花言葉がバラエティ豊かな曲を彩る。鹿乃が2ndアルバム「アルストロメリア」をリリース

「Ivy」は、かっこいいアニソンやゲーソンを研究して、作詞作曲しました

── 4曲目の「Linaria Girl」も、「day by day」と同じく、田中秀和さんの作曲・編曲です。

鹿乃　最初に聴いた時、カオス感に衝撃を受けました。これは、思春期の女の子の心の中を表現している曲だなと思って、13歳から16歳くらいの女の子を主人公に、歌詞を書いていきました。女の子特有のメルヘンチックな妄想力の美しさと危うさが表現できていたらいいなと。

── はっきりとそういう年代の女の子をイメージして書いた歌詞なんですね。

鹿乃　かわいいものが好きで、ロマンチックなことが好きで、恋の話が好きで、紅茶が好き、みたいな（笑）。それで、「いったい、君は何を言ってるんだ？」という瞬間があるという感じです。

── 紅茶とか角砂糖とかチョコの中に、「絶対零度の星で波乗り」とか「特異点は暗闇の中」とか、SFっぽい言葉が散りばめられているのが面白かったです。

鹿乃　女の子の日常を描きつつ、意味のわからない単語を入れて、不思議な感じを出そうと思いました。乙女がだんだん電波ちゃんになっていくみたいな流れがあります（笑）。

── タイトルの「Linaria Girl」というのは、どんな意味ですか？

鹿乃　リナリアの花言葉は「私の恋を知って」と「乱れる乙女心」です。

── なるほど、歌詞そのままのイメージですね。電波的な要素がありつつ、サウンド的には、とてもオシャレなんですよね。カフェのBGMとして使われてもいいような曲です。

鹿乃　ボサノヴァ風というか、ジャズ風というか、すごくオシャレなサウンドです。私は渋谷系の音楽が大好きなので、こういう曲調を歌うことができて、うれしかったです。

── ボーカルもウィスパーで、渋谷系の女性シンガーに通じる雰囲気がありました。

鹿乃　この曲のボーカルは、4声くらい重なっているんです。ウィスパーで歌ったテイクに、さらにもっと息だけの歌い方を重ねるみたいに、田中さんと一緒に新しい挑戦をしました。他の曲とはまったく違うボーカルを楽しんでいただけると思います。

── 5曲目の「29-Q」は、さらに電波感が増します（笑）。

鹿乃　この曲は、「day by day」のカップリング曲です。やしきんさんが作詞・作曲・編曲をすべてしてくださいました。デモを歌っていたのもやしきんさんで、女の子っぽい感じで歌っていたのが面白かったです。

── 勢いがあって、とにかく楽しい曲になっています。

鹿乃　ライブ向きですよね。「犬（わん！） 猫（にゃー！）」というコール&レスポンスがあるので、ぜひ、ファンのみなさんに鳴き声をやっていただきたいと思います。

── CD音源で、鳴き声をやっているのはどなたですか？

鹿乃　やしきんさんです。私は、やしきんさんの歌声が好きで、いつかコラボできたらいいなと思っていたんですが、まさかこんなコラボになるとはと（笑）。すごく楽しそうに歌われていました。この曲は頭を空っぽにして聴いていただきたいです。


── 次の「Ivy」は、一転してシリアスな曲でした。この曲は鹿乃さんの作詞・作曲ですね。

鹿乃　「Ivy」は、スマホゲーム「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか～メモリア・フレーゼ～」の新主題歌です。作曲はhiraoさんとの共作で、私がまずメロディを作って、hiraoさんに手を入れていただきました。

── 曲を作るにあたって、どのようなことを考えましたか？

鹿乃　私自身、このゲームをずっとプレイしていて、井口裕香さんが歌った前の主題歌「JOURNEY」が大好きだったんです。あんないい曲の次が、私なのかと。かっこいい曲を作らなきゃというプレッシャーを感じました。

── 「Ivy」も、すごくかっこいい曲になっていると思います。歌詞もメロディも、ゲーム主題歌としての完成度の高さを感じました。

鹿乃　ありがとうございます。この曲は、私がかっこいいと思うアニソンやゲーソンを片っ端から聴き直して、研究するところから始めました。コード進行を全部書き出して、かっこいい曲の法則をつかみました。

── 研究の成果が出ていると思います。タイトルの「Ivy」には、どのようなイメージをこめたのでしょう？

鹿乃　「Ivy」は、セイヨウヅタです。このタイトルだけはお花ではなく、葉っぱなんです。神様の冠に使われる葉っぱで、「ダンまち」は神様とその眷属（けんぞく）のお話なので、ぴったりかなと思いました。それに、お花に見立てたほかの楽曲を繋ぐツタというイメージもありました。

── 「Ivy」は、「Daisy Blue」とともに、このアルバムのリード曲なんですよね。

鹿乃　はい。アルバムを代表する曲のひとつになっています。