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自分の指で触らないと、プラモデルは作れない
── 市販されている完成品フィギュアは、意識していますか? 三宅 1/6~1/8ぐらいの、皆さんが手にとりやすいサイズは意識しています。今のフィギュアライズバストはロボットと並べて飾る必要が減ってきているので、最初は肩までだったのに、どんどん伸びていって、最近では腰まで作るようになりました。どうしても、腰のくびれを表現したいんです。脇下が好きなので、一体成形で美しく抜きたいとか、どんどんワガママが出てきてしまって(笑)。
── 腰から下、いっそ全身をつくろうとは考えていませんか? 三宅 上半身で研究していることがひととおり終わったら、下半身も作るかもしれませんが、企画は未定です。その場合も、単に足のパーツを付けるだけでは面白くないので、何かしらこだわりを持って作りたいです。皆さんに「変態!」と呼ばれるぐらいの工夫を盛り込みたいと思っています。
── よく、SNSで「バンダイの変態成形技術」と書かれていますが……。 三宅 はい、誉め言葉として受けとっています(笑)。
── インサート成形そのものは、90年代には確立されていた技術でしたね。 三宅 はい、その技術をどう応用するかですね。2010年にRGシリーズが始まって、組み立てなくても可動する内部骨格に応用しました。使う場所がロボットの関節か、キャラクターの顔かというだけの違いです。
── 腕など、肌が露出した部分にパーツ同士の継ぎ目が出てしまいますが、その点はいかがですか? 三宅 それは、目下の課題です。設計チームと話し合って、なるべく目立たない部分へ継ぎ目を移動してもらっています。
プラモデルは「組み立てる」ことに面白さがあるので、組んでいく過程でないと楽しめないコト需要(物質ではなく体験への需要)と言えるかも知れません。なぜなら、プラモデルは指で触らないと作れないからです。指でパーツに触ることで「あっ、肩甲骨ってこうなってたんだ」「腹筋って、こういう形なのか」と、よりキャラクターを理解することができます。フィギュアだからこそ2Dのキャラクターを3Dとして実感できますし、自分の指で組み立てることで形をよりよく知って、「美しい、好きだ」とキャラクターへの愛情を再確認してもらえます。
── 製品本体以外のところで、なにか売りはありますか? 三宅 初音ミクは歌姫なので、発売に合わせて「フィギュアライズバストの歌」をつくりました。YouTubeにアップしてありますので、ぜひ聴いてください。コンセプトと歌詞の内容は私が考えて、曲はホビー事業部のフィギュアライズチームの人間がつくりました。
── えっ、ホビー事業部が作詞作曲なんですか? 三宅 はい、変なチームですみません。自分たちが、フィギュアやキャラクターを好きすぎるんですね。「なんで女性社員が、美少女フィギュアを作ってるんだ?」と怒られそうですが、私はかわいらしい女子が大好きなんです(笑)。
(取材・文/廣田恵介)