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アナログシンセ大活躍の「魔法陣グルグル」
── 8月には、「魔法陣グルグル」の1クール目のエンディングテーマ「Round&Round&Round」もリリースされています。ボンジュール鈴木さんをフィーチャリングボーカルに迎えての曲でした。 松井 2017年でもっともテクノボーイズらしい曲かもしれない。ボンジュールさんも、ボーカルで雰囲気を作ってくださって、すごくよかったですね。今までやれそうでやれなかった、80年代歌謡曲のどまん中をいけたのは、あの方の声によるところが大きかったんじゃないかなと思います。
石川 おしゃれ声だからね。
松井 ご本人がいつも歌っている曲よりもBPMが速いので、ご本人的には挑戦だったみたいですけど、結果的にすごくハマりましたよね。
── 「魔法陣グルグル」は今回が3度目のTVアニメ化ですし、懐かしさを持った作品なので、音楽的にも懐かしい雰囲気を狙ったのかなと思いました。 松井 確かに、懐かしのロールプレイングゲーム感は意識しました。最初にアニメ化された当時から、「グルグル」の世界観には懐かしさがあったんですよね。その当時の空気感を、「グルグル」の音楽では捕まえようと思いました。
フジムラ 「グルグル」の最初のアニメ化は90年代に入ってからでしたけど、作品そのものの世界観は80年代なんですよね。
石川 僕らの中で勝手に決めたことだったんですけど、「グルグル」は、アナログシンセだけで冨田勲さんのような曲を作るというコンセプトがありました。
フジムラ ちょうどアナログシンセが揃ってきたタイミングということもあって。もちろん、「魔法陣グルグル」のために何台か買い足しましたけど。
石川 いいサイトがあって、松井くんに紹介したら、次々と買う買う(笑)。
フジムラ 3台くらい一気に買ってました。
松井 今回は石川くん所有の「Prophet-T8」というシンセが「グルグル」の音の軸になっています。このシンセがなかったら、「グルグル」の音は作れなかったかもしれない。
石川 ずっと欲しかったんですけど、なかなか市場に出なかったんです。それが突如、出てきて。本当に「グルグル」にちょうどいいシンセサイザーでしたね、あれは。
フジムラ 「Prophet-T8」は、「Round&Round&Round」にも使われています。それからKORGの「Mono/Poly」も、そうですね。アナログシンセはネットで買うと、メンテナンスをしてから送られてくるので、時間がかかるんです。「Mono/Poly」は劇伴の第1回〆切の直前に届いて、そこから使う使う(笑)。
松井 「めっちゃいい音やん」って言いながら、音を付け足したり差し替えたりしていきました。
── 2クール目のエンディングテーマ「Magical Circle」(10月25日発売)は、フィーチャリング中川翔子。今度はしょこたんとのコラボでした。 松井 その前に劇伴の2度目の〆切があったんですけど、キャラの心情に沿ったエモーショナルな曲が欲しいというリクエストがあって、後半の劇伴ではストリングスを使い出したんです。その流れで、「Magical Circle」にもストリングスが入りました。
フジムラ 何よりエモーショナルだったのが、しょこたんのボーカルですね。最初の打ち合わせの時から、「グルグル」にかける思いが、めちゃめちゃ熱かったんです。
石川 しょこたんの「グルグル」への思いのたけを聞いていると、僕の頭の中に文字がザーッと浮かんできました。パソコンの画面を高速スクロールしているみたいに(笑)。
松井 「お前はこういう曲を書くのだ」って、しょこたんの大量の言葉によって、イメージを焼きつけられたよな(笑)。
── あははは(笑)。さすが、しょこたんですね。さらに、「Magical Circle」のCDは、カップリング曲も豪華でした。 松井 初代「グルグル」のED「Wind Climbing ~風にあそばれて~」ですね。アレンジは石川くんです。
石川 「Magical Circle」や後半の劇伴に合わせて、よりエモーショナルなアレンジにしようと思いました。
フジムラ 奥井亜紀さんにも喜んでいただけましたし、ボーカルのレコーディングはさすがでしたね。どんなにアレンジしても、やっぱりご自分の歌なんだなと。僕らとしても、余計なものは入れないようにしようと思いました。
松井 最終話で流れて、これで「グルグル」の歴史が繋がったなという感じがしました。
── 3曲目には、上坂すみれさんが歌う「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」が収録されていたんですが、この曲はなぜ、ここに入ったんですか? 松井 上坂さんに僕らからラブコールを送って、実現しました。
フジムラ ただ、同時期に「鬼灯の冷徹」のエンディングテーマをテクノボーイズが作ることが決まったんですね。なので、こちらはカバーにしましょうと。それで、ご本人に「何をカバーしたいですか?」と聞いたら、「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」という返答があり(笑)。
松井 直球だなーって(笑)。
── すごくポップな仕上がりで、このアレンジは大好きです。 松井 ありがとうございます。このためにソ連製のアナログシンセを買ったんです(笑)。
石川 ロシアンだけに(笑)。
松井 ただ、80年代のシンセなので、メイド・イン・USSRです。2台買いましたが、どちらも、哀愁漂ういい音なんですよ。
石川 「Minimoog」っていう有名なシンセサイザーがあるんですけど、それのコピーなんですよ。でも同じように見えて、いろいろと足りてないんです。
松井 いろいろ違うけど、まずは温かさがない(笑)。「Minimoog」はアメリカ西海岸で生まれた楽器なので、音が太くて温かいんです。ソ連製のヤツも太いのは太いんですけど、ビーっていう冷たさ(笑)。本当に土壌が違うなと思いました。だから、「ロ・ロ・ロ・ロシアン・ルーレット」も、サウンド的にはクールになりました。ポップに突き放してる感が出たなと。
── そのほうが上坂さんの世界観にも合っていますよね。