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一番の見せ場「Moon Revenge」
テーマにアクションにと見どころ満載の「劇場版R」だが、最大の見せ場といえば、なんといっても劇中歌「Moon Revenge」が流れるクライマックスシーン。それぞれのソロパートとともに仲間たちとの絆が描かれ、曲と映像とのシンクロ感で観客の脳汁は一気に噴出、数多の人々の涙腺を破壊してきた。幾原監督は、なんでもこの「Moon Revenge」の前奏にこだわりがあった模様。「前奏の『ギューン!』の音と共にセーラームーンが目を開き、そこから観客のテンションがわーっと入っていくんです。そこで観客の気持ちをうまく持っていければ、この作品は成功だと思った」そう。
この作品を左右する重要な歌を、三石さんももちろん必死に練習したと話す。「うさぎとして歌って、うさぎの気持ちを入れれば成立すると思って取り組んだと思います。アフレコも当時は演技プランを全く考えられなかった。そのシーンそのシーンをうさぎとして生きました」と当時を振り返った。
そんな「Moon Revenge」、実は生披露されたことがある。公開当時の舞台挨拶イベントが行われたのがまさにここ、丸の内TOEIだったのだ。セーラー戦士5人で「Moon Revenge」を歌って踊ったと懐かしそうに話す三石さん。今では当たり前になった声優登壇の舞台挨拶だが、「劇場版R」公開時はそうした文化はほとんどなかったという。幾原監督は、「どうして声優さんが登壇するの?」と上層部に疑問を投げかけられながらも、喜ぶ人がきっといるはずと企画を通したのだとか。舞台挨拶文化の“はしり”はもしかしたら「劇場版R」なのかもしれない。
まだまだ話題は尽きないが、残念ながらそろそろトークショーも終わりの時間。ここで最後に幾原監督から三石さんへとびきりのサプライズプレゼントが。「押し入れに20数年間眠ってました」と渡されたその大きな“お宝”は……なんとラストのキスシーンのセル画!「あなたに持っていてもらうのが一番」と監督に告げられた三石さんは、感激の涙をこらえつつ「大事にします!」と震える声で約束。場内を満たす拍手の中、ショーは大団円を迎えた。
ちなみに応援上映は、変身シーンや必殺技シーンでサイリウムが大活躍。「まもちゃん泣かないでー!」「(キス未遂シーンに)ヒューヒュー!」といった声も高らかに上がった。記者はというと、途中までがんばって応援していたのだが、「Moon Revenge」がかかってからは涙が止まらず、応援が不可能な状態に。クライマックスシーンはすすり泣きが聞こえていた。「応援上映」ならぬ「号泣上映」となった観客も少なくなかったのではないだろうか……。
(取材・文/新井てる子@TRAP)
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