「NHK-BSに金朋(声優・金田朋子)降臨!-ネットスター」 アキバ系准教授・川田健

アキバ総研 | 2008年05月04日 18:00

「NHK-BSに金朋(声優・金田朋子)降臨!-ネットスター」 アキバ系准教授・川田健「アキバ系准教授・川田健」連載コラム第4回



  
こんにちは、新学期が始まり、「とりあえず視聴」のアニメに追われている川田です(マテ 。こんな心がけでは「俗・さよなら絶望先生」の最終回みたいに、「野良教師」になってしまいますね。

みなさんは、アーケードゲームはおやりになるでしょうか。学生の中には、ビートマニアの全国ランカーとか、太鼓の達人のプレイ動画がニコニコ動画に晒された「ネ申」などもいて、何度かその腕前を見せてもらいました。私は反射神経が鈍いのでその手の「落ちゲー」やシューティング系には手が出せないのですが、「麻雀格闘倶楽部」というゲームはよくやりに行きます。愛知在住ですが所属はタイトーステーション秋葉原(旧S@Y秋葉原)。普段は離れていても心はアキバにつながっている、そんな思いです。

2月、3月は東京での講義がないためにアキバに行くこともできません。4月になり、ようやくアキバの空気を吸いに行くことができるようになり、久しぶりにホームグラウンドのタイトーステーション秋葉原で「麻雀格闘倶楽部」をやりました。センターモニターには「店内No.3雀士、来店」の文字。でもまあ、4月は信じられないくらいフルボッコに遭い、辛うじて10位以内は確保したものの、TOP3は落ちてしまいました(号泣。  

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20080504180000.jpgこの日も理不尽な負け方をして最終の新幹線に乗り込み、身も心もぼろぼろになって帰途につくと妻が「BSに金朋ちゃん(声優の金田朋子さん)が出てるから今録画しているよ」。公共の電波で金朋さんですか?これは暴挙 もとい快挙だ。そう思ってビデオを再生すると「ネットスター」 というNHK-BSの番組でした。コンセプトは「ネットカルチャーバラエティ」。世間には知られていないけどネット界では有名な人やコンテンツを「ネットス ター」と認定し、それをリスペクトする番組ということです。 司会は落語家の立川談笑師匠と「グラビアアイドルの威を借るヲタ」の喜屋武ちあきさん。そし て天の声としてゆずねぇこと柚木凉香さんが進行を担当し、さらに関智一さんがナレーションに加わるという豪華キャストです。公式webページには各人のプ ロフィールが出ていますが、関智一さんの項目に「兄沢命斗」と。それ、NHKとして「あり」なんですか?

そして毎回二人のゲストが呼ばれるようです。一人は識者、一人は「ネットスター」という構成。この回のゲスト識者は法政大学社会学部准教授白田秀彰先生。 web時代の著作権研究で著名な業績をあげておられます。そして今回の「ネットスター」は声優の金田朋子さん。「金朋語録(地獄)」で著名な業績をあげて おられています(マテ。この回のメインは初音ミク。白田先生は特この方面の専門家として、ブームの背景、新たに発生した著作権の問題などについてわかりや すく解説しておられました(白田先生ご自身のレビューはこちら)。


初音ミクについては、これをお読みいただいている方には解説不要でしょうが、入力すると歌を歌ってくれるソフトで、それを使ってアップされたオリジナル作 品がニコニコ動画にあげられて大ヒット。さらにその作品を使って二次創作、三次創作されて初音ミクとその作品はいわば共有物になっていきました。その「共 有物を作る」ということがミクの広がりの原動力だったのですが、ミクから生まれた代表曲(「みっくみーくにしーてやんよ」で有名な)をある業者が着メロ配 信すべくJASRACに著作権支払いをしようとするにあたって大問題発生。権利者は誰なのか、そもそも特定してよいのか。この問題は、共有創作物をビジネ スに使用するにあたり、正当な対価を支払おうとしたところから発生したわけですが、白田先生はこれが既存の著作権枠組みでは解決できないこと、自由な空間 における創作活動を阻害せずに権利者には正当な対価が支払われるような仕組み作りの必要性などを解説しておられました。素人の私が口を挟む問題ではないで すが、中村伊知哉・小野打恵編著(2006)『日本のポップパワー-世界を変えるコンテンツの実像』(日経新聞社)には、次世代コンテンツ産業のありかた として、有能なクリエーターが広告代理店などを介在させずに自由にコンテンツを流通させ、それに正当な対価が支払われる仕組み作りが必要であることを述べ ています。初音ミクの登場は、あるいは次世代コンテンツビジネスモデル作りにおいて、なんらかの作用を及ぼすかもしれません。

akiba20080504kawada03.jpg それはそうと、初音ミクに関する白田先生のある発言に激しく同意してしまいました。それは「初音ミクはわれわれDTM世代の心を激しく揺り動かした」という意味内容のものです。NHKなので名前は出しておられませんでしたが、ミクといえばDX7。80 年代中後期のデジタル音楽愛好家垂涎の逸品。このあこがれの名機は貧乏高校生―大学生には敷居が高く、中古も出るとすぐに売れてしまう。番組を観る限りで は白田先生も当時は入手できなかったようですが、そんな遠いあこがれの記憶をミクは呼び覚ましたのです。かくいう私も高校~大学の時にはバイト代の半分 (半分は上海留学で消えました)を費やして夢中になりました。私はもともと作曲が趣味で、ピアノを多重録音して遊んでおりました。多重録音などというと かっこいいですが要は録音したものを再生しながら新しい音を録音するという原始的な手法です。高校生の時にはじめてローランドのSH-101というモノシンセを 購入。若い読者の方、モノシンセってご存じですか?単音しかでないシンセサイザーです。和音が出せるシンセサイザーなんて大変高価な代物でした。そして大 学生になると、MIDIの本格化、パソコンとの連携によって自分の「できたらいいな」がどんどん実現できるようになり、それが楽しくてDTMに夢中になり ました。ちなみにパソコンはPC-9801VM。フルセットで36万。メインメモリー640KB(メガではありません)。MIDIインターフェイスだけで 38000円。 本当にいくら投資したかわかりませんが、思えばこれが私をアキバへと誘なったわけです。

大学院生、フリーターを経て社会人となり、かつての思いは記憶の引き出しにしまいこんでいましたが、ミクはそれを再び開けてしまったのです。それは単に DTMへの思いだけではありません。お金もなく、技術も夢を叶えるためには不足だったあの頃、制限の中から精一杯のものを作ろうと工夫したそのパトスその ものを思い出させてくれたのではないでしょうか。



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【関連リンク】
愛知文教大学  川田研究室のぺぇじ
愛知文教大学

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