「なんてちょろいんですか」と言われたりして（笑）。昔は仲がよかったのに、留学から帰ってきたら絵里香はアニメのことばかり言って私を見てくれない……じゃあ、そんなアニ研は潰してやろうと。それで、学園長が「アニ研を潰せ」という指示と利害が一致して、一緒に潰そうとするんですね。

――ちなみに、この回はサブタイトルに「バクハツ」とありますけど、それがメインではなかったですね。

久保　ぶっちゃけると、サブタイトルはあんまり関係ないです（笑）。

森井　後付けですからね。最後の最後までサブタイトルは決まらなくて。

久保　12話までほぼシナリオが出揃った段階で、「あ、サブタイ決めてないね」となって、みんなでばーっと決めました。

■第5話「ベイベー、イケナイススメナイ」

脚本：田沢大典　絵コンテ：金子祥之

演出：金子祥之　作画監督：佐々木敏子

――第5話はコミケ回（イベント回）になります。

田沢　広田さんから「このネタは田沢さん向きでしょ？」と言われまして（笑）。さらに監督からは「行列で並んでいるだけでAパートが終わってほしい」と。オーダー通りです！

森井　そんなアニメ今までなかったから、みんなビックリするかなって（笑）。

久保　コミケというとサークルや壁行列、コミケ雲などを扱うことが多いので、それはあえて外そうと。じゃあ注目されてないところは……入場の行列だと。

――予定調和を楽しむ人もいると思うんですけど、そこを外すのがこの作品の肝になっている気がします。

久保　「アニメガタリズ」って本筋のストーリーでは面白いことを何もしていなくて、全部ベタなんですよ。だから、細かいところは全部外してやろうと僕らが悪ノリしました（笑）。

森井　久保さんや田沢さんは晴海の頃からコミケに参加しているので、リアル感は出ていたと思います。でも、リアルにしたから面白くなるわけではないですよね。「コミケはこうだ！」と押し付けるのではなく、あくまで「そこに行って女の子たちが何をするか」を見せたかったんです。だから、同人誌は見ないで帰っちゃうんですよ。

――確かに、いきなり西（企業ブース）に向かったなと思いました。同人誌のサークルに行ったのは絵里香先輩と中野先輩ですかね。

久保　中野先輩は縦横無尽に動いていましたからね（笑）。

森井　キャラクターデザインの衣谷ソーシが毎週1枚絵をアップしていて、5話の後はオーロラの「西のカイカイからの連絡が途絶えた」というものでした。その絵でオーロラが持っているカタログには移動するための直線が書いてあるんです。そういう細かいネタで「何回も行っている人」という演出をしていました。

田沢　逆にカイカイは「超大手企業ブースに並んで並んで、ようやく買えると思ったら売り切れでそのまま帰る」というイメージですね（笑）。

――もうひとつ大きなポイントとして楊貝貝（ヤンベイベー）が登場します。中国と共同制作ということで、このようなキャラクターのリクエストがあったのでしょうか？

森井　ありました。中国からのゲストキャラクターを出してほしいと。

田沢　どこで出そうかと相談をして、合宿回でも行けそうだけど一番隙間があるという意味で5話のイベント回なのかなと。

森井　でも、「こうしてくれ！」というのはそれほどなく、基本的にこちらでデザインを起こして、やり取りの中でクオリティコントロールをしてもらった感じです。言われたのは色ぐらいですかね。最初、（髪型の）お団子は嫌なのかなと思って外していたんですが、逆にいいよという話だったので後からつけました（笑）。

――日本人が考える“ザ・中国人”は違うと言われるのかと思っていました。

森井　服装も中国でアニメが好きな子たちはこういう服をよく着るらしいんです。あと、名前ですね。「ベイベー」というのは、実はあだ名なんです。「最近の子はどういう名前をつけるんですか？」と聞いたら、向こうの子は自分にあだ名をつけるらしく、「ベイベー」のような名前をつけると言っていたのでそのまま使わせてもらいました。セリフも中国語のところは向こうの方に直接指導してもらいましたし、そのあたりは中国とツーカーだからやれたことです。

――共同でやったからこそ、今のリアルな中国を表現できたんですね。

森井　そうですね。アニメ放送についても、「タイムラグとかあるんですか？」と聞いたら「いやいや、今はビリビリ動画とかで見られるのでロスはないです」と。この回をやったおかげで、僕らも今の中国のことを勉強できました。