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第10話は、遥人が魔女を救済する話にはしたくなかったんです
── 監督・脚本・絵コンテ・演出・作画監督を担当された第10話「α夢次元」は、どのようにして制作していったのでしょうか? 森本 まずは、主人公たちを翻弄していくS気質の魔女を出そうと。しかも性格がしっかりしていて、マジメな優等生タイプがいいなと思いました。不良よりも、学級委員長が暴れるストーリーが好きなんです(笑)。それともうひとつ、第10話は遥人が魔女を救済する話にはしたくなかったんです。救済の物語って、実は助ける側の余計なお世話というか、エゴだったりするじゃないですか。その人のことなんて、本当は誰にもわからないんだから。
── それが、「18if」の魔女に対する、森本さんの答えだったのですね。 森本 自分はそう考えたということですね。逆に、遥人のほうが魔女に救済されつつあるという話になりました。
── 魔女の名前を「住友花子」としたのはなぜですか? 森本 僕は昔から住友銀行を使っているんだけど、よく見本の名前として、「住友太郎」とか「住友花子」とか書かれているじゃないですか。この人の名前はみんなが知っているのに、いったいどういう人なのかは誰も知らないというのが面白いなと思って、自分の作品に出してみたいなと。以前、「住友太郎」というキャラクターを作ったことがあったので、今度は「住友花子」になりました。
── 花子は「ハナ」と呼ばれていて、現実世界では祖母に見守られながら眠り続けている女の子でした。夢の中では実に自由奔放でしたね。 森本 要は、楽しい夏休みのような話にしたかったんですよね。だから、陸と海と空を出しておこうと。その中で、ハナにはやりたいようにやらせてあげました。逆に、現実世界では狭いカプセルの中で眠り続けていて。最初は、鼻にチューブが繋がっていたりして、もっとリアルに意識がないんだということを描こうかとも思ったんです。絵的によくないなと思って、やめましたけど。
── リアルが辛い分、夢の世界では自由に楽しんでほしかったということですね。 森本 そうですね。極端に言うと、自分だけの世界で誰にも迷惑をかけずに楽しく遊んでいる魔女を、そこから引っ張り出そうとおせっかいを焼く男がいて、それが主人公だったと(笑)。
── 猫博士は、そこを遥人よりわかっていたような気がします。ビジュアル的には、全編まさに森本晃司の世界、という感じでした。 森本 「この絵の感じ、前にも見たことがある」というカットをいくつも散りばめたりして遊んでますね。以前描いたイラストや映像のお蔵出しもあって、僕の作品を知っている人は懐かしく感じるんじゃないかと思います。もちろん、自分のファンにだけ向けて作っているわけではないので、ひとつの話として楽しめるようにしたつもりです。