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続編で見たいのは「人は変わらない」ということ
── 「神撃のバハムート VIRGIN SOUL」(2017年、以下「バハソウル」)が好評のうちに幕を下ろしましたが、企画の発端を教えてください。 さとう 「バハソウル」は、前作(「神撃のバハムート GENESIS」2014年、以下「バハジェネ」)の打ち上げの2次会で「続編をやりましょうか」と言われたことがきっかけでした。だけど、「やりましょうか」と言われたとき、その場の空気が微妙だったのを覚えています。なぜなら、前作は話題にはなったけど、あまり売れなかったタイトルだからです。原作・製作のCygamesさんからすれば、前作が思ったほどの数字ではなかったから今度こそ!という判断だったようです。「バハジェネ」は終わったので、主人公を変えた別の作品にしたいということなんです。前作は自由にやらせてもらいましたが、今回はCygamesさん側が舵をとります、だけど、監督はやってほしいとのお話でした。
僕から意見させてもらったのは、24話をかけて前作と同じレベルの作画で冒険ものをやるのは厳しいですよ、ということ。もうひとつ、「鴉 -KARAS-」(2005年)、「THEビッグオー」(1999年)、「聖闘士星矢 Legend of Sanctuary」(2014年)などの経験から、ひとつの街なり舞台なりをセッティングして物語を展開したほうがいいのではないか、と意見させてもらいました。この時、大石静さんが脚本を書かれると聞いたので、おそらく恋愛物になるだろうと予測できました。先に決められている中で、現場のモチベーションを維持するのは大変でした 。
── さとう監督としては、「バハソウル」のどこにやりがいを見出したのですか? さとう バカといってもいいぐらいポジディブな女の子が主人公なのは、いいなと思いました。ディズニーアニメのヒロインのような、大変な状況の中でも周囲の声を跳ね返すぐらい明るいヒロインだったら、ディレクションしてみたい。しかし、バックボーンの設定はCygamesさんがつくっていますので、小説や漫画などの原作がある作品をアニメ化しているような不思議な感覚でした。とはいえ、主人公のニーナのヴィジュアル・イメージは、監督である僕が、ラフ原案を描いて示さなくてはならない。そのビジョンの差を調整するのに、大変なストレスがかかりました。完成した作品を見て気に入ってくれた視聴者も多いので、化学反応としてはよい結果になったのかなと思います。
僕個人は、続編をつくるなら「あの時あれだけバカだったやつが、今も変わらずバカでした」というお話を見たい。人間はそう変わらないと思うし、例えるなら「死霊のはらわた」シリーズに出演しているブルース・キャンベルが60歳近くなっても、いまだにテンションの高い役を演じていますよね。ああいう、「やっぱり変わっていないんだな」という感覚が好きなんです。つまるところ、単純に「バハジェネ」の二期をやりたかったっていう気持ちはありますね 。