SFサスペンスドラマ「ヒューマンズ」アニータ役の田中理恵、レオ役のKENNにインタビュー!! Huluプレミアにて本日より配信開始
──演じるうえで、気をつけた点はどんな部分でしょうか? 特に田中さんは難しい役どころかと思いますが。
田中 人間の形をしているんだけど人間じゃなくて、プログラムされた感じのしゃべり方をしなくてはいけなくて、すごく難しかったですね。人間のように普通にしゃべれない。購入者のホーキンス家の人たちは普通にしゃべっていますから、その中でロボットのプログラミングされた感じの、決められた音域だけのところでコミュニケーションをとるみたいなお芝居をするのですごく難しかったですね。
KENN そもそも役者って、演じて感情を出す仕事じゃないですか。でもそのベクトルを逆に向けなきゃいけないっていう。
田中 アフレコ中はできるだけ息継ぎをしないようにしていました。
KENN えー!!? そうだったんですか! すごい長ゼリフとかもありましたよね!?
田中 鼻で息吸いながらセリフを喋ったりして。口で息を吸うとどうしてもノイズが入ってしまうので。
KENN 人間っぽくなっちゃうんだ。
田中 ほかにも、ひと息で言えるところは一気にセリフを言っちゃうとか、いろいろ考えてましたね。息吸うと人間っぽくなっちゃうなー、って思いながら。
KENN マイク前ではそつがないように見えたので、そんな息苦しいようには見えませんでした。
田中 瞬きもせずにやっていたので、目が乾いて仕方なくて(笑)、画面がかすんでくる、みたいな状態でやっていました。
──それは回を重ねるごとに慣れていったり?
田中 全っ然慣れなかったです!(笑) セリフのところは「本気出せ!」っていう気持ちで、目を見開いてやっていました。
KENN すごいストイックですね……。
──吹き替えの作品だとブレスのマークが台本に入っていたりしますが、本作では?
田中 ほとんどなかったですね。演じてらっしゃる女優さんの息遣いだったり、セリフにあわせてのブレスはつけましたが、そこで息継ぎをするかっていうと、息継ぎはせずに間だけ置いて一気に言うというのをやっていました。ひとつのセリフを言うのに苦しいところもありましたね。
KENN そうだったんですか……。
──なかでも特に大変だったシーンはどんなところでしたか?
田中 1話に出てくる、アニータがすっごい笑っているところが一番苦しかったですね。家で何回も何回も、嗚咽するくらいまでセリフの練習をして。あのシーンはほとんど息継ぎせずにやりました。
KENN すごい!!
田中 カットの変わるところで、ちょっとだけ息を吸って。でも、なるべく人間味がないような感じでやろうと思って。出来上がりがどうなってるんだろうとドキドキしていますね。
──1話の時から、アニータは少しロボットっぽくない発言をする場面がありますが、そういう時には少し感情の変化を出すようにされていたんでしょうか?
田中 出していなかったと思いますね。ホントに出ると人間っぽい感じになってしまうので、間くらいのところでやっていました。だからローラが「私に対してケンカ売ってる?」って思うくらいの、微妙なところでやっていましたね。
KENN 繊細ですね。
──KENNさんはすごく人間味のあるキャラクターですが、気をつけていた点はありますか?
KENN 僕は逆に人間くさくやろうと思って。役者さんもそうされていると思いましたし、細かい息遣いだったり、間だったり。基本的に明るくふるまうようなキャラクターではないんですが、自分が目的のために必死になっている様を表現するときに、つらい中で声を絞り出したり、そういう息と間の芝居っていうのをすごく意識しました。
──音響監督さんから人間くさくという指示があったんでしょうか?
KENN 特にはなかったですね。吹き替え作品なので、画面が語っている情報量がすごく多いのと、原音もあるので、それに寄り添っていったら自然とそういう感じになっていって。エモーショナルなアプローチにしたいなと思っていたら、それにOKをいただいたので、アニータとは間逆のベクトルの作業をさせていただいた感じですね。
──田中さんというと、「ローゼンメイデン」の水銀燈や、「ちょびっツ」のちぃなど、人間っぽくないキャラクターも演じられていますが、今回アニータを演じるにあたり影響を受けたキャラクターはいましたか?
田中 Webアニメの「イヴの時間」という作品があるんですが、その作品はアンドロイドというかロボットが出てくるアニメなんです。私はロボットの役だったんですが、作品としてはアニメの中だとあの辺かなと思いながら、でも本作は限りなく人間に近いものなので、やっぱりアニメーションとは芝居の仕方が変わりますね。
──アニメに声をあてるのと、実際に演じている人間の役者さんがいる吹き替えという作品の違いというのはどんなところなのでしょうか。
田中 リアルな人間が声をあてていて、それを無機質な音として出すっていうか。アニメーションだともう少し感情を入れるんですよね。だからアニメとは全然違いますね。インフォメーションセンターの定型文のアナウンスみたいなものに近いというか。きちっと丁寧語で話すけれど、そこに感情はなくて、誰にでもわかりやすい発音と音域で喋るという印象ですね。
KENN アニータは個性を消さなきゃいけないですよね。
田中 個性はほとんど消してますよね。通常大人と話す時は本当に普通の無機質な音で、依頼に忠実にこなしていく印象で、子どもに対してはやさしくとプログラミングされている、という設定でやっていました。子どもに接する時は「やさしいモードに入る」っていう演出があったので。
──ミアに戻ると少し感情的なものが出てくると思うんですが、あれはモードとは別なんでしょうか。
田中 あれはどうしてなのか、わかんないですよね。ローラと話している会話の中でミアが少し出てくるというのは、誰かがいじったわけでもないので、ちょっとした不具合として出ているのかな、って。ミアの感情っていうのはアニータからすると不具合なんですよね。多重人格みたいな。ほかの人から見たら薄気味悪いなって思われるところもあると思うんです。だって購入者からしたら、ちゃんとしたロボットを買ったって思っていたのに、なんかほかのロボットと違うって、ざわっとしませんか? 説明書にしっかり書いてあるのにそうじゃないことを言い出すってちょっと「ん……?」ってなりますよね。寝込みを襲われるじゃないですけど、危機感を感じるような印象は受けますよね。そういう、ちょっと謎めいたところというか、サスペンスの要素も入っているのかなというところが、この作品の楽しみのひとつでもあるのかなと思いましたね。
──KENNさんは、レオの吹き替えを担当されて大変だった部分はありましたか?
KENN レオを演じている役者さんは、すごくセンシティブに、語るようにしゃべったり、感情の表現がすごく細かいんですよね。間だったり、顔の表情だったり、出す息や声といった部分をすごく繊細に演じられているので、自分もそういうところをどう表現しようかと研究させていただいています。英語を話す時の口の動きに合うように日本語をあてるのがとても楽しいですね。すごくやりがいがあります。
──アニメと吹き替え作品で、演じる際の違いや難しさというのはどんなところなのでしょうか?
田中 アニメーションだとアフレコの時って絵が100%入っていない場合が多くて。その場合は自分の間合いでやったりすることがあるんですね。でも吹き替えというのは映像が100%できあがった状態なので、役者さんがお芝居をなさっている息遣いなどを忠実にやりつつ、自分のお芝居を入れるというのが難しいですね。
KENN 今のアニメーションって、デフォルメされたものもあればリアリスティックに作っている作品もあるので作品によると思うんですが、リアルな人間が演じているものに声をあてるのと、人が作った口や間合いにあわせていくっていう違いはもちろんあって、両方それぞれのよさがあると思うんです。アニメならかわいいキャラクターや強いキャラクター、アクションがすごくできるキャラクターや、人間だとできないキャラクターに声をあてていくっていう魅力があると思いますし、吹き替えだと、リアルに役者さんが演じている役者さんに声をあてていくっていう面白さがあると思います。
田中 アニメだとバトルシーンってすごく激しくやったりするんですが、実写だと役者さんの勢いだったり、質感だったり、そういったものを似せようとしてお芝居するので、アニメでやるときのお芝居とは全然違いますよね。今回の作品ではそういうバトルシーンはないですが、日常会話も、こうやって息を吸って普通にしゃべっているような感覚でお芝居をしないと、よりリアルな表現はできないところがありますね。私の場合、本作ではアニータなので、ロボットロボットしたお芝居だからちょっと違うんですが、ほかの方たちはよりリアルな感じでお芝居をやられてるっていう、そこら辺の違いがあると思います。アニメーションだと非現実的な設定もあったりしますし、それに基づいて芝居をしますから。
──ではここで、本作での注目の登場人物、またはお気に入りの人物がいたら教えてください。
田中 みんな注目なんですよね。
KENN やっぱりみんな魅力的ですからね。
田中 ピートとカレンが気になるところですね。自分の中に刺さる感じでした。
KENN 僕は田所陽向さん演じるマックスですね。台本のト書きにいつも「かわいいマックス」って書いてあるんですよ。
田中 マックスはみんなかわいいと思ってますよね。
KENN あとミリカン博士も僕は好きですね。
田中 私はあとニスカも好き。
KENN みんなキャラクターが立っていて、すごく魅力的なキャラクターたちです。
──それでは最後に、見てくださる方にメッセージをお願いします!
田中 最初は1、2話同時配信なので、ぜひ2話とも見ていただいて、その後はエピソードごとに楽しく見ていっていただきたいなと思います。私たちも一生懸命アフレコをがんばっておりますので、ぜひ応援していただきたいなと思います。よろしくお願いいたします。
KENN この作品はSFチックな部分ももちろんあるんですが、人間ドラマがすごく大事に描かれている作品で、こうして僕らも演じさせていただいていて、台本を読ませていただいて、すごく勉強になっています。人間と人間の絆ってすごく大事なものなんだなと改めて気付かされるようなお話なので、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。最後までいろいろな展開が待っていますので、見逃さずにチェックしてください。
──ありがとうございました!
【作品情報】
■Huluプレミア作品「ヒューマンズ」
製作総指揮ジェーン・フェザーストーン、デレク・ワックス、ラース・ランドストローム(Matador Film)、ヘンリック・ウィドマン(Matador Film)ほか
出演ジェンマ・チャン、トム・グッドマン・ヒル、キャサリン・パーキンソン、コリン・モーガン、ウィリアム・ハートほか
(C) Kudos Film & Television Limited 2015
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